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第1部 本

ビジネス・その他

ドローン3.0時代のビジネスハック(名倉真悟)

『ドローン3.0時代のビジネスハック』2023/11/27
名倉真悟 (著), 水野二千翔 (編集)


(感想)
 ビジネスで圧倒的な存在感を示す「ドローン」。個人や企業のドローンビジネスへの参入実例とともに、その魅力や方法、リスクなどを分かりやすく総合的に解説してくれる本で、主な内容は次の通りです。
第1章 ドローン&空飛ぶクルマでビジネスチャンスが広がる!
第2章 ドローン1.0のビジネスハック
第3章 ドローン2.0のビジネスハック
第4章 ドローンビジネスをするなら国家資格を取れ!
第5章 来るドローン3.0時代のビジネスハック
第6章 ドローンビジネスの未来が見えるインタビュー 
GMOインターネットグループ会長・熊谷正寿
日本政策投資銀行・岩本学
AirX代表取締役・手塚究
テトラ・アビエーション代表取締役社長・中井佑
識学代表取締役社長・安藤広大
最終章 ドローンビジネスのトップをねらえ!
   *
 ドローンは趣味や撮影のためだけでなく、すでに農業、林業、物流、医療、建築、警備、災害対策、防衛など多くの産業分野で、急ピッチで導入が進められています。
 日本国内に限っても、ドローン産業の市場規模は2023年度の3,828億円から2028年度の9,340億円へと2.5倍に急成長が予測され、2025年の大阪・関西万博では、人が搭乗できるドローン「空飛ぶクルマ」の運航も予定されていて、注目度は爆上がりです。
 本書では、そんなドローンビジネスへの参入について、とても実践的、具体的に解説してもらえます。
 さて、物流業界の2024年問題(トラックドライバーの時間外労働時間の上限が年間960時間に制限されることで人手不足&輸送能力減少が深刻になる)に対応するため、自動車の自動運転やドローンに注目が集まっています。
 経済産業省ではドローンや空飛ぶクルマといった新しい機械の活用について、公式サイトで次のように表明しているそうです。
「「次世代空モビリティ」
 ドローンや空飛ぶクルマといった次世代空モビリティの誕生で、空の利活用の可能性が拡がってきています。「次世代空モビリティ政策室」では、ドローンによる拠点間のモノの移動や、空飛ぶクルマによる人の移動といった、新たな領域における技術の社会実装・産業振興を通じて、社会の課題を解決し、“安全・安心+ワクワク”な未来を創造するチャレンジを進めています。(その工程表=「空の産業革命に向けたロードマップ」)」
   *
 ドローンの飛行には次のようなレベル分けがあり、空の産業革命を実現するためには、レベル4飛行が必要だそうです。
・レベル1飛行:人が目で見える範囲内で、ドローンを手動で操縦する
・レベル2飛行:人が目で見える範囲内で、ドローンを自動操縦する
・レベル3飛行:人の目で見ることなく、監視する補助者を立てることなく、人がいない場所の上空で飛行させる
・レベル4飛行:人の目で見ることなく、監視する補助者を立てることなく、人の上空や、人がいる場所の上空で飛行させる
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 国が力を入れていることもあり、ドローンビジネスは今後の発展が大いに期待されています。産業分野別に、次のような仕事が予想されているそうです(すでに一部は実用化されています)。
・農林水産業(農業分野):肥料散布、播種、受粉、収穫物等運搬、鳥獣害防止
・農林水産業(林業、水産業分野):森林被害の把握、森林資源情報の把握、造林事業の設計・施工・管理、苗木運搬・播種、カワウによる漁業被害防止、鯨類の目視調査技術開発、漁場探索
・測量:工事測量、UAV(無人航空機)写真測量、UAVレーザー測量、UAV活用支援
・医療:緊急時医療活動訓練、血液や医療資機材の搬送
・警備業:敷地内等の侵入監視・巡回監視、広域・有人地帯の侵入監視・巡回監視
・災害対応:被災状況の把握、災害対応活動(救助等)の支援、土砂災害現場における救援活動、救助・捜索
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 また「第2章 ドローン1.0のビジネスハック」では、空撮&動画製作や、点検作業、建設土木(空撮による測量だけでなく作業見積もりや工事進捗も)などの作業の他、ドローンスクール、ドローン行政書士、ドローン保険、水中ドローンなどのビジネスも紹介されていました。
「第3章 ドローン2.0のビジネスハック」によると、市街地ではドローン飛行に河川を利用するのが最もリスクが少ないので、河川がドローン物流網になっていくだろうという予想とともに、河川沿いに物流センターなどのための土地を買うなどの、具体的なドローンビジネスへのヒントもありました。
 さらにここでは、空撮・測量・物流を組み合わせた災害対策(人が近づけない広範囲にわたる場所の被害状況を把握可能。二次被害を避ける)や、通学路の見守り・海水浴の見守り(離岸流による事故防止のため遊泳区域を見守る)などの他、消火活動への利用についても……なんと中国では、実際の消火活動への実証実験をすでに行っているのだとか。これらの利用もとても良いですね!
 そして「第4章 ドローンビジネスをするなら国家資格を取れ!」では、ドローン関連の状況は変化が激しく、実は2025年12月以降、民間資格には何の価値もなくなるようです。だから本書では、国家資格を取ること、なかでも「無人航空機操縦者技能証明」の「一等無人航空機操縦士(レベル4飛行に必須)」を取るべきだと強調していました。
 さらに「第5章 来るドローン3.0時代のビジネスハック」では、今後はビルの屋上など、都市のあちこちにバーティポートが整備されると予想されています。バーティポートというのは空飛ぶクルマが離発着場で、バッテリーの交換・充電も行える場所なのだとか……ドローンが実用化されていくと、都市の風景も変わっていくようです……。
 この他にも、国内界のドローン機体メーカーや、ドローンビジネスの未来に関する対談など、さまざまな情報を読むことが出来て、とても参考になりました。
 なお、国土交通省の「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」をまとめたページ(最新の飛行ルールや各種ガイドライン、許可・承認の取得方法等を掲載)や、総務省の「総務省『ドローン』による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン」なども参考になるようです。
『ドローン3.0時代のビジネスハック』……ドローンビジネスについて総合的に解説してくれる本でした。ドローンビジネスに興味のある人はもちろん、未来社会に興味のある方はぜひ読んでみてください☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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『ドローン3.0時代のビジネスハック』