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第1部 本
健康&エクササイズ
いろんな健康・医療の「情報」に惑わされないための31のヒント(北澤京子)
『いろんな健康・医療の「情報」に惑わされないための31のヒント』2025/3/18
北澤京子 (著)
(感想)
ヘルスリテラシーを高めて、身の回りにあふれる健康や医療に関する情報の中から正確で信頼できるものを見極め、活用するためのヒントをまとめて教えてくれる本です。
「おわりに」に本書の核心的な記述があったので、まずそれを紹介します。
「健康や医療に関する情報に出会ったら注意すべきことは、大きく二つにまとめられます。一つは、信頼できる情報源を活用すること、もう一つは、“気を引く情報”に接したら、いったん立ち止まって吟味することです。」
……ここで「信頼できる健康・医療の情報源」というのは、かかりつけの医師や薬剤師、責任ある立場の人や組織が名前を出して発信する情報、診察ガイドライン、公共図書館とレファレンスサービスなど、だそうです。その一方で、インターネットには偽情報も多く、気を引く情報には広告も多いので注意が必要なのだとか。そして……
「最後にもう一つだけ、お伝えしたいことがあります。それは、たとえ信頼できる情報源に幅広くアクセスし、情報の中身を自分なりに吟味できたとしても、そうして得た情報を基にした行動・判断が、情報の通りになるとは限らない点です。(中略)
健康や医療に関する情報の多くは、現在ではない過去のいずれかの時点で、自分ではない他の誰かに起こったことに基づいています。
でも、私たちは皆それぞれに異なる存在であり、たとえ情報自体が確かでも、情報が自分の未来を100%予測してくれるわけではありません。つまり、健康や医療に関する情報にはそもそも限界があります。」
……確かに、その通りだと思います。人間の身体は一人一人違うので、誰かに効いた薬が、他のすべての人にも効くという保証はないのですから。
ところでこの本は、健康や医療に関する情報だけでなく、いろんな「情報」に惑わされないためのヒントが数多く掲載されていて、半分ぐらいは、認知バイアスなどに注意をうながす「行動経済学」的な記述だったように思います。例えば……
・数字を見るときは「単位」を確認する
・割合を見たら、元の数字(量)を確認する
・「飲んだ」「治った」だけでは「効いた」証明にはならない(飲まなくても治ることがあるから)
・治療法にはメリットとデメリットの両方がある
・アンケートの結果は参考程度に(誰が回答したかで偏りが生じる可能性あり)
・現状維持バイアスもある
……など。これらの行動経済学的リテラシーを高めることは、よりよく生活していくことに役立つと思います。
また特に「健康・医療」リテラシーを高めるために役立つ情報としては、以下のものが紹介されていました。
<診療ガイドライン>
・インターネットでは「病名 ガイドライン」で検索し、それが最新版であることを確認した上で利用する。
・日本医療機関評価機構Minds(マインズ)が提供するウェブサイト(Mindsガイドラインライブラリ)Mindsが評価・選定した診療ガイドラインがデータベース化されており、検索もできるので便利
<インターネット上で閲覧できる薬についての情報源>
・独立行政法人医薬品医療機器総合機構(医療者の方におすすめのコンテンツなど)
・一般社団法人くすりの適正使用協議会くすりのしおり
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『いろんな健康・医療の「情報」に惑わされないための31のヒント』……健康・医療情報を中心に、質の低いエセ情報をスルーして質の高い情報を選び取るポイントを紹介してくれる本で、参考になりました。みなさんも、ぜひ読んでみてください。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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『いろんな健康・医療の「情報」に惑わされないための31のヒント』