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第1部 本

ビジネス・その他

ITエンジニアのフリーランス独立戦略(増井敏克)

『ITエンジニアのフリーランス独立戦略 前職やエージェントに頼らない働き方』2025/9/3
増井 敏克 (著)


(感想)
 会社員として働くITエンジニアが個人事業主として独立したり、副業で仕事をしたりするための準備や考え方・働き方について、豊富な経験を持つ増井さんが詳しく指南してくれる本で、独立に必要なスキルや開業手続きはもちろん、税金や法律など、仕事の効率化や収益管理、さらには体と心の健康管理まで、フリーランスとしてやっていくためのノウハウと秘訣を詳しく教えてくれます。
「第1章 独立前に身につけておくべき知識を知る」では、ビジネス実務法務についての解説があります。例えば「契約書を作る」。ITフリーランスの場合、契約書を交わさないことも多いようですが……
「(前略)口頭での契約よりも書面での契約のほうが証拠として残るため、システム開発のような規模では、その契約内容を文書として明文化することが重要です。とくに、責任の所在や成果物の権利(所有権や知的財産権)などの条件を調整して作成します。トラブルが発生した場合に備えて、損害賠償の範囲などについても確認しておきます。」
 ……後でトラブルに発展しないよう、契約書はちゃんと作っておいた方が良いようです。本書では、契約書の参考資料として、次のものが紹介されていました(なお、本書巻末にも「付録」として「契約書のイメージ」が掲載されています)。
・IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の情報システム・モデル取引・契約書
・一般社団法人情報サービス産業協会のソフトウェア開発委託基本モデル契約書2020
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 また、フリーランスが締結することが多い契約には、次のものがあるそうです。
1)業務委託契約
2)秘密保持契約(NDA)
3)ライセンス契約(使用許諾契約)
 ……この他、税金関係についても、とても詳しい説明がありました。
「第2部 スキル編」では、ITのスキルとして、プログラミング言語、フレームワークとライブラリ、データベース、ネットワークやサーバー、セキュリティ、バージョン管理、最新技術への対応、システム障害などのトラブルを一人で解決できるか、などの技術と、ビジネスのスキルとして、業務知識、コミュニケーション、キャリアプランを考える、などの技術が挙げられています。
 そして「スキルを伝える」ためには、履歴書や職務経歴書を作成することが必要で、職務履歴書には、どのような業務を担当し、どのような成果を出したか(具体的なプロジェクト名は不要)、どのような工夫をしたか、技術の選定方法、学び方なども書くといいようです。
 また自分のプロフィールや保有スキルを書いたポートフォリオを作って、自分のWebサイトで公開するなどの方法の他、次のようなとても実践的なアドバイスがありました。
「フリーランスのプログラマにおすすめなのが、ポートフォリオとして会計ソフトを作ることです。私の経験上、難易度や技術の選定などにちょうどよい題材と考えています。(中略)会計ソフトであれば経営者はその概要を理解しています。また、フリーランスとして仕事をするうえで会計ソフトは使う頻度が高いものですし、自分でも便利に使えます。使い計算は簡単な足し算や引き算だけなので、その内容を理解することは難しくありません。」
 ……なるほど! これは自分のスキルアップ(そして総合的な復習)につながるし、とても良いですね☆
 また各種の資格を取得することは、スキルアップだけでなく、自分のブランディングにもつもながると思います。そのための資格として、情報処理技術者試験、情報処理安全確保支援士試験(登録セキスペ)、技術士、認定情報技術者(CITP)、ベンダー資格、ベンダーニュートラルな資格など、さまざまなものが紹介されていました。
 また「第3部 お金編」では、独立する前にやっておくべきこととして、「退職後の収入の見込みを考える(最低半年分の生活費は貯金しておく)」と「フリーランスを続ける条件と期限を決める」について書いてありました。増井さんの場合は……
「(前略)軌道に乗らなかった場合はどのくらいの期間で諦めるのかも、独立前に検討しておきます。たとえば、私の場合は独立するときに「3年分の生活費」にあたる貯金がある状態にしました。
 これをもとに、3年経っても収入が得られないのであれば、どこかのタイミングで会社員に戻ったり、アルバイトや派遣社員として働いたりする選択肢を選ぶことを決めておきました。」
 ……なるほど。さすがフリーランスとして成功する人は、計画性が違いますね……。
 また「体や心の健康」については、次のようなアドバイスも……
・深夜の障害対応が起こらないような仕事(取引先)を選ぶ
・「業務を進めるときも、達成可能な計画を立てておくことで、ストレス軽減につながります。仕事量の管理やスケジュールの見直しができると、無理をせず健康的に働けるでしょう。」
・「(前略)自分ができること、できないことを把握しておき、それをできるだけ正確に伝えることが求められます。」
 ……フリーランスは「自分の心身」の管理をちゃんとしないと、仕事だけでなく生活(人生)が駄目になってしまいます……。
 なお厚生労働省のサイト「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」や、厚生労働省によるフリーランス向けのメンタルヘルスのサイトや相談窓口もあるようです。
『ITエンジニアのフリーランス独立戦略 前職やエージェントに頼らない働き方』……場所や時間に縛られず、自分のスキルで自由に稼ぎ、自分の力で成長し、もっと自由な働き方を手に入れたいと考えているITエンジニアの方に、とても参考になる本だと思います。
 付録として「契約書のイメージ」、「見積書のイメージ」、「注文書のイメージ」、「注文請書のイメージ」、「納品書のイメージ」、「請求書のイメージ」も掲載されていて、これらもとても実践的に役に立つと思います。
 独立を検討している方は、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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『ITエンジニアのフリーランス独立戦略』