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第1部 本

三行で撃つ(近藤康太郎)

『三行で撃つ 〈善く、生きる〉ための文章塾』2020/12/12
近藤 康太郎 (著)


(感想)
「朝日新聞」名物・名文記者の近藤さんが、「あの人の文章は、ちょっといい」と言われるようになる技術(技巧25発)を教えてくれる本で、主な内容は次の通りです。
はじめに
第1章 文章の基本
■第1発:三行で撃つ――書き出しを外すと、次はない。
■第2発:うまい文章――うまくなりたいというけれど。
■第3発:すべる文章――読みやすさはきめ細やかさ。
第2章 禁じ手を知る
■第4発:常套句・「としたもんだ表現」――親のかたきでござります。
■第5発:擬音語・擬態語・流行語――エモいも、ほっこりも、マジ、やばい。
■第6発:起承転結――転を味方につければサバイブできる。
■第7発:共感させる技術――響く文章は、説明しない。
第3章 ライターの心得
■第8発:ライターになる――誰にでもなれるが、なれないのはなぜか。
■第9発:説得する技術――メール上手は幸せな人生を送る。
■第10発:一人称・読者の設定――だれが書くか。だれに書くか。
第4章 書くための四つの道具
■第11発:ライターの道具箱――メンテナンスし、持ち歩く。
■第12発:語彙【道具箱・一段目】――増やすには逆に制限する。
■第13発:文体【道具箱・二段目】――スタイルのない人間は、みじめだ。
■第14発:企画【道具箱・三段目】――なにが、わたしにしか、書けないか。
■第15発:ナラティブ【道具箱・四段目】――有限の物語を無限化する最強の武器。
第5章 読ませるための3感
■第16発:スピード感【3感・其の一】――主語と語尾で走り出す。
■第17発:リズム感【3感・其の二】――静かな文章でも話芸から盗める。
■第18発:グルーヴ感【3感・其の三】――推敲でサウンドチェックする。
第6章 自己管理の技術
■第19発:意見や助言――人の話は、聞いて、聞くな。
■第20発:時間管理・執筆環境――いつ書くか、どこで書くか。
■第21発:書棚整理術――抜き書き帳で脳内を可視化する。
第7章 生まれたからには生きてみる
■第22発:文章、とは――良く生きる、善く生きる、好く生きる。
■第23発:言葉、とは――言葉は道具ではない。
■第24発:書く、とは――わたしは、書かなければならない。
■第25発:痕跡――わたしは書き残す。あなたが読み解く。
おわりに
   *
 この目次が、まさに、その技術の一覧になっているので、文章を書くのに迷った時には、これを眺めると何かヒントを得られるかもしれません。
「はじめに」には、次のように書いてありました。
「(前略)雑誌や新聞やネットで、原稿の受け手である編集者から「このライターは、まあまあ書けるよ」と認められるくらいの文章術は、教えられる」
 ……なお近藤さんは、鉄砲撃ちの猟師でもあるので、これらの技術は散弾銃の弾丸(発)になっています。
「25発としたのは、散弾銃の弾丸にたとえたものです。(中略)
 それは、猟と、文章を書くことが、とてもよく似ているからです。
 前述したように、猟も、文章も、とてつもなく難しい。五感を使う、肉体的な作業です。」
 ……その一発目、「第1発:三行で撃つ」には、ハッとさせられました。
「一発外すと、次はない。
 鹿や猪、鴨を追っている猟師は、それが体でわかっています。自動式銃だと三発は連続して撃てるのですが、最初の弾を外すと、次はまず、ないですね。山に、空に、獲物は逃げていく。
 文章と似ています。最初の一文、長くても三行ぐらいでしょうか。そこで心を撃たないと、浮気な読者は逃げていきます。続きなど読んでくれない。」
   *
「書き出しの、のけぞらせる一行目は「銃」である。
 しかし、それはまだ、発射されていない銃だ。そこにあることは、分かっている。読者は、銃を見て、ぎょっとしている。弾丸が入っているのかどうか、おそるおそる、しかし好奇心には勝てず、二文目、三文目と読み進めている。うまくいけば、最後まで読んでくれる。(中略)
 読者を、のけぞらせたままにしてはいけない。のけぞらせた一球目に意味があった。そういう配球で、三振にとらなければならない。
銃が出てきた以上、それは発射されなければならないのだ。」
   *
 ……うーん、まさにその通りですね……さすがは名文記者だ……。
 続く二発目、「第2発:うまい文章」には、ずばり「うまいとは、分かりやすいことである。」とありました。その原則は次の三つだけだそうです。
1)文章は短くする。
2)形容語と被形容語はなるべく近づける。
3)一つの文に、主語と述語はひとつずつ。
   *
 ……そして三発目、「第3発:すべる文章」は、すごく耳に痛かったです……。
「「など」「いろんな」「さまざまな」。こういうのはすべてエクスキューズ語です。具体的に言えないんです。考えていないんです。めんどうくさいんです。投げちゃってるんです、ライターの仕事を。ものすごく読みにくい、逃げ。」
   *
 ……こんな感じで、すごく分かりやすく、「ちょっといい文章」の書き方を具体的に教えてくれるのです。
 これ以降も、参考になる話がたくさんありました。そのごく一部を紹介すると次のような感じ。
・「常套句をなくせ」(ありきたりな表現になるだけでなく、ものの見方を常套的にさせてしまう。)
・「われわれは、感情を文章で説明してはならない。」
「<論>ではなくて、<エピソード>に語らせる。場面に語らせるんです。」
・意見や助言を聞く
「なんで耳をふさぐ必要がありますか? いい文章を書きたいという人間は、どんな下劣な人間からでも、学べます。」
・正義を伝えたいときは書き方に注意
「原稿に、嘲りや、説教、一刀両断にする正義があったとき、その、ほんとうに読んでほしい想定読者は、耳をふさぐ。」
   *
『三行で撃つ 〈善く、生きる〉ための文章塾』……文章技術はもちろんのこと、思考の深めかた、感性の磨きかた、時間・自己管理、インプットの仕方までを教えてくれる本で、とても勉強になりました。「オノマトペを使うな」、「形容詞を使うな」など、かなり厳しいアドバイスもありましたが……特に文学作品を書くときに、とても参考になるのではないでしょうか。みなさんも、ぜひ読んでみてください☆

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『三行で撃つ』