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第1部 本
天文・宇宙・時空
やっぱり宇宙はすごい(佐々木亮)
『やっぱり宇宙はすごい(DL特典:「宇宙ばなし」特別版音声データ) (SB新書 682) 』新書 ? 2025/1/8
佐々木亮 (著)
(感想)
「太陽フレアとは何か」「ブラックホールはどう生まれるのか」……私たちが生きている宇宙にはたくさんの謎が溢れています。独立行政法人理化学研究所やアメリカ航空宇宙局(NASA)の研究員として恒星フレアの研究に携わり、大学講師を務めながらPodcast「佐々木亮の宇宙ばなし」を毎日配信している佐々木さんが、宇宙研究の最前線を分かりやすく解説してくれる本で、主な内容は次の通りです。
はじめに
第1章 すごい爆発
コラム データのオープン化と国境なき天文学の世界
第2章 すごいブラックホール
コラム 国立天文台のなかで割れるブラックホール写真の真偽
第3章 すごい物質
コラム 見えないダークマターに直接触れる?
第4章 すごい生命
コラム AIは宇宙の謎を解き明かせるか?
第5章 すごい時空間
コラム アインシュタインの急所ーー天才物理学者は何を誤解していたのか
特別対談 ありえない病気ではない?ーーALSと宇宙
あとがき
主要参考文献
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最初のテーマは「第1章 すごい爆発」。佐々木さんの専門分野の太陽フレアについての話です。
2024年5月、日本各地の夜空に赤いオーロラが出現したことで、オーロラに関心が集まりましたが、オーロラとは……
「(前略)オーロラとは、太陽フレアの影響で吹き飛ばされた太陽周辺の物質が、地球にぶつかることで発光する現象です。」
……そして日本各地でオーロラが見られたのは、太陽が高い活動性の時期だったからなのだとか。
また次のような解説もありました。
・「ここは実はあまり知られていないのですが、太陽フレアは黒点がある場所で発生します。なので、活動性が高く黒点が増えている時期には大きな太陽フレアが起こりやすく、その影響で発生するオーロラも出現しやすくなるというわけです。」
・「太陽フレアは一言で言えば、太陽が持つ磁気エネルギーの解放現象です。いまいちピンとこないかもしれません。実は、太陽にも地球みたいな磁場があります。だけどこれは地球のように、北と南が正確に把握できないぐらい、不安定な磁場です。(中略)この不安定さこそが、太陽フレア発生の要因になります。
磁力線は基本的には南北に伸びていますが、自転しているうちにぐにゃぐにゃと曲がっていきます。その理由は太陽がガスの塊であるからです。太陽は地球と違って固体ではなくガスのため、地上のようなものはありません。ガスの流れによって磁場が安定せず変化し続けます。(中略)
ガスにくっつきながら、磁場はぐにゃぐにゃと曲げられていくことになり、どんどん不安定さを増していきます。不安定になって、溜まったストレスを磁場は抱え込むことになるのです。そのストレスを吐き出すタイミングこそ、太陽フレアです。」
・「ちなみに黒点は、本当に黒いわけではありません。黒く“見えている”だけです。理由は、浮かび上がった磁力線の磁力が強く、熱が伝わりにくくなり、周辺よりも温度が1000℃以上低くなるから。周りが熱くて明るすぎるから、総体的に暗く、黒く見えているだけなんですね。」
・「(前略)太陽フレアとは磁場のエネルギーの解放なのです。」
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……太陽はガスでできているから磁場がぐにゃぐにゃしていて、そのためにフレアが起こるんですね!
また「第2章 すごいブラックホール」では、天の川銀河が、その中心の巨大ブラックホールが「いて座A*」が集めたものだということが書いてありました。
「(前略)天の川銀河の中心にあるのが、巨大ブラックホール「いて座A*」です。(中略)地球もいて座A*が書き集めた星の一つであることを、地球にいながら実感できる現象があります。それは、晴れた日の夜空に現れる天の川です。帯状に見える天の川は、いて座A*がかき集めた星たちの姿なのです。」
さらに「第3章 すごい物質」では、謎のダークマターについての解明が試みられているようです。ちなみにダークマターの存在を指摘する二つの観測結果として……
1)天の川銀河の天体運動(中心に巨大なブラックホールがあって、円盤型に回転している。この円盤内の天体の動きは内側と外側で異なるはずなのに、内側も外側も同じスピードで回転している。(ダークマターによるもの?)
2)ダークマターの重力で空間を歪ませている観測領域が発見されている。(重力レンズ効果))
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しかも「コラム 見えないダークマターに直接触れる?」によると、ダークマターを捉えようとしている施設が日本にあるそうです!
「日本では、ニュートリノを捕まえたカミオカンデと似た仕組みで、ダークマターを捉えようとする観測施設「XMASS」が同じく岐阜県吉城郡神岡町(現・岐阜県飛騨市神岡町)の地下1000メートルに2010年に建設されました。カミオカンデは水槽に水を満たしていたのに対して、XMASSはキセノンという気体を満たしており、ダークマターがやってきたら発光する仕組みになっています。」
……うーん、なんか凄いですね……。
さらに「第5章 すごい時空間」では、なんと約134億光年も先にある2つの銀河が観測されたそうです。
「(前略)実際、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を使って、約134億光年先にある2つの銀河が発見されました。この銀河から届く光は、宇宙が誕生してわずか4億年後のものです。つまり、この光を観測することで、私たちは宇宙がまだ非常に若かった頃の様子を見ていることになります。(中略)銀河は星が作られる場所であり、初期の宇宙にこれほど多くの銀河が存在していたことは、宇宙が非常に活発な状態にあったことを示しています。
宇宙の果てにある銀河を観察することは、宇宙の進化の歴史を解明する手助けになります。宇宙は時間とともに変化しており、遠くにある銀河を見ることは、宇宙がどのように変化してきたかを理解するためのカギなのです。」
……宇宙が誕生してわずか4億年後には、すでに銀河があったんですね! どんな世界だったんでしょう。宇宙望遠鏡の解像度が進むと、詳しいことがどんどん解明されるのかもしれません。わくわくしちゃいますね☆
『やっぱり宇宙はすごい』……宇宙で起こる多くの出来事について、分かりやすく解説してくれる本で、とても参考になりました。興味がある方は、ぜひ読んでみてください☆
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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『やっぱり宇宙はすごい』