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第1部 本

絵本づくり

電子コミックビジネスのしくみと戦略がこれ1冊でしっかりわかる教科書(電子コミックビジネス研究会)

『図解即戦力 電子コミックビジネスのしくみと戦略がこれ1冊でしっかりわかる教科書』2025/9/8
電子コミックビジネス研究会 (著)


(感想)
 この10年で出版社発のポータルサイトだけではなく、SNSアプリ、投稿サイト、プラットフォームなど、オンラインでボーンデジタルのコミックが生まれヒットしています。スマートフォンでの読書に対応して、大量に電子化された既存のコミックも、読み放題などのサブスクのサービスに拍車をかけています……成長著しい電子コミックビジネスの現状と将来性について解説してくれる本で、主な内容は次の通りです。
CHAPTER1 電子コミックが担う出版ビジネスの夜明け
CHAPTER2 どんな電子コミックサービスがあるか?
CHAPTER3 電子コミックビジネスの多様な販売戦略
CHAPTER4 電子コミックの制作・流通・収益のしくみ
CHAPTER5 編集の現場が変わる 電子コミックの作り方
CHAPTER6 縦スクロール漫画が広げたマーケット
CHAPTER7 デジタル&多言語翻訳で加速するグローバル市場
CHAPTER8 電子だからできる 自らビジネスするマンガ家
CHAPTER9 知っておきたい電子コミックビジネスと法律
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「CHAPTER1 電子コミックが担う出版ビジネスの夜明け」によると……
「好調な電子書籍市場は今や出版市場全体の36.0%を占め、10年連続で拡大。しかも、「電子コミック」の割合が90.5%で、2023年から「9割」を超え、電子書籍市場=ほぼ電子コミック市場を指すといっても過言ではない状況です。」
 ……いつの間にか、出版業界の中で「電子書籍市場」が拡大していたんですね。なかでもスマートフォンとの親和性の良い電子コミック市場は好調です。その理由は、「いつでもどこでも読める利便性」だけでなく、「再販制度の対象外」ということも大きいようです。
「日本の再販制度は「有体物」にのみ適用されると法律で定められているため、「無対物」である電子書籍には当てはまりません。これによって、電子コミックは柔軟な価格戦略をとることができるのです。」
 ……再販制度に縛られていない電子コミックは、大幅割引や期間限定の無料、さらにサブスクリプションモデルなどが使えるという特性があるようです。
 また日本の電子書籍もEPUBという国際標準規格のファイルフォーマットを使っているそうです。
「(前略)日本の電子書籍のフォーマットは、2012年にEPUB(イーパブ/Electronic PUBlication)の統一仕様が発表されたことにより、制作側のコストも減りました。」
 ……国際標準規格になっているなら、安心して利用できそうです。
 それでも日本の出版業界は、海外に比べるとデジタル社会への対応が遅れているようで、次のようにも指摘されていました。
・「欧米と違って、日本の出版業界には独特の構造があります。決められた定価で販売する「再販制度」と、限定された期間内は100%返品可能な「委託制度」に加え、雑誌と書籍が同じビジネス(業種)として扱われることです。」
・「雑誌が売れなくなったのは、世界がデジタル社会に移行していく中で、出版業界がその変化についていけなかったからです。海外のように書籍のみで成立する出版流通システムへの構造的変化を図るべきでしたが、どうにもならないまま現状に至るのです。」
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 そんな中でも、大手出版社は、コミックや小説をIP(知的財産)ビジネスとして展開しているようです。
「日本の出版界をけん引してきた大手4社(講談社、小学館、集英社、KADOKAWA)の2023年の売上構成比率をみると、「電子書籍+版権」の売上が、いずれの社でも出版関連売上に占める割合が半分以上を占めています。電子シフトに加え、大手出版社は豊富なIP(知的財産)を持っていることが強みとなっています。コミックや小説などのコンテンツIPを多角的に展開することで、収益を伸ばしています。」
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「CHAPTER4 電子コミックの制作・流通・収益のしくみ」では、制作プロセスにも変化が起こっていることが書いてありました。
 印刷に適した最終データは印刷所が管理していたので、電子書籍化が進むと、印刷会社が電子出版関連業務へ進出し始めたようです。
また現在では、多くの出版社が最終データを自社で保有する体制へと移行している他、マンガ家自身が最終データを管理するケースも増えているのだとか。
 コミック制作現場におけるリモートワーク(リモートアシスタントなど)も進んでいて、デジタル化によって制作スケジュールの柔軟性が高まり、掲載するページ数も融通がきくようになりました。印刷が必要だった従来とは違って、ページ数も自由に設定できるし、一定の話数を書きためてから公開することも出来るようになったそうです。
 また「デジタル持ち込み」や、新人賞の応募も「データ」になるなどの変化も起きているようでした。
さらに「CHAPTER7 デジタル&多言語翻訳で加速するグローバル市場」では、日本のMANGAが世界を魅了していることが紹介されていました。
「日本のマンガを海外で展開する際には、各国・地域の特性に合わせた「ローカライズ」が非常に重要となります。」ということで、政治と宗教、性&暴力表現に配慮しつつ多様性も認めるローカライズも行われているようです。
 さらに「CHAPTER8 電子だからできる 自らビジネスするマンガ家」では、マンガ家と編集者がつながるマッチングサービス(モチコミonline、マンナビ、DAYS NEOなど)についても解説されていました。
 最後の「CHAPTER9 知っておきたい電子コミックビジネスと法律」では、「電子コミック制作・配信で気をつけるポイントの例(制作者・出版社向け)」として……
1)暴力や脅迫的、または不快なコンテンツ
2)ヘイトスピーチ
3)露骨な性的表現を含むコンテンツ
4)子どもの安全
5)差別的な表現
 ……などがあることが書いてありました。
『図解即戦力 電子コミックビジネスのしくみと戦略がこれ1冊でしっかりわかる教科書』……成長著しい電子コミックビジネスの現状と将来性について総合的に解説してくれる本で、とても参考になりました。
 旧来の出版事業と異なり、電子コミックは再販制度に囚われることなく価格設定ができますし、流通にコストもかからず在庫を持つこともなく、シームレスかつグローバルに展開することも可能です。将来、さらに伸びていくことが期待されている電子コミックビジネスの現状を知ることが出来る本なので、興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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『電子コミックビジネスのしくみと戦略がこれ1冊でしっかりわかる教科書』