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第1部 本
社会
比較政治学の考え方〔新版〕(久保慶一)
『比較政治学の考え方〔新版〕 (有斐閣ストゥディア)』2025/9/27
久保 慶一 (著), 末近 浩太 (著), 高橋 百合子 (著)

(感想)
主に新興国の政治現象を理解するのに重要なテーマを取り上げて、構造・制度・アクターという3つの点に着目して説明した比較政治学の教科書です(初版刊行後の研究の進展や現実の動きをふまえて全体を見直し、「選挙制度」「ジェンダー」の章を新設しています)。
「はじめに」には、次のように書いてありました。
「(前略)このテキストは、比較政治学者がある現象を説明しようとするときに、どういった点に着目するか、その「考え方」を伝えることを主眼としている。」
そして「Chapter 1 比較政治学の方法と着眼点」では……
「本書では、比較政治学を、「世界中で生じる国内の政治現象を研究し、そこから普遍的な理論を導き出すことをめざす学問」と定義する。この定義には、次の2つの特徴が含まれている。第1の特徴は、分析対象が国内の政治現象であるという点であり、国際関係論(国際政治学)との基本的な違いである。第2の特徴は、普遍的な理論を志向する点であり、地域研究との基本的な違いである。」
……そして比較政治学の役割とは……
・「(前略)比較政治学の理論の役割の一つは、ある政治的現象を言い表すための概念を考案し、それが何を意味するのかを明確に定義することである。」
・「(前略)比較政治学の理論は、ある現象と、その原因または結果と考えられる現象との間の因果関係をめざすのである。」
・「因果メカニズムに関する推論とは、(中略)ある要因が、なぜ結果を変えるのか、その論理的な理由を明らかにするということである。」
……そして、さらに……
「(前略)内戦や汚職はなぜ起こるのかを明らかにすることは、それを避けるにはどうすればよいかを理解し、それをもとに現実の世界を改善していくことにつながるのである。」
……それは素晴らしいですね!
比較政治学は、主に次のような方法を使って研究されているそうです。
<比較政治学の方法>
1)統計分析:多数の事例に関するデータを収集し、それを統計的に処理することを通じて因果推論を行う手法。
2)数理モデル:政治的行為者(アクター)の行動原理と意思決定状況を数理的に表現し、そこから予測される結果を演繹的に推論する研究アプローチ。
3)事例研究:ある事例において生起した事象を具体的に記述すること。
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例えば「Chapter 6 内戦」では、内戦は次の要件を満たす武力紛争だとしています。
1)ある国の内部で紛争が起こっている
2)当該国の政府と反政府勢力による武力衝突を伴う
3)紛争が大規模
4)犠牲者が紛争当事者の双方に一定程度生じている
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そして内戦には次のような特徴があるようです。
・経済発展水準が低い国ほど内戦が起こりやすい
・内戦の発生要因としては、言語の多様性よりも宗教の多様性のほうが重要
・内戦は、体制の移行期や、政治体制が独裁と民主主義の間の中間的状態である場合に起こりやすい など
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また民族と紛争発生の関係には……
1)政治的に重要な民族集団のうち、権力から排除されている集団の人口比率が大きいほど、排除された集団による武装蜂起が起こりやすい
2)権力を共有する民族集団の数が多いほど、そうした民族集団の間で、国家権力をめぐる武力紛争が起こりやすい
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……なるほど。比較政治学では、このような政治現象を、データ分析や事例研究をもとに解きほぐしているので、その解説に、とても説得力を感じました。
この他にも、既存国家の解体と新国家の誕生、国家による統治の弱体化・崩壊が起こるのは何故なのかとか、民主化はどんな要因で起こるのかとかについての研究を数多く知ることができて、とても勉強になりました。
『比較政治学の考え方〔新版〕 (有斐閣ストゥディア)』……政治現象について総合的に分かりやすく解説してくれる「比較政治学の教科書」でした。政治や経済に興味のある方はもちろん、あまり政治に詳しくない一般の人にとっても、政治を理解するための入門書として活用できると思います。ぜひ読んでみてください☆
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『比較政治学の考え方〔新版〕』