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第1部 本
生物・進化
新 都市動物たちの事件簿(佐々木洋)
『新 都市動物たちの事件簿』2025/9/29
佐々木洋 (著)

(感想)
「都民もクマ鈴が必要になる日が来る?」、港区育ちのカブト・クワガタ急増中! など、プロ・ナチュラリストの佐々木さんが「都会派動物たち」のエピソードを語ってくれる本で、『都市動物たちの事件簿』(1995年)の続編です。
最初のエピソードは、2025年には日本各地で死者がでるほど大事件を起こしている「クマ」に関するエピソード。実はすでに2023年10月に、東京都町田市内でツキノワグマが目撃されていたそうです。
「町田市の発表によると、町田市相原町の青少年施設「ネイチャーファクトリー東京町田」の敷地内で、二〇二三年十月十八日の午前八時ごろ、登山道を散策していた人が、体長九〇センチメートルほどのツキノワグマ一頭を目撃したそうだ。クマは山中に逃げ、人的被害や農作物の被害は確認されていないとのことだ。」
……神奈川県相模原市の住宅地でも、ワナにツキノワグマがかかったようです。ここに出現した理由としては……
1)近くにオニグルミの大きな木があった(クマの好物)
2)近くに道志川が流れている(野生哺乳類は川に沿ってよく移動する)
……ということですが、2025年はドングリが凶作で、クマは住宅街まで出没するようになりました。里山近くの方はもちろん、近くに川が流れている地域の方も、注意が必要だと思います。
次の事件簿は「大都会で増加するカブトムシ、クワガタムシ」。どちらも大人気の昆虫なので、事件ではなく良いことのような気もしますが、これは「大径のナラやカシ、シイ類を残して細い木や下層木のみを伐採する『公園型整備』」が原因の一つのようです。
「大径木が増えすぎると、それらにカシノナガキクイムシが入りやすくなる。すると、あちこちでナラ枯れが蔓延する。すると、樹液がたくさん出て、それらにカブトムシやクワガタムシが集まる。すると、カエンタケの被害に遭う人が出る。」
……という流れになるようで、カブトムシ、クワガタムシだけでなく、「食べても触ってもいけない」ほど超危険なキノコ(カエンタケ)も増えているので、注意が必要なのだとか。
その次は「アーバンオウル」。なんと二〇二二年春に、皇居と赤坂御用地でフクロウの繁殖が確認されたそうです。
フクロウが東京都心部に定着し始めた主な理由としては……
1)フクロウの餌がたくさんある(クマネズミ、ドブネズミの増加)
2)フクロウが営巣できる木が多くなった(公園の木が大きくなっている)
3)都心部のカラスが減った
4)フクロウが都会に文字通り適応してきた
……都心で増えているネズミ類を駆除してくれるなら、ありがたい存在のような気もします……。
さらに「ニホンアナグマが東京二十三区でも確認されている」、「海辺の鳥と思われていたイソヒヨドリが八王子駅などで確認された」、「二〇二三年頃から東京二十三区内でアズマヒキガエルが激減している(同じころ二十三区内でアライグマが増加しているので、その餌になっている可能性がある)」、「葛飾区水元公園でマスクラットが確認されている」などの事件簿が続々と……。
このうち「マスクラット」は、軍用毛皮のために戦中に輸入され、養殖されていたことが原因ではないかとのことでした。……そうだったんだ……。
また伊豆大島や千葉県房総半島では「キョン」が増加中のようですが、これは「都立大島公園で飼育されていた十数匹が1970年の台風で壊れた柵から逃げ出して野生化したもの」や、「2001年に閉園した勝浦のレジャー施設から1960~1980年代に逃げ出して定着したもの」のようです。シカの仲間のキョンは泳げるので、そのうち東京都内にも出現するかも?
そして終章は「「動物事件」の起こりやすい都市の自然観察ポイント ベストテン」。古いカレンダーの下とか、樹名板の下、プランターの下とか、事件の起こりやすい場所、潜んでいることが多い生き物が紹介されています。
栄えあるベストワンに輝いたのは、「三角コーン」。ここでは……
「(前略)セアカゴケグモがわりとよく潜んでいるのが三角コーンの内側なのだ。私の観察では、たいがい、立っている三角コーンの内側の一番上の尖った部分にいることが多い。湾岸部に長い期間立てられている三角コーンは、とくに気をつけたほうがよい。
調査や確認をする場合は、厚手の手袋をして、じゅうぶんに注意してほしい。」
……うわっ! 毒グモのセアカゴケグモですか! うっかり触らないようにしないと……。
『新 都市動物たちの事件簿』……東京などの都市の動物事情について、詳しく教えてくれる本で、とても興味津々でした。意外なほど多いんですね……。
冒頭には4ページのカラー写真があり、ツキノワグマや青いダンゴムシ、水元公園を泳ぐマスクラットなどを見ることができます。
思わず見に行きたくなるような「都会派動物たち」について知ることができるので、みなさんも、ぜひ読んでみてください☆
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『新 都市動物たちの事件簿』