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第1部 本
絵本づくり
あの人の調べ方ときどき書棚探訪(平山亜佐子)
『あの人の調べ方ときどき書棚探訪: クリエイター20人に聞く情報収集・活用術』2025/5/26
平山亜佐子 (著)
(感想)
作家やライター、研究者、翻訳家、漫画家、編集者など各分野の第一線で活躍している総勢17組計19名(プラス著者で計20名)が、情報の収集方法や整理・活用のコツ、自慢の書棚と愛読書などを対談形式で紹介してくれる本で、主な内容は次の通りです。
はじめに
【第1章 文献調査】
1節 山本貴光さん 多資料の探し方とリストの活用
2節 速水健朗さん 現代文化の資料の探し方
3節 安田理央さん 図書館にない資料の探し方
4節 かねひさ和哉さん 古いアニメーションの探し方
5節 済東鉄腸さん 独学で多言語を学んで書くときの調べ方
6節 永美太郎さん 漫画資料の探し方
7節 友田健太郎さん 「僕」の歴史の調べ方
8節 塩崎省吾さん 料理に関する資料の探し方
【第2章 書棚探訪】
9節 小林昌樹さん 出版史に特化した書棚
10節 山田参助さん 漫画ときどき映画ポスターの書棚
11節 吉川浩満さん 電子書籍の本棚、管理と活用
12節 山崎まどかさん&長谷川町蔵さん 海外文学、映画、音楽の書棚
13節 イーピャオさん 普通こそが面白い書棚
14節 柳下毅一郎さん 特殊翻訳家の書棚
15節 都築響一さん 終活を見据えた書棚
16節 小野島 大さん レコードとCD、ときどき雑誌の書棚
17節 斎藤哲也さん&澁川祐子さん 哲学と食、工芸の書棚
18節 平山亜佐子(番外) 自分史そのままの書棚
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おわりに
*
主に情報収集・整理術を教えてもらう「1章 文献調査」と、実際に蔵書を拝見しながら本の扱い方や愛着などをお聞きする「2章 書棚探訪」という構成となっています。
なお本書は、ご自身も文献調査や情報収集・整理を得意とする平山さんが、動画プラットフォーム「シラス」で2023~2024年に配信していた人気動画シリーズをもとに、プラスαの内容を加えてまとめ直したものだそうです。
さて、「1節 山本貴光さん 多資料の探し方とリストの活用」では、山本さんが図録(「世界を変えた書物展」の公式図録)の解説を書くときの調べ方について、次のように対談していました。
平山「解説を書く際に調べものとかされましたよね(笑)。」
山本「もう調べものしかしてない。しかもね、気をつけないと元の本を読まずに説明を書いてしまうということが世の中にあるわけです。ついWikipediaとか二次文献に書いてある説明を孫引きして済ませてしまうとか。それは極めて危険なことでね。この本では、それだけはやらないという方針をとりました。」
平山「それはでも大変ですよね。要するに外国語ですからね。しかも九〇冊分。」
……本当に凄いですね。山本さんの自宅の本は、書棚では足りず床から積んでいるそうです。そして平山さんも……
平山「でも買わないといけない本というのもやっぱりあるんですよね。私の場合、本は調べものに必要なんですけど基本的には国会図書館に行って複写するか、あとはそのために図書館に勤めてもいるのでそこで借りるか、借りて読んで買わなきゃと思うものは買うし、論文はデータで持つかプリントアウトします。それを百均のプラスティックケースに入れてラベルを貼って分類している感じです。」
…さらに、次のようにも……
山本「(前略)本探しの話で、あるかどうかさえわからない資料を平山さんはどうやって探していらっしゃいますか?」
平山「(前略)一番便利だったし一番使ったのが実はGoogleブックスです。」
山本「やっぱりそうですね。」
平山「今でこそ国会図書館オンラインでも一部の資料の全文検索ができたりしますけど、本当にちょっとした記述が拾われているのはGoogleブックスなんですよね。」
……こんな感じで、国会図書館や図書館、書店や古書店、Googleブックスなどを利用しているようでした。
