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第1部 本
歴史
宇宙考古学への招待(惠多谷雅弘)
『宇宙考古学への招待』2025/4/14
惠多谷雅弘 (著), 鶴間和幸 (監修), 村松弘一 (監修), 長谷川奏 (監修)

(感想)
「宇宙考古学」と呼ばれる地球観測技術で解き明かされた古代エジプト、古代中国の研究成果を、第一線の研究者たちが詳しく紹介してくれる本で、主な内容は次の通りです。
序 宇宙考古学への招待
画像ギャラリー
Chapter1.吉村作治×鶴間和幸:対談
Chapter2.宇宙考古学の予備知識
Chapter3.宇宙考古学とは
Chapter4.砂漠・乾燥地の遺跡調査
Chapter5.港・河川流域の遺跡調査
Chapter6.都城と皇帝陵の立地調査:秦?唐代・長安城
Chapter7.史料と解く遺跡調査
Chapter8.調査の最前線
年表(古代エジプトと古代中国)
参考文献
付録:「宇宙考古学を極める」
謝 辞
衛星画像や現地の遺跡写真なども多数掲載されているフルカラーの本で、とても見応えがありました。
例えば「画像ギャラリー」「2 衛星データで発見した古代エジプト遺跡「Site No.35」と出土物例」によると……
「エジプトを対象とした遺跡探査に衛星データによるリモートセンシングを活用し、王朝時代のナイル川の古環境を勘案しながら遺跡の立地環境を理解することで、エジプト学史上初めてとなる王朝時代遺跡「Site No.35(ダハシュール北遺跡)」の発見と発掘に成功した。1995年、東海大学と早稲田大学の合同調査チームは、ギザの南約20kmのダハシュール(Dahshur)で、砂漠に埋もれた大型日乾煉瓦遺構を発見した。発掘調査の結果、出土した遺構はエジプト新王国時代後期(紀元前1400~1300年頃)に属するトゥーム・チャペル(Tomb Chapel:ピラミッドの付いた神殿型貴族墓)であることが確認された。この発見は、衛星データと古環境を関連付けることで極めて広い範囲から遺跡の有望地点を絞り込むことが可能で、これまで考古学者の勘や経験に頼っていた遺跡の調査を極めて効率的に行えることを実証した。」
……衛星データによるリモートセンシングを活用して、実際に古代エジプト遺跡を発見しているんですね!
また衛星画像は、地図としても役に立つようで……
「(前略)漢代の皇帝陵を歩くときに、衛星画像が大変役立ちました。地形図は10万分の1の陸地測量図が日本にもあります。中国は地図自体が国家機密ですから、私たちが使用することはできません。(中略)
私の専門は全く衛星とは関係ありませんが、歴史学は地図を必須としますので、衛星画像には地形図にない様々な情報を得ることができることに気づきました。Landsatの画像は、1辺が180キロぐらいの関東地方が1枚の写真に入るものです。画像は地上の物性から反射した電磁波の波長を捉えますので、バンドの違いによって植生、市街地、河川などの地勢が分かり、季節による変化も読み取れます。」
……衛星画像やデータは、遺跡調査でいろんな活用ができるようです。
ちなみに「2.4 宇宙考古学で使われる主な衛星データ」によると、米国のLandsat衛星やESA欧州宇宙機関のSentinel衛星などの光学センサ画像は、ネット環境さえあれば、無料で入手可能なのだとか。
また「2.6 グランド・トゥルース(リモートセンシングの地上検証)」では、「画像解析する上で、実際に現地を見ておくことは重要」で、「グランド・トゥルースは衛星の観測日時と同期して実施するのが理想的ではあるが、それができない場合は植生などの状況がほぼ変わらない同じ季節に行うと良い」などのアドバイスがありました。
『宇宙考古学への招待』……宇宙からの眼で、古代の都市や遺跡、当時の環境を探る研究の実際について具体的に紹介してくれる本で、とても興味津々でした。古代の歴史に興味がある方は、ぜひ読んでみてください。
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『宇宙考古学への招待』