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第1部 本

天文・宇宙・時空

プラネタリウム解説員が本気で伝えたい-星座と星めぐり(コスモプラネタリウム渋谷)

『プラネタリウム解説員が本気で伝えたい-星座と星めぐり』2024/12/23
コスモプラネタリウム渋谷 (著), 永田 美絵 (著)


(感想)
 東京・渋谷には毎日、生解説つきの投影を行うプラネタリウムがあります。その「コスモプラネタリウム渋谷」の8名の解説員による星空の実況中継を一冊にまとめたのが本書。プラネタリウムでドームを見上げる気分で、一期一会の星の話を楽しめます。
「はじめに」には次のように書いてありました。
「コスモプラネタリウム渋谷は多くの席がだいたい南を向いていて、午後8時の星空からご案内します。ですからプラネタリウムで星座を見た日、午後8時に南を見上げたら、プラネタリウムでご覧いただいた星座が探せるということになります。
 コスモプラネタリウム渋谷では、現在8名の解説員と頼りになるスタッフのみなさんでプラネタリウムに関わる仕事をしています。そして、あえて生解説にこだわった運営を打ち出しています。」
 ……プラネタリウムは星空の投影のため多くの操作をしないといけないので、すでに完成された映像が投影されることが多いのですが、コスモプラネタリウム渋谷では、解説員が操作卓で機械を動かしつつ解説しているそうです。(そのために失敗もあったようですが……)この操作卓の写真もあり、まるで飛行機のコックピットみたいで、これを動かしつつ生解説しているんだーとその大変さを実感しました。
 さて「春の章」では、有名な「北斗七星」の話題が。
「一度目線を頭の頭上に向けていただき、そこからさらに北の方角には、都会でも比較的見つけやすい明るさの7つの星が、特徴的な星の並びを作りながら輝いています。(中略)
 では、改めてひしゃくの形を念頭に置きつつ7つの星の並びが見えたら、それが「北斗七星」です。(中略)
 次に、北斗七星をひしゃくに見立てた時、水をすくう先頭部分の2つの星を結んで、その長さを5倍延ばしていきます。
 そこにはひとつの星が見つかるはずです。名前はポラリス。こぐま座の尻尾の先にあたる星です。これが現代の北極星となります。(中略)
 北極星を見つけたら目線をまっすぐ地平線へ落としていくと、その方角が北となります。」
 ……昔の旅人たちは、星を頼りに砂漠や海のなかで方角を見定めていたのですが、なんとこの解説者の佐々木さんも「北極星」を見つける能力で、道に迷わずに済んだ経験が何度もあるのだとか! 私も北極星ぐらいは見つけられるようにしたいので、春になったら北斗七星探しをしたいと思います。(ただし北斗七星は二等星6つと三等星1つで構成されていて、都会では、ひしゃくの底の1つが見つけにくいようです。それも頭に入れておく必要がありますね)
 また「夏の星」では、都会でも夏の大三角が見つけやすいようです。8月の8時ごろ、頭の真上近くで輝くのが夏の大三角で、最も明るいのがこと座のベガ、二番目に明るいのがわし座のアルタイル、三番目はデネブだそうです。そして七夕で有名な織姫と彦星はこの中の星。ベガが織姫、アルタイルが彦星で、暗い空でよく見ると、その間に天の川が見えるそうです。
 さて「秋の星」は残念ながら、都会ではあまり見える星が少ないようです。20時頃の南の方角の地平線に、ポツンと「フォーマルハウト」という一等星があるそうですが……地平線はビルで隠されているんですよね……でも特徴的な形をしているカシオペア座(二等星ひとつと三等星4つ)があるようなので、それを探そうかと思います。
 そして「冬の星」。いよいよ私の個人的「推し星」オリオン座の登場です☆ オリオン座について次のようなことが紹介されていました。
・オリオン座のベテルギウスが急に暗くなり超新星爆発の予兆ではと話題になったが、最近では、爆発は約10万年後と計算されている。
・オリオン座のみつぼしの下に星が縦に3つ並んでいる(こみつぼし)。その真ん中付近を良く見ると雲のようなものが見え、それがオリオン大星雲M42。水素などのガスの集まりで、星が生まれる場所。
・オリオン座付近をすっぽり包み込んでいる円弧状のガスの集まり「バーナードループ」は、今から約200万年前に、この付近で超新星爆発を起こした星の残骸だと言われている。どうやらオリオン大星雲のあたりで超新星爆発を起こしたようだ。
   *
 オリオン座のベテルギウスが超新星爆発しそう、という話は知っていましたが、星雲やすでに超新星爆発した星の残骸まであるとは……オリオン座、ますます「推せ」そう(笑)
 実は……
「冬の星座は明るい一等星が多く、都会の空でも見ることができる星座が目白押し。星座探しをこれからしたい方は、冬からスタートするのがおすすめです。」
 ……だそうです。
 私は星空が好きな割には星座をあまり覚えていないので、この本で季節ごとに「これだけは見つけられる」星を作りたいと思います。
 冬の星でもオリオン座以外に、少なくともシリウスを……。オリオン座のみつぼしを結んで下に伸ばすと、おおいぬ座のシリウスが見つかるそうです。なんとシリウスは、マイナス1.5等級の星! 星座の星の中で一番明るい恒星だそうです。
 さて渋谷のプラネタリウムというと、東急文化会館8階にあった五島プラネタリウムを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、このプラネタリウムにその投影機が静態展示されているようです(使われているのは最新型なので、古い投影機は動いていませんが)。
 また新しいプラネタリウムには、とても素敵な「観望スペース」があるそうです。
「プラネタリウムを見た後、すぐに星空を見られるよう、同じフロアに屋外観望スペースを設けたのです。南の空が良く見える屋上の観望スペースは、多くの方が歓声を上げる渋谷の隠れた絶景スポットです。」
 ……今学んだ(?)ばかりの夜空を「実際に」見られるなんて、とても素敵ですね!
 しかも夜空を見ることは「心にも良い」そうです。
「(前略)上を見上げることは、心にすごく良いのです。脳科学者の篠原菊紀先生によれば、人間は上を見上げていると落ち込むことがないそうです。
 私たちの脳は上を見上げていると、未来のことや成功したことなどをポジティブに考えるといいます。逆に下を向いていると、失敗や過去などネガティブに考えてしまう。
 見上げることは心に直結します。心が疲れた時、元気が出ない時など夜空を見上げてみてください。その時、知っている星座や星がひとつでもあると嬉しいですね。」
『プラネタリウム解説員が本気で伝えたい-星座と星めぐり』……プラネタリウムに行っているような気分になれる本で、とても楽しめました。星空やプラネタリウム好きの方は、ぜひ読んで(眺めて)みてください。
 各章の扉で、季節ごとの東京の空(星座)も見ることができますが……もちろん本物のプラネタリウムには遠く及びませんよね。2010年、渋谷駅西口の渋谷区文化総合センター大和田12階に最新型の投影機で開館した「コスモプラネタリウム渋谷」にも、ぜひ行ってみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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