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第1部 本
IT
Azureの知識地図(土田純平)
『Azureの知識地図 クラウドの基礎から実装・運用管理まで』2025/5/13
土田 純平 (著), 永田 祥平 (著), 栗本 美穂 (著), 石塚 航希 (著), 乃村 翼 (著), & 2 その他

(感想)
Azureの基礎と全体像を体系的に学びたい人が、「Microsoftが公開しているAzureの公式ドキュメントに書いてあることがわかるようになる」ことを目的とした本です。
Azureの公式ドキュメントは無料でWeb上に公開されていますが、固有のサービス名や専門用語が使われているため、初学者が全体像を把握するには時間を要します。また、クラウドサービスは頻繁に更新され、新機能や新しい考え方が生まれます。この本は「すぐにAzureを使いこなす」ことよりも「変化するドキュメントや仕様を理解できる基礎知識を身につける」ことを目指していて、主な内容は次の通りです。
第1章 クラウドサービスとAzureの基礎
1.1 クラウドサービスについて知ろう
1.2 Azureの基本を知ろう!
1.3 Azureの無料枠と利用料金の見積もり
1.4 Azureへのサインアップ
1.5 はじめてのAzure portal操作とリソースグループ作成
第2章 AzureのIaaSを知ろう
2.1 Azure上にネットワーク環境を作りたい
2.2 Azure上に仮想マシンを立てたい
2.3 Azureとオンプレミスネットワークを接続したい
2.4 【ハンズオン】仮想マシンをデプロイしてみよう
2.5 【ハンズオン】ハンズオンリソースの削除
第3章 AzureのPaaSを知ろう
3.1 Web上にアプリケーションを作りたい
3.2 データを保存したい
3.3 サービス間を連携したい
3.4 分析をしたい
3.5 IoTをしたい
3.6 AIを使いたい
3.7 セキュアなPaaS環境の構築
3.8 アプリケーションの開発環境を知る
3.9 【ハンズオン】オリジナルChatGPTアプリケーションをデプロイしてみよう
第4章 Azureでシステムを構築・運用しよう
4.1 セキュリティ、ガバナンスを強化したい
4.2 運用と管理を効率化したい
4.3 Azureを実務で使うためのよくあるアーキテクチャを押さえる
第5章 Azureの知識の深め方を知ろう
5.1 Azureの知識の深め方を知ろう
5.1.3 資格取得のススメ
5.1.4 サポートの使い方
5.1.5 Azureの情報収集
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正直に言ってMicrosoftだけでなくGAFAの公式ドキュメントやQAは、ただでさえ専門用語だらけで分かりにくいのに、直訳調の日本語で書かれていることが多く、読んでいると頭が痛くなってきて、すぐに逃亡したくなります(苦笑)。
この本は幸い日本語で書かれているので、専門用語は多いものの、「逃亡」までには至らず、最後までなんとか読むことができました。……とは言っても残念なことに具体的な事例は少なかったので、Azureを使いこなせるようになるというよりは、「公式ドキュメントを読む気にさせてくれる」ところまで導いてくれた、という感じでしたが……。
でもIT技術者にとって、今後、クラウド環境は避けて通れないものだと思います。というのも「第1章 クラウドサービスとAzureの基礎」にあるように……
「ITシステムの利用で売上増大、経費削減、利益増大を狙うには、スピードが重要です。クラウドはビジネスニーズに合わせて柔軟にリソースを利用できるのが大きなメリットです。
また、仮にこれ以上収益が見込めないと判断した場合でも、クラウド上のリソースを削除するだけで迅速に事業から撤退してほかのビジネスへの影響を最小限に抑えることができます。」
……またクラウドは、セキュリティ対策や運用管理などの地味だけど非常に大切な仕事を、クラウドベンダーに任せられるという大きなメリットがあります。
「(前略)パブリッククラウドを使用することで単純に見えないコストをクラウドベンダーに委ねられるだけでなく「空いた時間で技術者のみなさんがより価値のあるものを作れる」という観点も重要です。」
……セキュリティ対策や運用管理は、IT技術者にとって、あまり「わくわくする仕事」ではないので、モチベーションの面でも、パブリッククラウドの利用には価値があるのではないでしょうか(笑)。
そんなクラウドサービスの利用形態には、次の3種類があります。本書の説明によると……
