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第1部 本

社会

ロボットビジネス(安藤健)

『ロボットビジネス ユーザーからメーカーまで楽しめるロボットの教養』2025/3/21
安藤健 (著)


(感想)
 AIの進歩など技術革新が大きく進み、「第4次ロボットブーム」が進行しています。ロボットの基礎知識から、ロボットの歴史、海外事情、ビジネスへの導入方法や活用事例まで、ロボットビジネスの全体像を分かりやすく解説してくれる本で、主な内容は次の通りです。
はじめに 第4次ロボットブームの到来
第1章:飲食店から学ぶサービスロボットの世界
第2章:自動搾乳から学ぶ農業ロボットの世界
第3章:ロボットの終活から学ぶコミュニケーションロボットの世界
第4章:スマートファクトリーから学ぶ産業用ロボットの世界
第5章:掃除ロボットから学ぶ国際競争の世界
第6章:アマゾンから学ぶロボット活用の世界
第7章:ペットのウンチから学ぶAIロボットの世界
第8章:手術ロボットから学ぶビジネスモデルの世界
第9章:遠隔操作ロボットから学ぶ新しい働き方の世界
おわりに 一人ひとりの仕事とくらしの幸せのために
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「第1章:飲食店から学ぶサービスロボットの世界」では、ガストなどのすかいらいくグループやココスなどのゼンショーグループで、中国の「BellaBot」が配膳ロボットとして多数導入されている事例が紹介されていました。このロボットはアルバイトの人件費の5分の1ぐらいのコストで導入でき、こうした配膳ロボットは、2023年時点で、日本全国で年間9000台ほど導入されているそうです。
 続く「第2章:自動搾乳から学ぶ農業ロボットの世界」では、農業分野でのロボットの導入が紹介されていました。現在(2025年)コメの急激な値上がりが問題になっていますが、稲作農業従事者の高齢化問題も深刻です。でも、もしかしたらロボットが、その打開策になるかもしれません。次のように書いてありました。
・「GPSを利用した自動運転トラクターが人間以上の精度で田んぼを耕します。さらに、熟練農家の技術を再現する自動運転田植機も実用化されています。そして、冒頭紹介したような収穫作業を行う自動コンバインまで登場しているのです。
 このような自動走行する農機は、たとえば、AIカメラとミリ波レーダーといった周囲環境を測るセンサーを搭載し、収穫対象の稲と周囲の人や障害物を識別でき、人が乗らなくても自動で収穫作業をおこなえるようになっています。」
・「さらに、ロボット技術には意外な効果もあります。それは、熟練農家の技術やノウハウをデジタル化し、次世代に継承できることです。これにより、後継者不足という農業界のもうひとつの大きな課題にも対応できるようになるのです。」
・「農業分野におけるロボット活用は、単に農業界だけの問題ではありません。食料安全保障、地方創生、そして日本の産業競争力に直結する重要な課題なのです。ロボットだけではなく、IoTやAIと組み合わせることで、より効率的で持続可能な食料生産システムを構築できるかもしれません。」
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 ……水田なら「自動運転」を進めやすいので、こういう動きがどんどん進展していくと良いなと思います。日本の技術力をリアルに向上させられるし。それに、こんな農業なら若者たちにも参入しやすそう……ロボットの導入が進むと良いですね☆
 農業分野ではこの他にも果実自動収穫ロボット、搾乳ロボットなども利用されているようで、同時に病気の管理も行っているようです。この他、林業や水産業(水中ドローン)でも活用が広がっているようでした。
「第3章:ロボットの終活から学ぶコミュニケーションロボットの世界」では、癒し系のアザラシ型ロボット「パロ」とのふれあいで、ストレス低減、不安、うつ、痛み、孤独感が改善されたこと。認知症者の場合には、徘徊、暴力、暴言といった問題行動や昼夜逆転の生活スタイルの抑制・緩和され、介護者の負担軽減にもつながっていることが紹介されていました。
「(前略)ロボットを用いた治療は、副作用がない「非薬物療法」としてまったく新しい医療福祉サービスのかたちなのです。」
 ……これもロボットの、とても良い使い方ですね!
「第5章:掃除ロボットから学ぶ国際競争の世界」では、「ルンバブル」という面白い言葉があることを知りました。これは「お掃除ロボットの「ルンバ」が動きやすいように部屋を片付けておく人間側の行動」のようです(笑)。
 そして、現在、経済産業省をはじめとして国が強力に推し進めているロボット政策にも、「ロボットフレンドリーな環境づくり(ロボフレ)」があるそうで……これはロボットを効率的に働かせるための、とても賢い方法だと思います。
「第6章:アマゾンから学ぶロボット活用の世界」では……
「「人の作業」をそのまま自動化するだけではなく、アマゾンの例に見られるように、プロセス全体を革新し、最適化するRXの発想、そして、「人とロボット」が共存し、お互いの強みを活かせる環境づくりこそが未来への鍵となります。」
 ……ロボットも含めたサプライチェーン全体を最適化する取り組みを進めていくことが、よりよい社会を作るのに役立つことでしょう。
 SFのような「ロボットが生活に浸透している暮らし」は、すぐ近くまで来ているのかもしれません。2023年には、日本でも公道を走るロボットが法律上認められ、なんと北海道石狩市では中速・中型の自動配送ロボットを使った移動型宅配サービスの実証実験が開始されているようです。……ロボットが、私たちの少子高齢化社会を新しいステージに引き上げてくれそうで、ワクワクしてしまいますね! いや、実際にはロボットではなく、私たち自身が、そんな社会を作っていかなければいけないわけですが……。
 最終章の「第9章:遠隔操作ロボットから学ぶ新しい働き方の世界」では……
・「遠隔操作技術は医療や他の産業において劇的な進化を遂げており、その影響は私たちの生活のあらゆる側面に及んでいくことになります。」
・「(前略)遠隔操作の最大の強みは「人間の脳を使える」という点にあります。」
・「(前略)コンビニでは遠隔操作ロボットが商品補充をおこない、街中では遠隔操作型のデリバリーロボットが食事を家庭に届けるサービスも増加しています。」
 ……遠隔操作ロボットは、危険な環境での作業を引き受けてくれるだけでなく、私たちの働く場所や時間を柔軟にしてくれます。育児・介護・障害などの問題を抱える人も、自分の都合の良い時間や場所で、働くことが出来るようになるのです。海外からだって……。
 その一方で、労働管理、最低賃金、事故発生時の責任、海外のワーカーとの競争などの問題についても解決策を見いだしていく必要があります。
『ロボットビジネス ユーザーからメーカーまで楽しめるロボットの教養』……ロボットと共生する未来について、分かりやすく解説してくれる本で勉強になりました。ロボットをうまく活用することで、現在の多くの課題を解決していけそうな気がして、なんだかワクワクしてしまいます。みなさんも、ぜひ読んでみてください☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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『ロボットビジネス』