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なぜ地震予知は不可能で、二次災害は拡大するのか(堀江博)

『なぜ地震予知は不可能で、二次災害は拡大するのか: 地下ガスによる地震現象とその解明』2024/9/3
堀江 博 (著)


(感想)
「なぜ地震予知は不可能で、二次災害は拡大するのか」について、地下ガスによる地震現象の観点から考察し、予測に活かそうとしている本です。
 この本では地震現象のポイントを、「地盤の揺れと地下ガス挙動等によって生じる関連現象」ととらえ、「(前略)本書では、地下ガス挙動を「地下で発生するガスの地中での動きで、最終的に地表へ噴出するまでの動き」と定義します。」としています。
 そしてガスによる被害が大きかったと考えられる地震としては、善光寺地震、濃尾地震、関東大震災の3事例があるそうです。例えば1847年の善光寺地震では、「地震発生後、河川敷から石油や天然ガスが発生、火を焚いて風呂を沸かした」という記録が残っていました。
 地震への対応のためには「地下ガス調査」も必要なのに、次のように現在は調査されていないそうです。
「液状化現象は、(中略)「地盤の強さ」と「地震により加わった力の強さ」により判定され、その「地盤の強さ」は地盤調査により確認されています。その地盤は、固体(土粒子)、液体(水)だけでなく、気体(ガス)から構成されていても、現状の液状化判定のための地盤調査の方法は、土粒子と水であり、ガスは調査の対象外です。」
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 また次のようにも書いてありました。
「阪神淡路大震災では大阪湾沿岸と播磨灘沿岸の比較的狭い領域(数十km四方程度)で、また東日本大震災では関東地方と東北地方の広い地域(百数十km四方程度)で、液状化現象の発生に偏りがありました。その偏りは、各地域でのガス貯留量の違いによって生じている可能性が高く、地域ごと――例えば1km程度の広さ――の液状化発生状況とガス貯留量を比較対照することにより、その2つの関係が明らかになります。また、出火原因を不明とせず、その原因をできる限り見直し、可燃性ガスが火災・爆発の原因であることが確認できれば、地震火災の発生しやすい地域は、液状化が発生しやすい地域であると判定できるようになると考えます。」
 ……なるほど。確かに地下のガスの存在は、地震やその後の火災に大きく関わっているはずですよね……。
 ガスに関連していると思われる前兆現象には、湖沼や井戸など自然現象に見る前兆現象や、動物の異常行動による前兆現象(ガスの有毒性)がありますが、このうち井戸には、次のような顕著な異常が多く現れるそうです。
1)砂が混ざったように濁る
2)井戸からモヤが立ち込める
3)井戸水温が上昇する
4)空気が混ざって「ガボガボ」と音を立てる
 ……実は井戸は地盤弱部そのものなので、地下ガス発生の影響を受けやすいのだとか。そこで堀江さんは次のように提案しています。
「(前略)地表へのガス噴出は、地震要素と理解されていません。また、その噴出は地下の圧力変化等が関わっており、その圧力も地震要素です。それら要素を観測――具体的には、井戸を設置して、ガス噴出や圧力を観測――することにより、その観測結果から地震予測が可能になると考えます。」
 ……確かに。地震のための観測として、「井戸による観測」を追加する価値はかなりあるように感じました。
 とても怖いと思ったのが、「東京は、日本最大の水溶性ガス田である南関東ガス田の一角に位置している(可燃性ガス噴出のおそれがある地域)」ということ! 関東地方で直下型地震が発生すると、地下ガス噴出が多くなり、液状化等の二次被害は大きくなると予想できるようです。「井戸による観測」で早めに予兆を捉えることが大事なのかもしれません。
『なぜ地震予知は不可能で、二次災害は拡大するのか: 地下ガスによる地震現象とその解明』……地震と地下ガスとの関係を深く考察している本で、とても勉強になりました。みなさんも、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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『なぜ地震予知は不可能で、二次災害は拡大するのか』