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第1部 本

生物・進化

食べた後どうなっているのか図鑑(べスタール)

『食べた後どうなっているのか図鑑 動物の消化器の秘密』2025/12/4
アイナ・べスタール (著), ビクトル・サバテ (著), 五十嵐加奈子 (翻訳), & 2 その他


(感想)
 動物はどうやって食べ物を栄養に変えているのか? プラナリアからヒトまで、消化器系を大解剖。何を食べて、どうやって栄養を得て、どこから出しているのか? 動物が生きていくことに欠かせない「食べてから出すまで」を、美しいイラスト(各動物の口、胃、腸、肛門などを図解)で解説してくれる本で、主な内容は次の通りです。
I 消化器系ってなんだろう?
II 消化器系の種類
無脊椎動物
脊椎動物
単胃動物
鳥類
反芻動物と偽反芻動物
III 食性の種類
肉食動物
草食動物
雑食動物
その他の栄養のとりかた
IV 70種類の動物とその消化器系
無脊椎動物 不完全な消化器系:フクロムシ/プラナリア/海綿動物など
無脊椎動物 完全な消化器系:ヒトデ/エリシア・クロロティカなど
脊椎動物 鳥類の消化器系:メンフクロウ/マメハチドリなど
脊椎動物 単胃消化器系:ヒト/アカカンガルー/イエネコなど
脊椎動物 反芻動物:ジャワマメジカ/ウシ/キリン/ヒツジなど
脊椎動物 偽反芻動物:カバ/フタコブラクダ/リャマ(ラマなど
用語集

『食べた後どうなっているのか図鑑』というタイトルだったので、動物の食道や臓器のなかで食べ物がどうなっているのかの写真などの、少しグロイ画像があるのかも……と恐る恐るページをめくったのですが……そんなことはなく、動物の体内の様子は、表紙のキリンの絵のような感じで、かんたんなイラスト表示でしたし、食べ物や獲物も「食べられる前」のイラストがほとんどだったので、安心して読み進められました。
 食べた後どうなっているのかについても、文章による簡潔な解説があるだけで、食べた後というよりも、どんなものを、どうやって食べているのか、何から栄養を得ているのか、に関する情報の方が多かったような気がします。
 内容のほとんどは、一つの生物が、見開きページの左側にその生物の普通のカラーイラスト、右側にその生物の体内の消化管などのモノクロイラストが大きく描かれていて、その周囲に簡単な解説や、好きな食べ物のイラストなどがあるという感じです。
 それにしても……世の中には、不思議な消化の仕方(栄養の取り方)をする生き物がこんなにいるんだなーと驚かされてしまいました。
 まず驚く……というか納得してしまったのがプラナリア。半分に切っても、それぞれ再生して2つの完全な個体になるという生き物ですが、彼らの食生活や消化管は……
「(前略)口は体の下部の中央にあり、そこから強力な咽頭を伸ばして食べ物を吸い込み、腸に運ぶ。」
「プラナリアの消化管はいくつにも枝分かれしている。それは、体がとてもシンプルな構造で、循環系がないから。消化した食べ物の栄養素を体細胞に運んでくれる静脈も動脈もなく、血液すらないので、消化器系はできるかぎり自分で栄養素を運ばなければならない。」
 ……なるほど。こんなシンプルな構造だから、半分になっても、問題なく、それぞれが再生できるんですね……。
 そしてプラナリアよりも、もっとシンプルなのが海綿動物で……
「海綿動物はとても原始的な動物で、ほとんどの動物にある消化器系などの器官をもたない。そのかわりに、個々の細胞がその機能を果たしている。たとえば、細胞は必要な栄養素や酸素を周囲の水から直接取り込んで消化する。このような消化を細胞内消化という。」
 ……個々の細胞が、それぞれ消化もしているんですか……。
 さらに動物なのに、なんと光合成をしている(のではなく、してもらっている?)のがエリシア・クロロティカという生き物で……
「動物と違って、植物は光合成によってエネルギーを得ている。日光を「燃料」にして、水と二酸化炭素を必要な栄養素に変換するのだ。エリシア・クロロティカは、植物がもつこのプロセスをみごとに再現している数少ない動物で、食べた藻類の細胞を自分の消化プロセスにとりこんで光合成をおこなっている。」
「葉緑体をとりこむ前の若いエリシア・クロロティカの色は、赤い斑点のある茶色。やがて成熟し、食べた海藻の細胞が消化器官にとりこまれると、あざやかな緑色になる。」
 ……葉緑体をこんな方法で取り込んでいるんですか……彼らが日光以外に取り込む(食べる)のは、1種類の海藻(ヴァウチェリア・リトレア)だけだそうです。
 またナマコも意外な行動をするようで……
「ナマコの消化器系は、栄養をとるためだけでなく、捕食者に攻撃されたときに相手の目をくらませる武器としても役立つ。攻撃を受けたとき、ナマコは内臓を体外に放出し(口から出すか肛門からだすかは、種によって異なる)、攻撃者が驚いて気をとられているすきに逃げる。内臓が再生するまでのあいだ、ナマコは内臓なしで生きつづけられる。」
 ……さらにアオミノウミウシは……
「(前略)アオミノウミウシの好物は、カツオノエボシ(人も殺せるほど強い毒をもつ偽クラゲ)などの有毒な動物だ。獲物がもつ有毒な細胞(刺胞)はアオミノウミウシの消化管を通過するが、消化はされず、手足のような突起(セラタ)の先端にある袋(刺胞嚢)に蓄えられる。アオミノウミウシはこの刺胞のなかにある毒針を使って獲物を攻撃する。」
 ……食べた毒を有効活用する生き物もいるんですね。
 とても意外だったのがチチュウカイマダコ。「腕の1本1本に小さな脳がある」のも意外ですが、その食生活は……
「(前略)タコの胃は、食べたものの消化が「一巡」して不要なものが排出管に送られるまでは、次の食べものを受け入れられない。」
 ……タコは意外に不便な食べ方をしていたんですね。
 さて、本書には、もちろん人間も出てきていて……
「調理をすることで、人間は食べ物からより多くの栄養素を引き出せる。そしてその栄養素が、自然界でもっとも発達している私たちの脳に、必要なエネルギーを与えてくれる。」
 ……調理を始めたことで食べ物を飲むのも消化するのも楽になったために、顎や歯は他の動物よりも丈夫でなくなり、消化管も短くなったのだとか。
 また私たちの友人ともいえるイエイヌも……
「約2万9000年前から約1万4000年前、人間はオオカミ(Canis lupus)を飼いならしはじめた。そして、人間に依存した生活の結果、イヌという亜種が誕生した。イヌの食生活は獲物を中心とする肉食から、人間が与える穀物などをふくむものとなり、その結果、消化のしくみにも変化が生じた。歯が小さくなり、顎の力が弱まるとともに、腸内細菌叢(腸内フローラ)が多様化し、でんぷんの消化に適応したものとなった。」
 ……人間と生活をともにすることで、身体(消化のしくみ)まで変化してしまったんですね……。
『食べた後どうなっているのか図鑑 動物の消化器の秘密』……豊富なイラストを使って、さまざまな生きものの消化のしくみを解説してくれる本でした。生物の本ではありますが、ほぼ「大型絵本」というイメージなので、生き物が好きな方へのプレゼントにしても喜ばれるかもしれません。みなさんも、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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『食べた後どうなっているのか図鑑』