ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)
第1部 本
地質・地理・気象・地球環境
快適に安全に暮らす気象学(斉田季実治)
『快適に安全に暮らす気象学 (明日の自信になる教養 5)』2024/12/20
斉田 季実治 (著), 池上 彰 (編集)
(感想)
普段何気なく見ている天気予報。気温と雨だけを気にするのはもったいないことを、気象予報士の斉田さんが分かりやすく教えてくれる本で、池上さんが初めて責任編集をする「明日の自信になる教養シリーズ」5冊目の「気象学」です。
「CHAPTER1 生活が快適になる」では、気象庁のウェブサイドで見られる天気予報情報が、次のように紹介されていました。
・地域時系列予報:地域別の3時間ごとの天気、風向風速、気温を時間経過に沿って天気マークやグラフで表示
・天気分布予報:場所ごとの細かい天気や気温の違いを表示
・週間天気予報:7日先までの天気予報
*
……洗濯や買い物をいつするか、数日先のイベントの天気はどうかを考えるときに、これらの予報がとても役に立つようです。
最近の天気予報はとても当たるような気がしていましたが、実際に「明日予報の的中率は9割に近づいている」そうです! 凄いですね!
この章では他にも、季節ごとの天気の特徴などが分かりやすく解説されていました。
最近増えたような気がしている大雨や大雪。大雪の時によく耳にするJPCZ(日本海寒帯気団収束帯)については、次のように書いてありました。
「(前略)JPCZのメカニズムは、西高東低の冬型の気圧配置が強まって大気から寒気が吹き出すとき、朝鮮半島のつけ根の高い山によって分かれた風が日本海で合流することで、長さ1000km程度にもなる帯状の雪雲が発生します。JPCZが同じ場所に流れ込むと、短時間で積雪が急増し、除雪が間に合わないような状況になります。」
……うわー、そうだったんだ……。
実は、日本はもともと世界的に見れば「多雨地帯」なのだとか。そして……
「気温が高くなると、空気中に含むことができる水蒸気の量が増えるため、一度に降る雨の量は多くなるおそれがあります。」
……という説明を読んで、ああー、地球温暖化が進んでいるから、大雨や大雪の年間発生回数も増加してしまうんだなーと納得してしまいました(涙)。
そして個人的にとても参考になったのが、「CHAPTER4 気象災害から身を守る」。その冒頭近くには次の言葉が。
「自治体が提供している「ハザードマップ」を見て、危険な場所がどこなのかを知ることが防災のスタートです。」
……確かに。特に自分が住んでいる場所、働いている場所のハザードマップは見ておく必要があると思います。
この章では、大雨や台風などの気象状況への「事前対応・いま対応・後対応」について、解説してくれています。例えば台風の場合には……
・台風事前対策:台風の影響が現れる前に台風対策を済ませておく
・台風いま対応:台風が去るまでは屋内にいて台風情報をこまめにチェック
・台風事後対応:台風が過ぎてから災害発生も。飛来物や切れた電線には注意
*
また大雨の「いま対応」は、「キキクル(危険度分布)」で確認して、安全を確保することが必要だそうです。ちなみにキキクルとは……
「大雨による災害発生の危険度の高まりを地図上で確認できる気象庁の「キキクル(危険度分布)」を見ることで、「土砂災害」「浸水」「洪水」のどの災害が、どこで発生しそうな状況にあるのかが誰でもリアルタイムでわかるようになりました。」
……だそうです。
その他の気象に関する対応について、以下にそのごく一部を紹介すると次のような感じ。
・猛暑いま対応:「暑さ指数」を意識して、「熱中症警戒アラート」が発表されたら外出を避ける
・大雪いま対応:交通への影響を考えて、時間に余裕をもった行動を
・大雪事後対応:雪が止んでも安心できない。翌朝の道路の凍結が怖い
・地震事前対応:備蓄も必要だが命を守るための備えはさらに大事(家具の固定など)
・地震いま対応:緊急地震速報を聞いたら速やかに行動を
・地震事後対応:揺れが収まったあとも細心の注意を払う
*
ここで紹介したのはごく一部のみで、本書にはそれぞれ、もっとずっと詳しい説明があります(大雨、台風、猛暑、大雪、雷、ひょう、竜巻、地震、噴火)。
また「宇宙天気がもたらす災害」についても取り上げられていて、例えば「太陽フレア」が起こると、次の3つの現象が段階的に発生するそうです。
1)太陽フレアの発生にともなう紫外線やX線などの電磁波が光速でやってくる
2)太陽フレアの発生後、30分から2日で、高エネルギー粒子が地球に到達することあり
3)コロナ質量放出(CME)と呼ばれる電気を帯びたガス(プラズマ)が宇宙空間に飛び出すことがある
*
……これらが起こると大規模オーロラが見られるだけでなく、GPSや通信・放送、人工衛星に悪影響が発生する可能性があります。通信やGPSは重要性がどんどん増しているので、台風や地震などのような自然災害と同じように、しっかり対策を進めていく必要がありますね!
『明日の自信になる教養5 池上 彰 責任編集 快適に安全に暮らす気象学』……私たちの生活に大いに関係している気象学について、分かりやすく教えてくれる本で、とても参考になりました。みなさんも、ぜひ読んでみてください☆
* * *
なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
Amazon商品リンク
興味のある方は、ここをクリックしてAmazonで実際の商品をご覧ください。(クリックすると商品ページが新しいウィンドウで開くので、Amazonの商品を検索・購入できます。)
『快適に安全に暮らす気象学』