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第1部 本

科学

ハイテクの材料王国 古代しまね(出川通)

『ハイテクの材料王国 古代しまね: 技術の源流と未来を出雲・石見・隠岐にさぐる』2025/4/4
出川 通 (著), 三原 毅 (監修)


(感想)
 古代からハイテク先進地域だった「しまね」(出雲・石見・隠岐とその近傍)の、黒曜石、銅、銀、鉄などの世界レベルの材料資源とそれを生かす数々の技術を紹介してくれる本です。
「序文」に本書の概要のような記述があったので、まずそれを紹介します。
・「日本海側エリアは、古代より日本海の海流を介して多くの先進技術や知識が、中国・朝鮮からもたらされる表玄関であり、特に「古代しまね地区(出雲、石見、隠岐とその近傍)」は、その物流の中心として、長く先進地域を担ってきました。これに加えこの地は、金属(銅、銀、鉄)、黒曜石、土器、セラミックスなどの資源王国だったことが、古文書や近年考古学的にも認知され、これに外来の先進技術が結びついて、種々の加工技術や金属精錬技術を担う、高度なエンジニアリングが大規模な産業として、千年以上の長きにわたりこの地で成功を収めてきたのです。」
・「また「たたら製鉄」に代表される日本刀の原料鉄などの資源である砂鉄が存在し、昭和59年(1984)年に荒神谷遺跡で銅剣、ついで平成8(1996)年に加茂岩倉遺跡で銅鐸の驚くべき数量が出土しています。」
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 出雲の神々の多くは、山、巨大な岩、すなわち鉱山・金属資源・土木系をもとにしているようですが、まさに「しまね」は、金属資源・技術の国だったようです。
 世界遺産の石見銀山を観光したことがあったので、「石見は銀の国(銀の生産量は江戸時代まで世界の3分の1)」で、たたら製鉄の日本刀づくりでも有名な「出雲は鉄の国」だということは知っていたのですが、なんと「しまね」は「銅の国」でもあったようです。「銅の生産量は、1800年代は世界一」だったのだとか!
 さらに比類のない強度と耐久性に優れた赤瓦・石州瓦もありますが、「しまね」は古代から土器の技術も優れていたようで、それは「埴輪や須恵器の始祖といわれる出雲地方の「土師一族」の技術にルーツがあるようでした。
 いろんな面で、「古代しまね」は日本の最先端技術地域だったようです。
 そして最後の「エピローグ」では、未来の「しまね」活性化のための島根大学と島根県の生き残り戦略として、次の3つが紹介されていました。
1)次世代たたら協創センター(NEXTA)設置(2018)
2)島根大学 材料エネルギー学部(2023)スタート
3)先端マテリアル研究開発協創機構設置(2024))
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『ハイテクの材料王国 古代しまね: 技術の源流と未来を出雲・石見・隠岐にさぐる』……古代日本のハイテク技術を学ぶことが出来て、とても興味津々でした。興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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『ハイテクの材料王国 古代しまね』