他の方たちとのインタビューでは、「新聞縮刷版10年分」とか、各種の「年表」などの話もありました。ある「時代」をテーマにした話を書くときには、「年表」を利用すると良いようです。
さらに図書館にない資料の探し方としては、ヤフオクや、自分のテーマに関する研究会(料理に関する資料としては「近代食文化研究会」など)や知人(オタクな人々)からという方法もあるようでした。
「7節 友田健太郎さん 「僕」の歴史の調べ方」では……
友田「そんなに特別なことはしてなくて、ひたすら関係のありそうなものを読んでいった。よく言われる本の後の参考文献をともかくチェックして芋づる式に探して、都内を駆け巡る。国会図書館、東京都立図書館、西国分寺の方にも行きましたし、区立図書館も以外とありますよね。」
……やっぱり、こういう地道な方法も大事なんですね……。
そしてとても参考になったのが、「6節 永美太郎さん 漫画資料の探し方」での対談。
平山「先ほどお聞きしてびっくりしたんですけど、映画のセットとか撮影所の雰囲気を写真だけじゃなくって動画(映画)から探るのが実は有効であるという。」
永美「そうですね、例えば『歌え! 青春はりきり娘』の東宝の撮影所のシーンをワンショットずつキャプチャしてます。雰囲気がつかめますし、ロケーションもあったりするんで、豪徳寺駅の雰囲気、世田谷界隈はどうなってんのかとかキャプチャから拾ったり、こういう資料、『1945-54 写真で見る戦後復興期の世田谷:平成19年度特別展』(世田谷区立郷土資料館)を組み合わせたり。漫画家はビジュアルを描けないといけないのでね。こういう点を組み合わせて何となく頭の中に3Dが構築されていく。いろんな資料を見まくっていると夢で映像化される。」
……なるほど! 漫画を描く場合には、単なる「写真」だけより、「動画のキャプチャ」の方が、自分が欲しいアングルを探せるし、雰囲気もつかみやすいから便利なのかもしれません。
そして「第2章 書棚探訪」では、作家やライターのみなさんの「本が溢れまくっている感じの書棚」に圧倒されました(笑)。売りに出ていた隣の家を買って自分の「古本屋敷」にしてしまった方や、きちんとジャンル仕切りをしている方など、とにかく大量の本が……。
「11節 吉川浩満さん 電子書籍の本棚、管理と活用」では、本が増えすぎたため、生活空間を確保するために、「自炊(本の電子化)」を始めたという話もありました。裁断機としては「ドイツのDAHLE社のDURODEX 200DX(2~300ページの本ならカバーごと裁断できる高級品)」、スキャナとしては「PFU ScanSnap iX1600」を利用しているそうです。
同じように本や音楽、映像を電子化している方は他にもたくさんいて、保存を二重化しているなど、具体的な方法についても説明がありました。
また「15節 都築響一さん 終活を見据えた書棚」では、大量の本を所有していた都築さんが、去年の春ぐらいに凄い量の本をほぼ処分した理由として……
都築「やっぱりいい年になったら供給側に回らないといけないと思うわけ。古本じゃないと買えない人がいっぱいいるわけじゃない。それから切実に探している人。だから次世代に手渡していくことの方が大事だと思う。」
……なるほど……それも大事なことかもしれません……。
『あの人の調べ方ときどき書棚探訪: クリエイター20人に聞く情報収集・活用術』……情報の収集方法や整理・活用のコツ、自慢の書棚と愛読書などについて具体的にじっくり語ってくれる本で、とても興味深かったです。
情報の調査方法としては、割と一般的な(地道な)方法が多かったように感じましたが、みなさんが「座右の書」として教えてくれるおすすめ本などは、読んだことのない本が多くて驚きました。かなりの読書好きだと自負していたのに、知っていた本は一割ぐらいしかない……対談相手が「クリエイター20人」のみなさんなので、かなりマニアックな本が多かったような気がします(笑)。話の内容もとてもマニアックで、ちょっとクラクラしてしまいそうでしたが、面白かったです。
興味あるテーマについて調べたい、集めた情報を活用したいと考えている方はもちろん、読書好きの方も、ぜひ読んでみてください。
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