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第1部 本
医学&薬学
トコトンやさしいプロバイオティクスの本(野本康二)
『今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしいプロバイオティクスの本』2025/3/2
野本康二 (著)

(感想)
「健康食品」としてのプロバイオティクスについて、約100兆個棲んでいるとされる私たち人間の腸内細菌叢(腸内フローラ)を中心に、健康に及ぼす影響などを、科学的根拠に基づいてイラストなどを活用して説明してくれる本で、主な内容は次の通りです。
第1章 プロバイオティクスとは?
第2章 プロバイオティクスの保健作用
第3章 プロバイオティクスの作用メカニズム
第4章 プロバイオティクスの代表的な微生物
第5章 次世代プロバイオティクスの可能性
第6章 プロバイオティクスの課題と今後
【コラム】
●国際生命科学研究機構(ILSI)
●大規模臨床試験の“implementation”
●生体防御システムの破綻による内在性感染の誘導
●北里柴三郎と嫌気培養
●未知菌分離の新規コンセプト
●研究の進め方~基本は人間?
参考文献
索引
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バイオティクスの定義と効果因子には、次の4つがあるそうです。
1)プロバイオティクス
(定義)適正な量を摂取したときに、宿主の健康に有益な作用をもたらす生きた微生物
(効果因子の例)安全性の担保されている主に乳酸菌類を主体とする細菌
2)プレバイオティクス
(定義)宿主微生物により選択的に利用された結果、宿主の健康上の利益をもたらす物質
(効果因子の例)各種オリゴ糖など
3)シンバイオティクス
(定義)プロバイオティクスとプレバイオティクスの併用
(効果因子の例)ビフィズス菌とオリゴ糖
4)ポストバイオティクス
(定義)不活化された微生物やその構成成分
(効果因子の例)各プロバイオティクスの過熱死菌体など
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そして「プロバイオティクスの基本要件」は次の3つなのだとか。
1)安全であること(生きた菌だから当たり前!)
2)科学的な証拠に基づいた保健作用を有すること
3)上市されて、品質保証期間まで、優に品質(生菌数やプロバイオティクスの機能性)が保たれること
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また「プロバイオティクスは基本的に菌そのもの」で、発酵食品とは少し違っているようです。次のように書いてありました。
「発酵食品は、「微生物の望ましい増殖と食品成分の酵素的変換によってつくられる食品」と解釈されています。多様な発酵基材と、これを発酵する微生物との組み合わせを持つ数多くの発酵食品が世界中に存在します。発酵食品を摂取する際に、同時にそれに含まれている発酵微生物も摂取しています。
「発酵食品はプロバイオティクスではないの?」という問いかけへの答えは、基本的には「No!」です。ただし、プロバイオティクスの要件を満たす系統分類学的に同定された微生物を所要量含む発酵食品は、当然「プロバイオティクス」です。」
……そうだったんだ……。
ところで、プロバイオティクスは「腸内フローラ」を改善させることで、私たちの身体全体の健康に寄与しているだけでなく、アレルギー疾患の予防や、メンタルヘルスにも良い効果を及ぼしているようです。アレルギーについては……
「(前略)世界アレルギー機関は、アレルギー発症リスクの高い児を出産する可能性の高い妊婦らにおけるアレルギー予防について、プロバイオティクスの使用を推奨するガイドラインを発表しました。」
そしてメンタルヘルスでは……
「自閉症や統合失調症、注意欠陥・多動性障害、大うつ病、拒食症、パーキンソン病、アルツハイマー病などさまざまな精神・神経疾患における腸内フローラの異常を示す報告が蓄積しています。発症の仕組みとして、腸管上皮バリアの統合性が破綻し、腸内常在菌で特にない毒素を有する大腸菌などが生体内に侵襲し、宿主の免疫系などに悪影響を及ぼす代謝性内毒素血症が多くの疾患の引き金となるほか、進行に影響を及ぼすことが考えられています。」
……ここでは「脳-腸-腸内細菌叢 相関におけるプロバイオティクスによる作用」について、次のように書いてありました。
1)有機酸産生の促進→有害菌レベルの低下、腸管上皮バリア機構の強化、特異的受容体を介する全身的な神経刺激
2)神経伝達物質の産生亢進(腸管上皮細胞、腸内細菌、プロバイオティクス自身)
3)自然免疫系(樹状細胞やマクロファージ)を介する免疫調節作用
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プロバイオティクスは私たちの体内の腸内フローラの状態を良くするので、心身の健全化の役にたっているんですね……乳酸菌やビフィズス菌は大事なんだ……。
なお最近では、牛や豚にも活用されているようです。
「牛や豚、鶏など産業動物の幼若期の飼料に、抗菌剤を添加することは一般的です。これは幼若期の感染予防により、動物の順調な生育を促すことを目的としています。しかし、継続的な抗菌剤の摂取が耐性菌の誘導につながる危険性から、現在では抗菌剤の飼料添加は抑制される傾向にあります。こうした背景から、抗菌剤の感染予防効果を代替することを狙いに、最近ではさまざまなプロバイオティクスを含む家畜(家禽)飼料が取り入れられています。」
……抗菌剤よりはプロバイオティクスの方が、家畜の健康にも良さそうですね……。
このように「なんとなく身体に良い」ことが認知されているプロバイオティクスですが、最近は、「マルチオミクス研究(遺伝子(マイクロバイオーム)、タンパク質(プロテオーム)、さまざまな代謝産物(メタボローム)、遺伝子発現(トランスクリプトーム)を網羅的かつ精細に解析する研究)」などで、その作用が科学的に明らかにされつつあるそうです。
『今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしいプロバイオティクスの本』……効き目はあるようだけどわからないことも多いと思われているプロバイオティクスについて、科学的証拠も含めて解説してくれる本でした。後半はかなり専門的な内容になって、ちょっと難しく感じてしまいましたが……とても参考になったと思います。興味がある方は、ぜひ読んでみてください。
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『トコトンやさしいプロバイオティクスの本』