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第1部 本
社会
アフリカ―「経済大陸」の行動原理と地政学(遠藤 貢)
『アフリカ―「経済大陸」の行動原理と地政学 (中公新書 2899)』2026/3/24
遠藤 貢 (著)

(感想)
アフリカは独立から現在まで、食料難、環境問題、強権化などを抱えつつも、国際情勢の変動にしたたかに対処してきました。その独自の行動原理を読み解いている本で、主な内容は次の通りです。
第1章 希望と絶望の交錯する経済大陸
第2章 国家と政治体制の変容をとらえる視座
第3章 旧宗主国からの再離脱――サヘル地域、西アフリカをめぐる国際関係
第4章 「アフリカの角」をめぐる地政学―― 中東諸国と米中の思惑
第5章 南部アフリカの政治変容――「優等生」ボツワナの変化を読み解く
第6章 日本とアフリカ――TICADは何をめざしてきたか
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「第1章 希望と絶望の交錯する経済大陸」には、次のように書いてありました。
・「(前略)21世紀に入ってからのアフリカは「経済大国」として注目を集めている。一つの要因は、今後の人口増加から見込まれる経済市場としての可能性である。そして二つ目に、豊かな鉱物資源の存在である。他方、人口増に対応する雇用機会が提供できるのか不安がぬぐえず、経済機会を求めて大陸内外に移動する動きは加速する可能性がある。さらに、人口増に食料供給が追いつくのかも、将来的な課題である。」
・「アフリカは、人口増もあわせて「最後の巨大市場」との評価もあり、それを実現するために、地域機構であるアフリカ連合(AU)のもとで、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の運用を開始している。アフリカ全体を共通市場として貿易促進をめざす構想だ。」
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アフリカにおける年齢の中央値は、なんと19.3歳(25年)なのだとか(日本は49.9歳)。
続く「第2章 国家と政治体制の変容をとらえる視座」によると、アフリカの国々の特殊事情の背景には、「アフリカの国々には、国家が独立する際に必要とされてきた要件が緩和された」ということがあるようで、実は、国際法上の国家となる4つの要件としては、1)永続的住民、2)明確な領域、3)政府、4)他国と関係を取り結ぶ能力、が必要なのですが、アフリカでは、このうちの「政府」要件が緩和されている(法治国家の実現を前提として、後に経験国家を整備するという国家形成の手続きがとられた)そうです。そして現在では……
「(前略)アフリカは、政治・経済体制改革過程としての「民主化」や、新自由主義的な経済改革としての構造調整を強く求められた。また、開発に資する行政の構築(グッド・ガバナンスの実現)が模索された。しかし、こうした改革と決して無縁ではない状況下で発生した武力紛争にともない、中央政府の機能が大幅に失われる、あるいは領域内の多くに統治がまったく及ばないといった事態が生じてきた。」
……なるほど。そういう状況にあるんですか……。
そして「第3章 旧宗主国からの再離脱」では……
・「21世紀に入り、各国がアフリカへの関与を深めている。経済的な面では中国が、安全保障の面では、サヘル・アフリカ(西アフリカのサハラ砂漠の南に位置する国々)へのロシアの進出が目立つ。」
・「(前略)歴史的文脈との関連としては、冷戦後のアメリカを中心とし、パクス・アメリカーナ、自由市場、自由民主主義の3本の柱から構成される関与のあり方と、その変遷から考えられている。現在のアフリカの文脈では、(中国、アメリカ、ロシアといった)特定の有力国が単独では圧倒的な影響力を持ちえず、さまざまな国々がさまざまな動機や狙いによってアフリカに関与し、「争奪戦」を繰り広げるイメージである。(中略)
それに対して、アフリカ諸国はと言えば、変化する状況に受動的に見えながら、きわめて能動的に対応している。(中略)今後もアフリカの政治エリートは「薄い覇権」状況に応じて、巧みに、自らを利する勢力との関係を組み替えながら、「外」との関係を絶えず更新していくであろう。」
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「第4章 「アフリカの角」をめぐる地政学」では、ジブチ、エチオピア、エリトリア、ソマリアなどの「アフリカの角」といわれる地域の複雑な問題について解説されていました。
「(前略)アフリカの角は、解決の道筋がつけにくい紛争が多発し、テロの温床をも抱える不安定要素を特徴としている。」
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そして最後の「第6章 日本とアフリカ」では、『外交青書2024年版』が、本書の概要に近い内容を簡潔にまとめてくれていました。
「『外交青書2024年版』では、アフリカについて以下のように記述されている。
「54か国に約14億人を擁し、若い人口構成、豊富な鉱物資源、比較的高い経済成長率により、世界の関心を集めている。一方、一部のアフリカ諸国は深刻な債務状況に陥っており、国内法の執行・運用の不透明性など、投資環境上の課題も多い。同時に、紛争やテロ、武力により政権奪取を含む政治的混乱が平和と安定を脅かしている地域が存在し、依然として深刻な貧困を含む開発課題を抱えている。」」
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そして日本政府は……
・「(前略)03年8月には、ODA大綱の改定を閣議決定する。ここには、日本として、「日本国憲法の精神にのっとり、国力にふさわしい責任を果たし、国際社会の信頼を得るためにも、新たな課題に積極的に取り組まなければならない。そのためには、ODAに対する国民の理解を得ることが重要であり、国内の経済財政状況や国民の意見も十分に踏まえつつ、ODAを効果的に実施することが不可欠である」との認識のもと、「ODAの戦略性、機動性、透明性、効率性を高めるとともに、幅広い国民参加を促進し、わが国のODAに対する内外の理解を深めるため」の改定を行うことが、明記されている。
また、その目的としてODAをより戦略的に実施することが示されており、開発途上国の自主性(オーナーシップ)を尊重するとともに、個々の人間に着目した「人間の安全保障」の視点を取り入れて、貧困削減、持続的成長、地球規模問題、平和構築といった重点課題に取り組むこととされている。援助実施の原則としては、環境と開発を両立させること、軍事的用途および国際紛争助長への使用を回避すること、開発途上国の軍事支出、大量破壊兵器・ミサイルの開発・製造、武器の輸出入などの動向に十分注意を払うこと、民主化の促進、市場指向型経済導入の努力並びに基本的人権および自由の保障状況に十分注意を払うことが設定された。」
・「21世紀を迎えた日本の対アフリカ政策の一つの重要な要素として挙げられるのは、ODAが平和構築(紛争の諸局面における予防、緊急援助、経済復興などきわめて広範な領域の問題が関わる課題)ときわめて密接に連動し始めたことである。
日本の外交の一つの柱となった「人間の安全保障」という考え方は、まさにこの点を体現している。」
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『アフリカ―「経済大陸」の行動原理と地政学』……アフリカへは、人口増、鉱物資源など潜在力への注目から、各国が関与を強めているそうです。正直に言って、この本を読むまでは、アフリカのニュースを聞いてもよく分からないことが多かったので、とても勉強になりました(といっても、「アフリカの角」をめぐる地政学を始め、とても複雑な現地事情や国際関係に、頭がクラクラしてしまいましたが……)。
興味がある方は、ぜひ読んでみてください。
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『アフリカ―「経済大陸」の行動原理と地政学』