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第1部 本
健康&エクササイズ
「人体」の中では何が起こっているのか(廣田昌彦)
『「人体」の中では何が起こっているのか: “カラダ社会”をのぞき見る』2025/10/27
廣田 昌彦 (著)
(感想)
膵臓がんを主たる専門とする外科医として多くの実績をあげてきた廣田さんが、人体について、細胞のふるまいから臓器の働き、老化やがん、免疫といった現象までを易しく解説してくれる本で、主な内容は次の通りです。
第1章 「細胞の中の社会」をのぞき見る
第2章 「カラダ社会」のできごとについて知る
第3章 「ヒトの臓器」について
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細胞や生体内の現象を、実社会の事象や人物、物事、音楽・映画作品などに喩えて解説してくれるので、難しい生体内の現象がとても分かりやすくて勉強になりました。
例えば小胞器官の役割については……
・核:DAN鎖を保管する「情報保管庫」。果物で言えば「種」。
・ミトコンドリア:ATP(エネルギー)を産生する「発電所」。
・リボソーム:タンパク質を組立てる「組立工場」。
・小胞体:タンパク質の立体化や品質管理を行う「品質管理部門」
・ゴルジ体:糖鎖(タンパク質を修飾する「糖分子の鎖」)を付加し、タンパク質を出荷する「出荷センター」。
・プロテアソームとリソソーム:不良品や老朽品を分解する「廃棄部門」。
・微小管:細胞内の物質輸送を支える「線路」。
・細胞膜:細胞を外部環境と境する「壁」。
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このように一般人にも分かるように説明してくれます。それでも医学・生物学的な内容がほとんどなので、とても読み応えもあります。例えば細胞については……
「ヒトの体内における細胞社会は、互いを監視し合う仕組みを持ち、個々の細胞にプライバシーは存在しない。すべての細胞が整然と組織内で並び、互いに密接しながらその増殖を抑制している。(中略)
感覚神経がカラダ全体を監視し、ホルモンやサイトカインや運動神経が細胞への指導役を担っている。ホルモンとサイトカインは、いずれも細胞内コミュニケーションを担う生理活性物質である。ホルモンは特定の内分泌臓器から分泌されるのに対し、サイトカインは免疫細胞を中心に多くの細胞から分泌される。神経は、電気信号によって素早く情報を伝える。この統制された仕組みにより、健康な体内環境は治安のよい文明社会のような秩序を維持する。一方、細胞にとっては、厳密に監視された「プライバシーがない状態」になってしまっている。増殖しすぎず必要以上に資源を消費しないというルールを守る。不審者(異常細胞)は免疫系によって排除され、故障した細胞は死滅する。また、老化した細胞は静かに機能を停止し、(中略)穏やかにその役割を終える。
しかし、この仕組みを無視して無秩序に増殖するのが「がん細胞」だ。」
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なお、ヒトのカラダの中の細胞数の半分は赤血球、体積の半分は筋肉細胞なのだとか! 赤血球、すごく多いんですね!
また「消化」は酸性とアルカリ性の2段階方式で食物を消化しているという話も興味津々でした。胃酸が酸性なので酸性が利用されるのは知っていたのですが、アルカリ性も使われていたんですね……。
「(前略)ヒトは、タンパク質、炭水化物、脂肪といった3大栄養素はそのままの形では吸収できない。それぞれアミノ酸、グルコース、脂肪酸とグリセロールといった「栄養の基本単位」物質にまで分解して初めて吸収可能となる。」
……そしてこの食物の消化は、酸性とアルカリ性の2段階方式で行われます。
「(前略)胃の酸性環境は、タンパク質の消化に有効であり、カルシウムや鉄の吸収にも効果好的だ。十二指腸のアルカリ性環境は、膵臓が分泌する重炭酸イオンによって作られ、脂肪の消化に適している。」
……食物はグルコースやアミノ酸といった栄養の基本単位物質まで分解されて、その90~95%がカラダに吸収されるそうです。そして吸収された栄養の基本単位物質は、自律神経によってすべての細胞に公平に供給されるのだとか。
この他にも、「筋肉は、姿勢維持や日常動作を支えるだけでなく、血液中のグルコースの80%以上をとり込むカラダ最大のエネルギー代謝器官(筋肉を鍛えることは糖尿病予防になる)」とか、「筋肉を維持するためには、「栄養」「運動」「休息・睡眠」のバランスが大切」など、科学的な根拠に基づく健康法も教えてもらえました。なお、中年世代と高齢世代では、健康になるための注意点が、大きく違っているようです。
・中年世代:「食べる量を減らせ」「有酸素運動をしよう」「十分に睡眠を取れ」
・高齢世代:「食べる量を増やせ」「筋トレをしよう」「寝てばかりいるな」
……そうだったんだ(笑)。
また運動の前後には……
「(前略)一般的には、運動前にグルコースを多く含む炭水化物を摂取することで、筋肉にグリコーゲンを蓄えることが推奨されている。(中略)そして運動直後には、筋肉の修復と成長を助けるために、タンパク質を豊富に含む食品やプロテイン飲料を炭水化物とともに摂取するのが理想的だ。」
……「炭水化物摂取」の方は、運動のかなり前にやらなければならないので、あまり気にしなくても良さそうですが、運動直後の「タンパク質+炭水化物」の方は、休息もかねて、積極的に摂取したいですね!
『「人体」の中では何が起こっているのか: “カラダ社会”をのぞき見る』……人体について、細胞のふるまいから臓器の働き、老化やがん、免疫といった現象までを分かりやすく解説してくれる「人体の教科書」でした。
人体について総合的に学べる本なので、みなさんも、ぜひ読んでみてください。お勧めです☆
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『「人体」の中では何が起こっているのか』