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第1部 本
歴史
発明が変えた世界史(祝田秀全)
『発明が変えた世界史:ビフォーとアフターが一目でわかる』2025/2/7
祝田 秀全 (監修)

(感想)
文字、プラスチック、自動車……現代人にとっては身近な約60のモノや技術を中心に、発明や技術の革新が社会をどう動かし、歴史を変えてきたのかを教えてくれる本です。
「はじめに」には次のように書いてありました。
「(前略)発明が誕生した背景や、誕生前の社会を右ページに、発明が人や社会にどんな変化をもたらしたのかを左ページに解説し、ビフォー・アフターを一望できるように工夫しています。」
……という形式で、「文字」などのテーマごとに2~4ページで解説してくれます。
たとえば「文字」の誕生の背景としては……
「(前略)文字を発明したのは紀元前3500年、メソポタミアのシュメール人だったといわれています。
文字が生まれるきっかけは交易でした。粘土に物品を示すシンボルを描き、交易のスムーズ化を図ったのです。最初は簡易的な絵文字でしたが、やがてより多くの情報を記載できる楔形文字へと進化します。」
……そして「文字」によって変わったこととしては、「文明が生まれた」などのことが解説されていました(もちろん本文では、それぞれについてもっと詳しい解説があります。)
ちょっと意外だったのが「酒」に関する解説。
「(前略)酵母が発酵するとアルコールになるということが最大の発明でした。冷蔵技術のない古代、水は腐ることが多かったため、腐敗しない水はまさに命の水。長い船旅の飲用として活用されるだけでなく、嗜好品としても広まっていくことになります。」
……なるほど。「美味しかったから」だけでなく、「保存がきく」ことが大事な要素だったんですね……そして昔の海賊などの小説で、船乗りたちが酔っ払いばかりなのは、こういう理由だったのかも、と納得してしまいました(笑)。
そして酒のおかげで「社交分化が生まれた」そうです。
また起源となったのは「蜂蜜酒」だそうで……
「最古の酒とされるのは、1万4000年前頃に人類が初めて飲んだといわれる蜂蜜酒(ミード)だ。クマなどに荒らされて、ひっくり返ってしまった蜂の巣のなかに雨水が溜まったことがきっかけで、雨水で薄まった蜂蜜が次第に発酵し、それを狩人が飲んだのが酒の起源とされる。」
……そうだったんだ。なんとなく果実酒かと思っていました……。
そしてこの本で初めて知ったのは、日本で初めて本格的に活版印刷を推し進めたのが、徳川家康だったことで……。
「日本に活版印刷がもたらされたのは1590年、イエズス会によってだった。そして日本で本格的に活版印刷を推し進めたのは徳川家康である。将軍位を息子に譲ると駿河で出版事業を始める。9万文字の金属活字をつくらせ、『大蔵一覧集』などがつくられた。駿河版と呼ばれるが、家康が亡くなると一気に衰退してしまう。ふたたび活字がつくられるようになるのは幕末の頃である。」
……せっかく9万文字もの金属活字があったのに、家康さんが亡くなった後、誰も活用しようとは思わなかったんですね……意外でした。
そして知っているようで知らなかったことに気づかされたのが「電話」。
「(前略)1876年、ベルは電話を発明しました。
電話の特許を取ったのはベルですが、エジソンは炭素を素材にしたカーボンマイクロフォンを発明し、電話を実用的な形にしました。エジソンは電話の特許権をめぐり、ベルと長期間裁判で争っていますが、敗れています。それでも、のちに主流になったのはエジソンの電話であり、1980年代まで使われました。」
……ここまでは知っていたのですが、実は電話には「真の発明者」が他にいたそうです。
「ベルが電話の特許を取得する約20年前に、イタリアのアントニオ・メウッチが電話機の試作品を完成させていた。しかし、メウッチは特許出願に必要な資金が足りず、特許申請をしなかったという。」
……えー、そうだったんだ……。
またその次の「蓄音機」でも……
「1877年、エジソンは蓄音機を公衆の面前で実演し、翌年には会社も設立しました。しかし、この段階では音質も悪いうえ、素材のスズも高価だったため実用には向きませんでした。(中略)
蓄音機を実用化したのは、電話の発明者ベルの会社で働くベルリナーという技術者でした。エジソンとベルが電話の特許権を争った時、ベルリナーの技術のおかげでベルが勝利したという因縁があります。彼が発明したのは円盤式蓄音機(グラモフォン)といい、亜鉛性の円盤に溝を刻んで録音します。円盤式ならば、レコードの複製も容易で、収納も楽です。」
……偉大な発明品には、優れた発明者だけでなく、優れた技術者も必要なんですね☆
ところで私は、電話、蓄音機、電気、白熱電灯などで有名なエジソンさんのことを子どもの頃から尊敬していたのですが、さまざまなエピソードから、意外にも性格の方がちょっと悪かったのかも……ということに気づかされてしまいました(ちょっと残念)……それでもやっぱり、数々の発明をして、電球を普及させて夜でも活動できるように変えてくれるなど、社会に大きな変化をもたらしてくれた偉人ではあるのだと思います。
『発明が変えた世界史:ビフォーとアフターが一目でわかる』……発明や技術が、私たちの社会(歴史)をどう変えてきたのかを分かりやすく教えてくれる本でした。有名なものが多いので、ほとんど知っていることばかりでしたが……一般常識や歴史を勉強するときには、このように角度を変えて眺めてみると、楽しく知識を深められると思います。みなさんも、ぜひ読んでみてください。
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この本には、姉妹編の『宗教が変えた世界史』という本もあります。
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『発明が変えた世界史』
『宗教が変えた世界史』