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第1部 本

防犯防災&アウトドア

防災

津波(今村文彦)

『津波ー脅威、メカニズム、防災と備えー』2025/4/17
今村文彦 (著)


(感想)
 東日本大震災以来、注目されることの多い津波について、そのメカニズムから脅威、津波全般に関しての防災・減災の考え方や取り組みを、イラストや写真とともに総合的にまとめた本(<基礎編><応用編><対策編>の3部構成)です。
 冒頭には、とても大事なことが書いてありました。
「「津波警報・津波注意報」がでたらどうする?
 すぐに命を守る行動を!

・海岸や河口の近くにいるときは、すぐに離れて!
・浸水エリア内にいるときは、すぐに高台や周辺の津波緊急避難場所や避難ビルに移動して!
・車で逃げないで、徒歩で!
・警報・注意報の解除まで、地震・津波情報、避難指示など情報確認を続けて!

 津波は繰り返し襲ってきます。ほんの数十センチメートルの高さの津波でも、強大な力で流される危険があります。津波に備えて、命を守る行動をとってください。」
   *
 津波には次のような特徴があるようです。
・マグニチュードが大きいほど海底面の変動は広くなる。
・津波の原因となる地震による海底面の変動は、上下方向に最大数十m、水平方向には数十kmから数百kmと、横方向の非常にスケールの大きな変動と考えられている
・震源の深さが浅いほど、津波は発生しやすくなる
・地震以外にも、沿岸や海底での地滑り、火山噴火でも津波は発生する
   *
 そして津波が陸に近づくと大きくなる理由は……
「(前略)津波は水深が浅くなるにつれて伝播速度がだんだんと遅くなりますので、陸に近くなると津波の前方は浅いところを進むため遅くなるのに対して、後方はまだ深いところになるので速いままになります。したがって、波の前方と後方では速さが異なることから、後方の津波が前に追いついてくるために間隔が狭くなり、その分だけ津波が高くなるのです。」
 ……この性質は、津波の伝わる方向も変えてしまうそうで……
「(前略)深いところを進む波が浅いほうに曲がる際に屈折(曲がる)という現象が起こります。半島の先端や岬のような地形では、屈折してきた津波が集まることになり、津波の波高が大きくなります。」
 ……V字型の湾の奥だけでなく、岬でも津波が高くなるんですね……。
 また恐ろしいと感じたのが、海から離れた市街地でも起こる「河川津波」で……
「(前略)河川が蛇行している場合は、遡上に伴って回り込み、ある地点から堤防などを越えて市街地へ侵入してきます。この地点での予測は難しく、堤防を越えたり決壊する場合だけでなく、その河川につながる小河川からの逆流もあり、津波が思わぬ場所や方向から侵入してくることになります。地域によっては、排水口などを通じてマンホールから湧き出すこともあり、実際に2010年チリ中部地震津波の際には、気仙沼市でマンホールからの逆流による浸水が報告されています。」
 ……チリで起きた地震でも、浸水があったんですね……。
 しかも津波は海水だけでなく、「黒い津波(海底に蓄積された泥や砂などが津波により巻き上げられ、泥流となって陸域に流れ込んだ)」もありますし、さらに河川に侵入した津波が地震の瓦礫を巻き込んで再来することもあるので、本当に危険だと思います……。
 津波の危険がある地帯では、津波警報に注意する、ハザードマップを確認する、自分の家から避難場所までのマップを描き実際に歩いて確認する、避難訓練をする、などが大事なようです。
『津波ー脅威、メカニズム、防災と備えー』……津波に関する知識や、東日本大震災などの津波事例について具体的に解説してくれる本で、とても参考になりました。みなさんも、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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『津波』