ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)

第1部 本

健康&エクササイズ

整形外科医のカラダの痛み相談室(井尻慎一郎)

『健康寿命をのばす! 整形外科医のカラダの痛み相談室』2024/10/17
井尻慎一郎 (著)


(感想)
 慢性的な痛みの正体はなに? 突発的なケガはどう対処する? そんな疑問に、これまで5万3000人以上の患者に寄り添ってきたベテラン整形外科医の井尻さんが分かりやすく解説してくれる本で、主な内容は次の通りです。
第1章 人生100年時代、キホンのキ
第2章 明日を元気に過ごすために、今日できること
第3章 ケガした時の対処法
第4章 病院・治療のエトセトラ
第5章 うまく使いたい薬や道具
第6章 病気について知っておこう
 1 痛み・しびれ
 2 骨・関節
 3 筋肉・腱
 4 頭・首
 5 肩
 6 手・肘・指
 7 胸
 8 腰
 9 脚・足・膝
 10 子どもに起こりやすい病気・ケガ
   *
「第1章 人生100年時代、キホンのキ」では、お年寄りがなりやすい「サルコペニア(筋肉量減少・筋力低下・身体機能低下がある状態)」の主な症状が、疲労や倦怠感、冷え性、集中力の低下、食欲不振で、原因は、加齢や寝たきり、運動不足、高度な臓器障害、タンパク質摂取不足、薬剤の影響などであることが書いてありました。また「ロコモ(運動器症候群)」は運動で予防すると良いようです。
 続く「第2章 明日を元気に過ごすために、今日できること」では……
・「笑い」は副作用のない薬。「楽しく笑うことで、血液中のナチュラルキラー細胞(免疫をつかさどるリンパ球)の活性が増えていきます。」
・体操はいつでもどこでも適当に
・1日8000歩の中に20分の早歩きタイムを設けると、さらに効果が高まる。
 ……などの具体的なアドバイスをしてもらえます。
 そして「第3章 ケガした時の対処法」では……
・「(前略)一般にぎっくり腰といわれる急性腰痛は、以前は「最初は寝て安静にする」ことが一般的な対処法でしたが、2012年の腰痛ガイドラインでは「骨折や神経痛がなければ、最初から動かすほうが安静にするよりも早く治る」と、方針が180度変わりました。」
・「(前略)ケガをした時は「最初は冷やし、その後は適当な時期から温める」のが正しい対処法です。(中略)(前略)ケガの状態にもよりますが、冷やす時間は10~20分程度にしておきましょう。」(ただし、ぎっくり腰の場合は最初から温める方が良いそうです。)
 ……また突き指や寝違えによる痛みは、しばらくそっとしてみて、治らないときには整形外科に行くとか、捻挫した時は、まずは整形外科でX線検査を受け、骨折がないことを確認した方が良いなど、とても実践的なアドバイスをいろいろ教えてもらえました。
「第5章 うまく使いたい薬や道具」では、薬について……
「副作用は、ほぼすべての薬に薬効とともにあり、よく効く薬ほど副作用が強い傾向にあります。とはいえ、副作用を怖れすぎて悪い症状を放っておくのはよくありません。仮に薬が効く確率と副作用で死ぬ確率が五分五分なら、私も薬を使わない方法を選ぶと思います。しかし、治る確率が90%、副作用で苦しむ確率が0.01%なら、私は前者を選択します。」
 ……と言っていました。
 そして最終章の「第6章 病気について知っておこう」では、症状や部位ごとに解説があります。
「1 痛み・しびれ」では、「痛み」と「しびれ」の違いについて……
「「痛み」には、炎症やケガが原因で起こる侵害受容性疼痛、神経が傷ついて起こる神経障害性疼痛、脳が痛みを過剰に感じてしまう痛覚変調性疼痛などがあります。これに対し「しびれ」は、「ビリビリする」「ピリピリする」「ジーンとする」「鈍い感じがする」といった感覚を指し、脳・脊髄・末梢神経の障害や、血行障害、糖尿病、心因性などが原因です。」
   *
 そして「関節痛・筋肉痛」と「神経痛」の違いについては……
「(前略)原則としては「関節・筋肉は動かし始め、動くときに痛む」、「神経はじっとしている時に痛む」と覚えてください。」
 ……そうだったんだ……。
 また「2 骨・関節」では……
「関節軟骨は関節の向き合う骨の表面にあり、関節が滑らかに動けるように、さらに体重を受け止めるクッションの役目もする組織です。「柔らかい骨」と書きますが、骨とはまったく異なる組織です。(中略)
 体の各組織の内部には血管が走り、酸素や栄養物質を供給していますが、軟骨のなかには血管がありません。そのため、関節を包む間接包の内面の滑膜組織から、関節液に酸素や栄養物質がしみ込んでいきます。(中略)関節軟骨にとっては適度な運動を行うのが大事なのです。」
 そして、この後も首や肩、手首や腰など、よく痛みがちな場所について、詳しい解説がありました。
 ごく普通の健康体の人が、これらの場所が痛むときには、少しずつでも動かすようにした方が良いようです。パソコンやスマホなどで、ずーっと座っている、下向きを続けている、など「同じ姿勢を長時間続ける」ことが良くないようなので、そういう生活習慣がある方は、ときどき立ち上がって軽い運動をするなどを心がけると、症状が改善することが多いようでした(それでも改善しない場合は、他の問題によるものかもしれないので、医師に相談した方が良いようです。)
『健康寿命をのばす! 整形外科医のカラダの痛み相談室』……子どもからシニアまで、起こりやすい症状・病気を紹介してくれるだけでなく、簡単にできる健康へのヒントもアドバイスしてくれる本で、とても参考になりました。1ページにつき1話の構成になっているので、隙間時間でも読みやすいと思います。
 ここでは健康体の人がなりやすい首・肩・腰の痛みを中心に紹介しましたが、通風や神経性関節症、骨粗しょう症などの解説もあります。体に何らかの痛みがある方や、健康寿命を延ばしたい方は、ぜひ読んでみてください。
   *   *   *
 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

Amazon商品リンク

興味のある方は、ここをクリックしてAmazonで実際の商品をご覧ください。(クリックすると商品ページが新しいウィンドウで開くので、Amazonの商品を検索・購入できます。)


『整形外科医のカラダの痛み相談室』