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第1部 本

 IT

インフルエンサー六法(河瀬季)

『インフルエンサー六法 活動開始から情報発信、収益化までに潜むトラブル対策50』2025/10/20
河瀬 季 (著)


(感想)
 インフルエンサーのためのトラブル対策集。「これって著作権侵害にあたる?」、「アカウントが凍結されてしまった」などの、よくあるトラブル50事例について、弁護士の河瀬さんが対応策と予防策を解説してくれる本で、主な内容は次の通りです。
第1部 活動の段階別に学ぶ トラブルの予防と対策
・第1章 活動初期のトラブルの火種
・第2章 アカウント成長時のトラブルの火種
・第3章 コンテンツ制作時のトラブルの火種
・第4章 情報発信時のトラブルの火種
・第5章 案件受注時のトラブルの火種
・第6章 人気が出た時のトラブルの火種
・第7章 事務所に所属する場合のトラブルの火種
・第8章 活動終了時のトラブルの火種
第2部 これだけは知っておきたい法律の知識
・第9章 景表法
・第10章 薬機法
・第11章 著作権法
・第12章 商標法
・第13章 フリーランス新法・下請法
・第14章 誹謗中傷に関する法律・制度
巻頭付録
・困りごとから探せる! クイックリファレンス
   *
 活動初期からアカウント成長時、コンテンツ制作や情報発信、案件受注から活動終了まで、各段階でのリアルなトラブルへの対応策と予防策が学べるので、これから始めたい人も、すでに活動中の人も、トラブル予防のために何をしたらいいのか、実際のトラブルにどう対処したらいいのかを学びやすいと思います。
 また巻頭には「困りごとから探せる! クイックリファレンス」がありますので、今まさに困っていることに関して役に立つ情報を、すぐに探せるようになっています。
 インフルエンサーは、著作権、プライバシー侵害、ステマ規制、薬機法、景品表示法など、さまざまな法律に関わることになりますが、薬機法トラブルを防ぐための解説(具体的な表現例もあります)など、法律の概要についても解説されていました。
 新しい技術にも対応していて、例えば次のようなトラブル例もありました(ここでは概要のみの紹介で、本文中ではもっと詳しく解説されています)。
「13 生成AIで作った画像がパクリだと言われた」
(対応策)著作権侵害の判断は生成AIでも同様
(予防策)プロンプトの入力方法に注意する(「○○(特定のアーティスト)風のイラスト」などと入力しない)
 そして、「万が一著作権侵害を指摘された際に対応できるよう、プロンプトなど生成過程の記録(プロンプロの内容、生成日時など)は出来る限り残しておく」とか、「公開する前に、画像検索などで類似作品がないか確認する(似ている場合は修正するか、別の画像を生成し直す)」とか、実践的なアドバイスもありました。
 また「23 デマ情報を拡散してしまった」というケースでは……
(対応策)拡散行為自体が違法になる可能性があるので、元の投稿がデマであることが発覚した場合は、まずは自身の投稿も速やかに削除したうえで、デマを広めてしまったことに対して誠実な対応をする。
(予防策)常に情報の真偽を慎重に確認する習慣を持つ。特にSNSでは、誇張された内容や感情的な内容は拡散されやすい傾向があるため、内容の出所や裏付けとなる情報があるかをよく確認する。
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 また誹謗中傷や、住所が特定されたなどの問題に対処できるよう、問題が発生した時には……
・証拠を残す(該当するコメントのスクリーンショット保存、投稿のURL・日時・アカウント情報を含めた記録を残す。なりすまし犯の場合は、なりすましアカウントのプロフィール画像や概要欄、投稿内容、フォロワーへのDM等のスクリーンショットを保存する。)
 ……さらに必要な場合には……
・プラットフォームの通報機能を活用して、運営側に削除や凍結依頼する
・警察や弁護士に相談する
・発信者情報開示請求により、問題行為を行った人物を特定したうえで、損害賠償請求や刑事告訴など、民事・刑事の両面からの責任追及を行う
 ……などの具体的な対処法の解説がありました(本書内では、ケース別にもっと詳しく書いてあります)。
 そして企業からの依頼で活動を行う、チーム化するなどの場合は、「契約書」を作ることが重要で、契約書に記載するものとして、基本的な契約条件(投稿の本数や種類、掲載期間、報酬の金額や支払時期等)、権利関係(「著作権を譲渡する」「すべての権利は事務所に帰属する」等)、委託する業務の内容、報酬の金額、(収益の分配基準、報酬の計算方法、経費の負担、経費の定義や対象、報酬の支払い方法やタイミング)などがあげられていました(本書内では、ケース別にもっと詳しく書いてあります)。
 企業やチームとのやり取りについては、「文書化」と、やり取りの証拠を残すことが、トラブルを起こさないために必要なんですね。
 さらに巻末には、「参考Webサイト紹介」もあります(その一部を抜粋紹介します。なお本書にはURLも書いてあります)。
・AIと著作権について(文化庁)
・著作権テキスト(文化庁)
・J-PlatPat特許情報プラットフォーム(独立行政法人工業所有権情報・研修館)
・特定商取引法ガイド(消費者庁)
・2024公正取引委員会フリーランス法特設サイト(公正取引委員会)
・ステルスマーケティングに関するQ&A(消費者庁)
・ストーカーは犯罪です!被害を受けたらすぐ警察に相談を!(政府広報オンライン)
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『インフルエンサー六法 活動開始から情報発信、収益化までに潜むトラブル対策50』……インフルエンサーとして活動されている方はもちろん、インフルエンサーと仕事をしている広報やマーケティング担当者の方にとっても、とても参考になる(使える)本だと思います。ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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『インフルエンサー六法』