1)IaaS(Infrastructure as Service):物理的なコンピューティングインフラストラクチャ(サーバー、ストレージ、ネットワーキングなど)が仮想化され、オンデマンドで提供されます。利用者はクラウド上に仮想的なネットワークをデプロイしたり、その中に仮想マシンを作成したりしてシステムを構築できます。
2)PaaS(Platform as Service):アプリケーションを構築・実行するためのプラットフォームが提供されます。ハードウェアやミドルウェア、開発ツールなどがクラウドベンダーによって管理・統合され、開発者はアプリケーションのコードに集中できます。
3)SaaS(Software as Service):アプリケーションがクラウドベンダーによって提供され、ユーザーはそれを利用するだけで、バックエンドのインフラストラクチャやアプリケーションのメンテナンスについて気にする必要がありません。たとえばMicrosoft365やX(旧Twitter)などがSaaSの例です。
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本書の2章ではIaaS、3ではPaaSについての詳しい解説がありました。
個人的に特に参考になったのは、「第4章 Azureでシステムを構築・運用しよう」の後半。「4.3 Azureを実務で使うためのよくあるアーキテクチャを押さえる」では、5つのシナリオごとに、それを行うために使用しているサービスの名前と役割が概説されていました。
例えば「シナリオ1:オンプレミスからの仮想マシンの移行とハイブリッド接続(オンプレミスのデータセンターの拡張として利用する)」では、その「全体像」として……
1)ハブアンドスポーク構成:ハブにゲートウェイやファイアーウォール等の共有リソースを配置し、スポークに各システムを配置します。ハブとそれぞれのスポークは別のサブスクリプションに展開します。
2)オンプレミスとの接続:ExpressRouteを利用して閉域で接続します。
3)移行:オンプレミスの仮想マシンをAzureに移行します。Azure Migrateを利用して移行を行います。
4)バックアップ:Azure Backupを利用してバックアップを取得します
5)可用性:仮想マシンは可能な限り可能性ゾーンを活用し単一ゾーンの障害に対応します。
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また「シナリオ5:社内チャットによる文章の検索と回答生成(Azure OpenAI ServiceとAzure AI SearchによるRAG)」の全体像は……
1)データベースの収集と整理:Azure Blob Storageに保存された企業文書やデータベースがAzure AI Searchによってインデックス化されます。
2)質問の解析と処理:ユーザーからの質問はAzure App Service上でホストされているWebアプリケーションに入力され、Azure OpenAI Serviceで解析(検索クエリ化)されます。
3)検索と回答の生成:解析された質問に基づき、Azure AI Searchが適切な情報を文書から検索し、Azure OpenAI Serviceがそれを基に具体的な回答を生成します。
4)結果の提示:生成された回答は、Webアプリケーションを通じてユーザーに提供されます。
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……この他に、「シナリオ2:Webアプリケーションの展開」、「シナリオ3:仮想デスクトップ基盤の展開(Azure Virtual Desktop)」、「シナリオ4:IoTデバイスのリアルタイムなデータモニタリング」がありますので、この中から自分のやりたいことに近いシナリオを探して、その解説を読むと、理解が進みやすいのではないかと思います。
なお「Azure公式ドキュメント」で、英語のページが表示されてしまった時には、英語ページ中のURL中の「/en-us/」を「/ja-jp/」に変更すると日本語ページに切り替わるそうです(日本語ページが存在する場合のみ)。
『Azureの知識地図 クラウドの基礎から実装・運用管理まで』……「Microsoftが公開しているAzureの公式ドキュメントに書いてあることがわかるようになる」ための本で、とても勉強になりました。Azureを学びたい方、使いたい方は、ぜひ読んでみてください。
なお、このシリーズからは『AWSの知識地図』という本も出ているので、AWSを学びたい方、使いたい方のために、以下の商品リンクでは両方を紹介しています。
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