ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)
第1部 本
自己啓発・精神力
Chatter(クロス)
『Chatter(チャッター): 「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』2022/11/18
イーサン・クロス (著), 鬼澤 忍 (翻訳)
(感想)
Chatter(チャッター:頭の中のひとりごと)をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法を教えてくれる本で、主な内容は次の通りです。
はじめに
第1章 内なる声はなぜ存在するのか
第2章 自分に話しかけることが引き起こす問題
第3章 問題からズームアウトする
第4章 他人の視点を手に入れる
第5章 他人との対話がもたらす功罪
第6章 環境の持つ力を利用する
第7章 科学が解明した「信念」の力
結論
チャッターを制御するための26のツール
*
『Chatter(チャッター)』というタイトルだったので、「脳内会議」のことかなーと勘違いしてしまいましたが、「なぜ昨日はあんなことを言ってしまったのか」「明日のプレゼンはうまくいくだろうか」など頭の中にわきおこってくる「心の声」のことでした。
「心の声」は、未来への計画を立て、自分が何者かを知るために不可欠な能力ですが、ときには暴走して、私たちの思考を乗っ取ってしまい、ストレスをもたらすものになるそうです。この本は、より良い人生を送れるようにするために、この「心の声」をコントロールする26のツール(方法)を教えてくれます。
子どもの頃から、くよくよしやすく、自分がやらかした失敗のことで、毎日、不安や反省に押しつぶされそうになっていた私にとって、とても参考になる本でした。
社会人になってからは毎日の仕事に忙殺されるとともに、「くよくよ」も限界値を超えたようで(苦笑)、ある日ふと「こんな風に、くよくよしていて何になるのか?」と思ったとたんに、「何にもならない!」ということが落雷のように頭の中に閃き、「くよくよしている時間を活用して、何かやるべきだ」へと切り替わり、それからは、「何かやれば解決できる」ときには「解決に努力」、「何かやっても、どうにもならない」ときには「くよくよするだけ無駄、考えない」と、すっきり整理できるようになりました(それでも、やっぱり、くよくよすることはありますが……)。
この本は、まさにその「くよくよ」を含む「心の声」をうまくコントロールする方法を教えてくれるのです。しかも、私が何十年もかけてようやく体得した上記の方法よりも、ずっと簡単な方法で……もっと早く知りたかった……と思ってしまったほどでした。
また意外な事実も知ることが出来ました。それは「第5章 他人との対話がもたらす功罪」で紹介されていた、学内で乱射による多数の殺人があった大学生たちを調査した事例のことで……
・「ヴァージニア大学とノーザンイリノイ大学の学生は、自分の感情を他人に伝えると気が楽になると考えていたが、感情を共有した程度では、彼らの鬱や心的外傷後ストレスの症状には実際の影響はなかった。(中略)
それどころか全体では、感情を打ち明けなかった被験者と比べて結果が悪かった。彼らはさらに多くのチャッターに襲われ、回避的な対処に走りやすかった。さらに、感情を吐露することを選んだ被験者の中でも、最も頻繁に感情を共有した人は全般的な苦痛が最も多く、体調は最悪だった。」
……苦痛の感情は「吐き出す」ほど回復しやすいのだと思っていましたが、実はそうではなかったんですね! 感情が昂っている間は「吐き出し」た方がいいのかもしれませんが、ある程度落ち着いた後は、むしろ思い出す努力をさせない方がいいのでしょう。
「(前略)語りを繰り返すと、不快な感情が蘇り、鬱屈とした気分が続くことになる。」
と書いてありました。考えてみれば、「思い出す・思い出させる」ことは、体験したことを「復習」させて「記憶に定着させる」ことでもありますよね……。
本書は、前半では「心の声」がもたらす弊害が語られ、後半では「心の声」をどうコントロールするかの方法が解説されていきます。そして最後には、「26のコントロール方法(ツール)」がまとめて紹介されている、という構成になっています。
その26のコントロール方法の一部を紹介すると、
(自分だけで実践できるツール)からは……
・距離を置いた自己対話を活用しよう
・友人に助言していると想像しよう
・経験を試練としてとらえ直そう
・心のタイムトラベルをしよう
・儀式を行おう
(他者に関わるツール)からは……
・感情・認知面のニーズに応えよう(両方が必要とされている)
・目に見えない形で支援しよう
(他者に関わるツール)からは……
・顧問団をつくろう(それぞれに適した相談相手を見つける)
・愛する人の写真を眺めよう
(環境に関わるツール)からは……
・環境に秩序をつくり出そう(身の回りを片付けるなど)
・緑地をもっと活用しよう
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ところで「心の声」は、暴走すると厄介なものになりますが、基本的には、私たちにとって大切な役割をしてくれているものです。「第1章 内なる声はなぜ存在するのか」にも次のように書いてありました。
・「目標を達するには、岐路に立たされたときに正しい選択をする必要もある。だからこそ、内なる声によって心的シミュレーションをするのだ。」
・「(前略)内なる声があるおかげで、私たちはこの世界で活動できる。素晴らしい方法で目標を達成し、創造し、つながり、自分は何者かを定義できる。
ところが、それがチャッターに姿を変えると人を打ちのめすものとなりやすい。」
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そして「結論」でも……
・「(前略)内なる声に傷つくことがあるかもしれないが、恐れ、不安、怒りなど、さまざまな形の苦しみを経験する力も、少量ずつ使えば、とても役に立つ。
そのような経験のおかげで、環境の変化にうまく対応できるようになる。言い換えれば、多くの場合、内なる声は、痛みを引き起こすにもかかわらず価値があるのではなく、痛みを引き起こすからこそ価値があるのだ。」
・「人間には内なる会話による痛みがときどき必要なのだ。肝心なのは、ネガティブな精神状態を完全に避けることではない。その状態に押しつぶされないことだ。」
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『Chatter(チャッター): 「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』……ストレスや不安に押しつぶされそうなとき、心の切り替え方を手助けしてくれる本でした。誰にでもできて実践的に役立つ方法だと思います。みなさんも、ぜひ読んでみてください。お勧めです☆
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『Chatter(チャッター)』