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第1部 本

自己啓発・その他

世界は経営でできている(岩尾俊兵)

『世界は経営でできている (講談社現代新書 2734)』2024/1/18
岩尾 俊兵 (著)


(感想)
 一度きりの人生を後悔なく生きるには、どうすればいいのかを、経営学博士の岩尾さんがユーモアたっぷりに教えてくれるエッセイ集です。その主張は……
1 本当は誰もが人生を経営しているのにそれに気付く人は少ない。
2 誤った経営概念によって人生に不条理と不合理がもたらされ続けている。
3 誰もが本来の経営概念に立ち返らないと個人も社会も豊かになれない。
   *
 ……というもので、なんと「仕事から家庭、恋愛、勉強、老後、科学、歴史」まで、すべては「経営でできている」のです。
「え、経営で?」と驚きましたが、「はじめに」によると、ここで言う「経営」とは……
「結論を先取りすれば、本来の経営は「価値創造(=他者と自分を同時に幸せにすること)という究極の目的に向かい、中間目標と手段の本質・意義・有効性を問い直し、究極の目的の実現を妨げる対立を解消して、豊かな共同体を創り上げること」だ。」
 ……という心構えのことのようでした。
 そして間違った「経営」をしている人は、自らを困った状態に陥らせがちなようで、その失敗の状況や理由が、ユーモアを交えながら容赦なく明らかにされていくのでした(笑)。
 例えば「1 貧乏は経営でできている」では……
・「たとえ見た目には裕福に見えようと、あるいは実際に年収が高かろうと、出ていくお金がそれ以上に大きくて支出を抑制できないならば誰でも貧乏になる。」
・「しかしケチの極致は実は一番の無駄遣いである。
 極端な話、死ぬまでタンス預金にお金を貯め続けて、そのお金の在処を誰にも告げなかった人がいたとすると、巨額の現金はその人の死とともに実質的に失われる。」
・「また極端にお金を貯めようとすると、時間の余裕がなくなったり、知識・情報の蓄積ができなかったり、人からの信頼をなくしたりする。お金の面での心配はなくなっても、常に忙しくて時間の余裕がなかったり、生きるのに必要は知識・情報が貧弱になったり、人的ネットワークを失ったりするわけである。」
   *
 ……ここでは「貧乏の概要」だけを紹介しましたが、本書の中では、「ありがちな困った状況」がもっと具体的に笑いものになっています(苦笑)。
 また「困った状況」を指摘しているだけではなく、改善するためのヒントももらえます。
例えば「4 勉強は経営でできている」では……
「何らかの学問を学びたいときも、入門書で全体像を把握してしまうか、難解な本は「とにかくページをめくってしまって全体を理解してから二回目に精読する」方が理解しやすい。」
 また「6 心労は経営でできている」では……
「(前略)目的だけに集中して、他に気になることがあっても初手は「気のせいか」で済ます。相手が怒っているのか、助けが必要なのかなど、気になることは本人に直接きいた後に心配するよう心がけるといった手があるだろう。」
 ……などのアドバイスがありました。
「新しい視点」を与えてもらえたのが、「13 芸術は経営でできている」。芸術家は素晴らしい作品を創造するだけでは成り立たないようで……
・「(前略)芸術を芸術として成立させるには、作品の意図を理解し、実現し、評価するネットワークを構築していかなければいけない。そのために、一定程度は芸術の規則を踏まえる必要がある。
 ひとたび芸術が成立すると、そこには富や名声といった報酬が生まれる。
 このとき、作品に対して与えられた報酬を分配する必要が生じる。たとえば富の分配であれば画商や画材屋といった関係者たちに手数料・材料費等を支払うことになるし、名声の分配であれば映画のエンドロール(クレジット)や書籍の謝辞といった形で貢献者の名前を挙げることになる。
 こうした富と名声の再分配を通じて、芸術ネットワークの参加者たちが特定の芸術家の作品を存続させる限り、当該芸術家は引き続き芸術活動に打ち込める環境を与えられる。」
・「しかし、芸術家はときおりこうしたネットワークの存在を軽視し、自己の貢献度合いを高く見積もりすぎる。その結果として芸術作品に与えられた報酬をあまりに自分本位に分配してしまう。そうして芸術ネットワークは崩壊へと向かう。」
   *
 ……なるほど。確かに、その通りですね……。
 そして「おわりに:人生は経営でできてる」では、次のような教訓を学ぶことができまいた。
・「人生のさまざまな場面において、経営の欠如は目的と手段の転倒、手段の過大化、手段による目的の阻害……など数多くの陥穽をもたらす。
 その理由は「あらゆるものは創造できる」という視点をもたないと、単なる手段であるはずのものが希少に思えてしまい、手段に振り回されるからである。」
・「立ち止まって考えてみれば、金銭、時間、歓心、名声など、人生における悲喜劇は「何かの奪い合い」から始まることが分かる。」
・「本当は価値は無限に創造できる。
 そして価値が無限に創造できるものならば、他者は奪い合いの相手ではなく、価値の創り合いの仲間になれるのだ。」
   *
 ……困った状況に陥ったときには、本書で教えられた「経営」的な視点を思い出して冷静になり、「価値の創造」で問題解決していきたいと思います。
『世界は経営でできている』……かなりブラック気味のユーモアを楽しみながら、幸福に生きるための考え方を学べる本でした。みなさんも、ぜひ読んでみてください☆

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『世界は経営でできている』