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第1部 本

歴史

「科学・技術の歴史」が一冊でまるごとわかる(白鳥敬)

『「科学・技術の歴史」が一冊でまるごとわかる』2024/10/18
白鳥 敬 (著)


(感想)
 太陽系の誕生から始まり、様々な歴史を経て、コンピュータと宇宙の時代に至るまで、膨大な人類の科学技術の歴史を、分かりやすく教えてくれる本です。
 序章には次のように書いてありました。
「科学は自然界の原理・法則を追求する学問です。これに対して科学技術は、科学の知見を応用して人類社会に役立つものを作り出していくものです。」
 第1章は「最も古い自然科学」として、天文学や暦の話から始まります。
 例えば暦については……
「最古の暦がいつ頃発明されたかはよくわかっていませんが、暦は農耕技術の発達とともに自然に発展していったのでしょう。
 有名なのがシリウス(おおいぬ座アルファ星、全天で最も明るいマイナス1.4等級の星)の動きから作ったといわれる古代エジプトの暦です。紀元前4000年頃に作られたもので、太陽が昇ってくるよりも少し前にシリウスが、東の地平線から出てくる頃を1年の初めとして作った暦です。ナイル川は、毎年7月ごろに氾濫していましたが、その時期を知るために作られたといわれています。」
 ……最古の頃の暦には、太陽や月ではなく「シリウス」の動きで作られたものがあったんですね。
 ここでは、紀元前6000年頃の古代メソポタミアやエジプトで長さの単位が生まれたこと、紀元前3000年頃の古代メソポタミアでシュメール人が文字を発明し、その中に数を表す記号もあったことなども紹介されていました。
 その後は、実験で自然を調べたガリレオ・ガリレイ(近代科学の父)や、天動説から地動説へ(コペルニクスなど)、科学は哲学から始まったこと(デカルト)、近代科学の巨人(ニュートン)などの近代科学の有名な歴史や、産業革命と社会の変革(蒸気機関や電気、電気通信など)、さらに近代から現代へ(元素の周期、電磁波、飛行機など)、科学技術大躍進の20世紀(相対性理論、原子核物理学、量子力学など)、そして最後の情報科学・コンピュータの発達(半導体、レーザー、計算機など)へと続いていきます。
 教科書で学んできたような内容なので、すでに聞いたことがあるものばかりではありましたが、「科学・技術の歴史」として全体を復習できて、とても有意義でした。
 例えば「電気の発見」では、常識ではあるものの、詳しくは知らなかったことも学ぶことができました。
 平賀源内さんのエレキテルについては……
「18世紀には異なる2種類の物質をハンドルで回転させて摩擦を起こし、発生した静電気を金属棒の先で放電させる見世物がヨーロッパで登場してきました。1776年、日本では平賀源内がエレキテルと呼ばれる、摩擦で静電気を起こし放電させる装置を完成させました。源内は当時交易のあったオランダから壊れたエレキテル装置を入手。自分で修理して人々に静電気による放電のようすを見せたといいます。」
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 また各家庭に流される電線に、直流ではなく交流が流れているのは……
「交流電流はわりと簡単な装置で昇圧できるため高圧にして送ることで損失が少なくなるというメリットがあります。このように電圧の交換も簡単なので、送電は交流で行われるようになってきました。」
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 そして東日本と西日本で周波数が違うのは……
「1895年(明治28年)には東京電灯がドイツ製の交流発電機を購入し、本格的な発送電を開始しました。1897年(明治30年)には大阪電灯がアメリカのゼネラル・エレクトリック社製の交流発電機を導入しました。ただアメリカ製の発電機は60ヘルツ、ドイツ製のものは50ヘルツだったため、現在も東日本エリアと西日本エリアでは周波数が違うという状況になっています。」
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 まさに『「科学・技術の歴史」が一冊でまるごとわかる』本で、科学全般について総合的に復習ができる本でした。大人向けの本ではありますが、中学生ぐらいからの方にとっても、教科書とは別の切り口で科学を学べる本だと思います。各項目とも5ページ前後で完結しているので、隙間時間に気軽に読んでいるうちに、いつの間にか科学の教養がつきそうな気がします。みなさんも、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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『「科学・技術の歴史」が一冊でまるごとわかる』