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第1部 本

本をすすめる(近藤康太郎)

『本をすすめる: 書評を書くための技術』2026/1/19
近藤康太郎 (著)


(感想)
 元朝日新聞記者で名文家の近藤さんが、プロの書評を書くための本の選び方、読み方・書き方までを、対話形式で具体的に解説してくれる本です。
「まえがき」には、近藤さんあてに「書評の書き方を教えてほしい」という手紙が来たことが書いてあり、それに対して……
「手紙は、悪いけれど、少し調子が外れている。書評の書き方が分からない? だったら、いまは、全員、もれなく、AIに聞くのだ。」
 ……なんて書いてあって、驚きに息がとまりそうになりました(笑)。
 さらにAI時代になって……
「書評ライターはいなくなる。
 それどころか、<読者>さえいなくなる」
 ……なんてことまで書いてあったのに……
「書評の書き方など、教えられるものではない。そもそも、文章をどう書けばいいのか、わたし自身がわかっていない。いまでも試行錯誤しているし、実験しているつもりだ。日々、変わってきている。変わろうとしている。転がる石。
 ただ、若い者に教えを請われて、真摯に応えない大人にも、なりたくない。精神的なしみったれが、世の中でいちばん嫌いだ。」
 ……という気持ちから、手紙をくれた人との対話形式で、勉強法や読書術、文章術について具体的にアドバイスしてくれるのです。
 さて「第一章 書評とは何か」によると、感想文が「鏡」なのに対して、批評は「プリズム」だそうです。鏡は光が鏡面にあたって反射するだけですが、「光源からの強い光が書評の書き手というプリズムに入って、屈折し、新たな光を生み出す」というのが書評なのだとか。
 そして書評は、作家へのリスペクトが必要で、「誰も指摘していない美点をみつける」こと。
「作家をリスペクトする。それは、言い古された誉め言葉をリサイクルすることじゃない。真剣に作品と対峙すること。作品の光を自分のプリズムに通し、屈折して出てきた光を、正確に、誠実に書く。忍耐強く言葉を探すことだ。」
「書評の半分ぐらいの役割は、本の内容を分かってもらうこと。作者がどういう人か、最低限の情報があること。そのうえで、自分という「プリズム」を通して屈曲させた光を見せる。これが書評として成立する最低条件じゃないでしょうか。」
 ……なるほど。「感想文」と「書評」はかなり違うんですね。
 続く「第二章 書く前のウォーミングアップ」では、書くための準備作業がとても参考になりました。
「順番としては、新聞データベースで知りたいことの大まかな構造をつかんだうえで、本屋に行って新しめの新書で、参考文献がしっかりしたものを選んで買ってくる。該当する部分を詳細に読み込んで、そこに出てくる参考文献を手当たり次第に読んでいく。またそこから参考文献が発生してくる。また手当たり次第に読む。」
「なにかのテーマについて五十冊読むと、基礎的な枠組みはとらえられる。外さない。本筋がわかるようになる。」
 ……ちなみに新聞のデータベースは、ファクトチェックする時間が短縮できるので、ネット検索よりずっとタイパがいいそうです。
「第三章 本を選ぶ・本を読む」では、本の読み方のアドバイスがありました。
レベル1)傍線:スピード重視で要約版を作る
レベル2)ドックイアー:熟成させ、雑味を抜く(覚えておきたい表現やロジックをチェック)
(この後、3カ月ぐらい放置して熟成させる)
レベル3)抜き書き:思考と感情のフローを作る
レベル4)抜き書き帳再読(知識がストックではなくフローに変質する)
   *
 そして第四章、五章はいよいよ「書評を書く」。
 書評の最低限の構成ルールとしては、「どういうジャンルの本なのか、どういうあらすじなのかは、最低限必要」で、本からの引用もあった方が望ましいようです。ここでは、書評の書き方秘伝マニュアルの紹介もありました。
『本をすすめる: 書評を書くための技術』……読書感想文ではなく、プロとして「書評を書く」ための技術をくわしく教えてくれる本でした。このサイトで本の感想を書いている私にとっては、耳の痛い話が多かったのですが、それだけに、とても参考になりました。……えーと、最後の締めとして書きがちだった「みなさんも、ぜひ読んでみてください。」を書いてはダメだそうなので、著者の近藤さんへのリスペクトの表現として、ここでは書かないことにします(けど……なんか「落ち」がないようで不安になりますね。やっぱり「型」に頼って書いていたんだなー……ちょっと反省……うーん、私なりの著者へのリスペクト表現だったのですが……)。

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『本をすすめる: 書評を書くための技術』