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第1部 本
生物・進化
はみだし生物学(『はみだし生物学』制作委員会)
『はみだし生物学 博士とキノコ助手の愉快な研究の日々』2025/3/11
『はみだし生物学』制作委員会 (著)

(感想)
中学や高校の教科書には収まりきらない、生物学の面白さ、自然界の魅力を伝えてくれる楽しい「教科書には載っていない生物学」の本で、「はみだし生物学」研究所の博士とキノコ助手(表紙の二人)が,生物学の気になる42テーマを,見開き2ページで語り合います。主な内容は次の通りです。
Part1 生命の進化
Part2 生命現象と物質
Part3 遺伝情報の発現と発生
Part4 生物の環境応答
Part5 生態と環境
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『はみだし生物学』というタイトルだったので、意外な生態をしている不思議な生物を紹介してくれる面白本なのかなーと勘違いしたのですが、「教科書から」はみだした生物学を教えてくれる本でした。それもそのはず、実はこの本は「2010(平成22)年度大学入試センター試験(現 大学入学共通テスト)「生物」問題作成委員」のみなさんが執筆していて、「教科書に掲載されていないところにこそ生物のおもしろさがある!」ことを伝えてくれているのです。
だから……つまり……教科書以上の内容になっているわけで……高校の生物くらいの知識はすでにある人でないと楽しめないほど、高度な内容でもありました(生物好きの私には、とても楽しめましたが……)。
さて、Part1は「生命の進化」。章扉には「イントロダクション」として、生命進化と遺伝子などの概略紹介が書いてあります。そして一番下には、「該当する教科書の項目」として、中学「第二分野」いろいろな生物とその共通点、生命の連続性と、高校「生物基礎」生物の特徴、「生物」生物の進化との記述がありました。
そして次のページからは見開きページごとに一つのテーマが紹介されていく……各Partとも、このような構成になっています。
最初のテーマは「1-1 奇妙な細菌、マイコプラズマ」。これはまさに「はみだし生物」という感じの不思議な生物でした。なんとマイコプラズマ(ウイルスより少し大きくて細胞壁をもたない細菌)は、せん毛もべん毛もないのに動くことが出来るのです。ここで、博士とキノコ助手の会話の一部を紹介すると次の通り。
博士「マイコプラズマは、動物や植物材料に寄生はしても、宿主の細胞内には侵入せず、細胞表面にくっついて(接着というんじゃ)存在し、その多くは病原性をもつ厄介者じゃ。」
キノコ助手「厄介者はかんべんだなぁ。それにしても博士、せん毛もべん毛もないのに、どうやって動くんですか?」
博士「おお、そうじゃな! マイコプラズマは、ATPのエネルギーを使いながら動物細胞表面のシアル酸をつかんだり、引っ張ったり、離したりしながら前に進んでいると考えられているのじゃ。」
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……そんな動き方をする細菌がいるんですね!
また次の「1-2 生き物は「単細胞か多細胞か」では、「単細胞生物と多細胞生物の中間的な存在」のタマホコリカビという「はみだし生物」がテーマ(笑)。タマホコリカビには、単細胞で生活する粘菌アメーバ時代と、たくさんの粘菌アメーバが集合してナメクジのようになる多細胞時代があるそうです。
続く「Part2 生命現象と物質」では、遺伝子の水平伝播(種を超えた個体間やほかの生物間での遺伝子の取り込み)の例として、動物なのにセルロースでできた被のうに覆われている「ホヤ」が紹介されていました。進化の過程で、ホヤの先祖動物に、細菌からセルロース合成酵素と分解酵素の遺伝子が水平伝播することで、セルロース合成が可能になり、固着生活を送れるようになったと考えられているそうです。
……こんな感じで、「教科書には出ていない」ような生物の興味深い情報が、次々紹介されていくのです。専門用語が多くて、ちょっと難しい内容でしたが……これらは「大学入学共通テスト」の範囲外(はみだし)なので安心ですね(笑)。
『はみだし生物学 博士とキノコ助手の愉快な研究の日々』……中学や高校の教科書には収まりきらない生物学の面白さを教えてくれる本でした。博士とキノコ助手の楽しい掛け合いで話題が進んでいくし、可愛いイラストもあるので、難しい生物学のことを、気楽な読み物感覚で読み進められると思います。生物学が好きな方は、ぜひ読んでみてください。
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『はみだし生物学』