ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)
第1部 本
工作(紙以外)
アニメオタクの一級建築士が建築の面白さを徹底解剖する本。(NoMaDoS)
『アニメオタクの一級建築士が建築の面白さを徹底解剖する本。』2024/5/28
NoMaDoS (著), 吉川尚哉 (イラスト)

(感想)
「まどマギ」に見る「今っぽい」建築の極意、「呪術廻戦」に学ぶ建築の「日本らしさ」、「クッパ城」の遊び心は実在の建築にも通じる……などマンガやアニメに登場する建物を切り口に、建築の面白さを解説してくれる本で、主な内容は次の通りです。
【魔法少女まどか☆マギカ】「まどマギ」に学ぶ“なんとなくイケてる建築”の正体
【任天堂 スーパーマリオシリーズ】屋根って自由だ! クッパ城に溢れる遊び心を見る
【HUNTER×HUNTER】そもそもどうやって建てるの? 独自の歴史と美しさを持つタワー建築
【レディ・プレイヤー1】日本が生んだ驚きの手法 生き物のように形を変える建築
【ドラゴンボール】魔人ブウは天才建築家? 夢が広がるシェル構造
【千と千尋の神隠し】湯婆婆の空間デザインセンス! 油屋に学ぶ「抜け」のテクニック
【呪術廻戦】建築史に残る大論争! 呪術高専のデザインは日本的…?
【ワンピース】ファン続出の可愛らしさ! ワンピースの「見栄っ張り建築」
【新世紀エヴァンゲリオン】NERVは最強の要塞だった? 歴史の裏側で誕生した要塞建築の世界
【ゲゲゲの鬼太郎】家は住むためだけじゃない! 建築が持つもうひとつの価値とは
【クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険】尖る! はみ出す! ド派手に主張する建築たち
【ハウルの動く城】街が歩いて移動する? 「建てない」建築の世界
【チャーリーとチョコレート工場】秘密のチョコレート工場には建築の最先端が詰まっていた!

『アニメオタクの一級建築士が建築の面白さを徹底解剖する本』というタイトルから、アニメに出てくる有名な建築物の間取りとか、作り方などを徹底解説してくれる本なのかなと想像していたのですが、アニメに出てくる建物のイラストや簡単な解説はあるものの、どちらかというと、それに似た実在の建築物や、その建築が生まれた背景やトレンドなどに関する解説の方が多かったように思います。
それでも、あのアニメの妙な建物に似ている建物が現実にあったんだ!など、興味深い記事がたくさんあったので、とても面白く読めました。
例えば【HUNTER×HUNTER】の超高層建築・天空闘技場は、上部にいくほど細くなる尖塔系の形状で、足元も裾広がりになっているので、風による影響を、デザインに落とし込みながら巧く解決している超高度な設計になっているそうです(笑)。次のように書いてありました。
「超高層建築物を実現する上で絶対に無視できないのが、風対策だ。
上空は我々の想像以上に風が強く、スカイスクレイパーは150km/hを超える強風にも耐えることが必要とされる。そのため骨組みの強度はもちろん、外壁やガラスも全て強風に対応するように設計しなければいけないのである。」
……でも、天空闘技場では、高層建築によく利用されている「カーテンウォール」を使っていないようにも見えるそうです。
・「1800年代後半、建築物の高層化が進むにつれ、風や地震によって建物がしなることで負荷がかかり、壁が損傷してしまうという問題が出てきた。そこで、建物自体の重さや積載される荷重はすべて柱や梁で支えつつ、独立してつっているだけの外壁=カーテンウォールが誕生したのだ。
ちなみに世界初のカーテンウォールは、1851年に完成したロンドンのクリスタルパレスと言われている。」
・「高層建築においてカーテンウォールの使用が主流になっている理由は他にもある。ずばり、その方が工事がラクだからである。」
……カーテンウォール工事は、工場で造ったパーツを現場に運搬してプラモデルのように組み立てていくだけなので、現場での作業時間が非常に少なく非常に効率的なのだとか。なお天空闘技場は、ガラスのカーテンウォールではなく、コンクリートのPCカーテンウォールを使っている可能性もあるそうです(笑)。
そして最も面白かったのが、スピルバーグ監督のSF超大作【レディ・プレイヤー1】のスラム街集合住宅「スタック・パーク」。これは、なんと鉄骨でフレームを組み、その中にトレーラーハウスを何台も積み重ねた「垂直型スラム街」なのですが、これが日本の「メタボリズム」建築に似ているというのです。「メタボリズム(新陳代謝)」とは、生き物のように形を変えたり、位置を入れ替えたりできる建築物を作る(社会や使い手の変化・要望に応じて形を変え“新陳代謝”していくことで永続的に機能する建物を目指す)活動で、代表的な例としては「中銀カプセルタワー」があげられるそうです。
これは取り換え可能なカプセルが、コアの鉄骨から上下に箇所ずつ、合計4カ所で固定されていて、レゴブロックのように取り換え可能なのですが、ひとつのカプセルを移動させるためには周りのカプセルの大がかりな移動も必要なため、一度も新陳代謝されなかったようです。
そして現代のメタボリズム建築ともいえるのが……
「スペインのフェンウィック・イリバレン・アーキテクツという事務所が設計したこの競技場は別名「レゴ・スタジアム」と呼ばれている。その名の通り、解体、移動、リユースを可能にし、循環を意識した世界初のサッカースタジアムである。
建築物の設計では、スペースや部品などひとつのまとまりを「モジュール」という単位で区切って設定する考え方がある。
このスタジアムではコンテナの周囲の鉄骨部分を1モジュールとし、そのモジュールをレゴブロックのように組み立てていくことで、全体を形作っている。
つまり、解体や再構築が手軽に実現できるようになったスタック・パークというわけである。」
……レゴブロックが好きなせいもありますが、解体や再構築まで考えられている「メタボリズム」建築、とても良いですね!
こんな感じで、アニメに出てくる有名な建築物のイラストや、それに似ている現実の建物がどんどん紹介されていて、とても興味津々でした。
【ドラゴンボール】の魔人ブウのシェル構造の家は、現実には見学できないけれど、それに似ている「豊島美術館(瀬戸内海の豊島)」や「新白島駅(広島県)」、「ぎふメディアコスモス」などは、実際に見にいくこともできますし……。
『アニメオタクの一級建築士が建築の面白さを徹底解剖する本。』……マンガやアニメに登場する建物を切り口に、その工法や似ている建築物など、建築に関する知識を楽しく学ぶことが出来る本で、とても参考になりました。興味のある方は、ぜひ読んでみてください☆
* * *
なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
Amazon商品リンク
興味のある方は、ここをクリックしてAmazonで実際の商品をご覧ください。(クリックすると商品ページが開くので、Amazonの商品を検索・購入できます。)
『アニメオタクの一級建築士が建築の面白さを徹底解剖する本。』