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第1部 本
ビジネス・その他
機械ビジネス(那須直美)
『機械ビジネス メカ好きな人から専門家まで楽しく読める機械の教養』2025/6/27
那須直美 (著)
(感想)
機械工業がもたらした私たちの生活の変化や、時代の流れに沿った技術の目的や変遷などの他、「工作機械」「金型・部品・材料」「ロボット」「輸送用機械」「建設機械」「宇宙」「情報通信」「医療」など、今後、発展が予測される産業や技術についても解説してくれる「機械ビジネス」に関する総合的概説本で、主な内容は次の通りです。
第1章 歴史から学ぶ機械ビジネスの世界
第2章 工作機械から学ぶものづくりの世界
第3章 機械加工から学ぶ金型・部品と材料の世界
第4章 現場から学ぶロボットの世界
第5章 輸送用機械から学ぶテクノロジーの世界
第6章 建設機械から学ぶインフラ整備の世界
第7章 宇宙開発から学ぶ機械産業DXの世界
第8章 医療・情報通信機器・時計から学ぶ超精密加工の世界
第9章 世界情勢から学ぶこれからの機械ビジネスの世界
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「第1章 歴史から学ぶ機械ビジネスの世界」によると、工作機械(機械を作る機械)は、すでに古代エジプトには登場していたそうです。この時代の壁画には、ドリルの柄に弓の弦を巻きつけ、前後に弓を動かして駆動する「弓錐(ゆみぎり」が描かれていて、なんとこの原理は、後の工作機械(旋盤)にも応用され、現代でも活躍しているのだとか!
また「第2章 工作機械から学ぶものづくりの世界」では、ものづくりのデジタル化によるメリットの事例として、DMG森精機の「デジタルツインテストカット」が紹介されていました。とても興味深かったので、ちょっと長いですが以下に紹介します。
「ものづくりのデジタル化によるメリットは、人の技能差を問わず、高品質な製品を自動化して能率よく、安定品質でモノを製造できる点です。製造現場も現在、デジタル化が加速しており、人手不足や生産ラインの能率アップに工作機械業界も貢献しています。
例えば、工作機械製造会社であるDMG森精機では、2021年から工作機械の「デジタルツイン」を活用した「デジタルツインテストカット」を開始しています。
デジタルツインとは、ざっくり言うと「リアルから集めたデータに基づいて仮想空間に同じ環境を再現する技術」のことです。また、テストカット(実機で加工精度や生産性を確認する作業)は、ユーザーの重要なプロセスの1つでもあります。
同社では、このテストカットのノウハウを活用して、「どのような切削工具が必要か」「求めている加工精度は実現できるか」「加工時間を短縮できないか」などを事前に検証する技術をすでに確立し、展開しているのです。
これらの技術は切削工具や加工素材、治具だけでなく、工作機械本来の物理特性までをもデジタル上で構築し、切削加工そのものを実現できます。
加工工程のシミュレーションだけでなく、加工条件の最適化までをデジタル上で行うことができ、加工時の切削力や工具振動などの切削状態、面品位など、実際の工作機械で加工したときと同じように確認できるというから便利です。」
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……「デジタルツイン」には、こんな利用法があるんですね!
また「第6章 建設機械から学ぶインフラ整備の世界」では、月面拠点建設へ適応するための「宇宙無人建設革新技術」が、とても有望そうに感じました。
「無人化施工技術の高度化には、自律施工のための環境認識基盤システムが重要な鍵を握っています。月面の建設活動では、例えば通信遅延により地球からの信号に数秒単位の遅れが生じます。こうした課題を踏まえ、清水建設とボッシュエンジニアリングでは、共同で月面における「自律施工のための環境認識基盤システムの開発及び自律施工の実証」に注力しています。
この技術開発では、建機搭載型のデバイスを用いて、人工知能による建設機械側の判断範囲を広げて、自律分散型に近い施工を行えるシステムを構築することが狙いです。
私たちが地球上で生活している限り、自然災害などの心配は付きものです。こうした月面での建設を想定した技術開発を地上での活用にも応用することで、建設機械の自動化が進み、インフラの損壊で被災状況が把握できない場合でも、遠隔操作などをスムーズかつ的確に行うことができるようになります。」
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……この技術は月面だけでなく、災害時にも役にたつので、今後の発展を大いに期待したいと思います。
そして不安になったのが、宇宙にまでサイバー攻撃が及んでいるという話。
「地政学リスクレベルの高まりを受け、宇宙空間における不正な攻撃は1986年以降、国内外で90件以上発生していると言われています。
最近では、2008年にNASAの衛星に対してサイバー攻撃が行われ、数分間、制御不能になりました。また、2018年には無許可装置の機器経由でのサイバー攻撃によりNASAの研究データが漏洩するなど、困った事例も報告されています。」
……とても恐ろしいことだと思います。なんとか対策しないといけませんね……。
そして最後の「第9章 世界情勢から学ぶこれからの機械ビジネスの世界」では、BCP(危機的な状況でも企業活動の停滞や経済的損害を最小限に抑えることを目的とした「事業継続計画」)の重要性について書いてありました。
また今後、日本の製造業が世界をリードするためには、会社を時代に合わせて進化させるCX(コーポレート・トランスフォーメーション)による経営・組織の仕組み化や、DXによる製造機能の全体最適化も必要だそうです。
そして製造事業者のデジタルソリューション適用・導入の参考になる情報として、次の2つが紹介されていました。
・「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン(第2版)」経済産業省・NEDO(2024)
・「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」
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『機械ビジネス メカ好きな人から専門家まで楽しく読める機械の教養』……さまざまな機械と、それらが形作る幅広い産業をテーマに幅広く解説してくれる本で、「製造業」の概要を知ることができます。製造業に興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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『機械ビジネス』