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第1部 本

自己啓発・コミュニケーション

頭のいい人の対人関係(犬塚壮志)

『頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術 (サンクチュアリ出版)』2022/12/13
犬塚壮志 (著)


(感想)
 犬塚さん自身の経験や膨大なアカデミックの知見をもとに、交渉力を身につけるために必要な「3つのルール」と、最短最速で交渉力を爆上げする「5つのセオリー」、さらに、誰でもすぐに使えて即効果が出てくる「55の交渉術」を教えてくれる本で、内容は次の通りです。
第1部 「守るべき3つのルール」と「覚えておくべき5大セオリー」
1-1 「守るべき3つのルール」
1-2 「覚えておくべき5大セオリー」
第2部 対人関係構築のステップ別交渉術
2―1 仕込み期
2-2 仕掛け期
2-3 仕切り期
第3部 交渉相手タイプ別の交渉術
3-1 同年代・目上の人
3-2 年下・目下の人
3-3 取引先・商売相手

 最初に、「頭のいい人の交渉に隠された5つの特徴」として次のことが書いてありました。
1)相手に交渉の開始と終了を気づかせない
2)相手とぶつからない(戦いや衝突は多大なエネルギーがかかるだけでなく、勝ったとしても遺恨が残るもの)
3)身を守ることを最優先にする
4)“All-Win”を目指している
5)目的にフォーカスして手段を選択する
   *
 そして「守るべき3つのルール」は……
・ルール1 マインドセットからはじめる(譲れないもの、手に入るものの重要度の明確化など)
・ルール2 事前に相手の情報を集める
・ルール3 互いの「利害」に注目する
   *
また、最短最速で交渉力を爆上げする「5つのセオリー」とは……
・セオリー1 人はコストをかけたものを選ぶ
・セオリー2 人はあたえてくれる人を選ぶ
・セオリー3 人はリスクをコントロールしてくれる人を選ぶ
・セオリー4 人はモヤモヤを解消してくれる人を選ぶ
・セオリー5 人はやる気を引き出してくれる人を選ぶ
   *
 ……なるほど。ここでは項目のみを紹介していますが、もちろん本書では、もっと詳しい解説があります。
 そして「第2部 対人関係構築のステップ別交渉術」、「第3部 交渉相手タイプ別の交渉術」からは、いよいよ「55の交渉術」が紹介されていきます。
例えば「2―1 仕込み期」では、
01 自分の見せたいところだけ呈示する
02 「はい」と答えさせて肯定的な空気をつくる
03 信用を勝ちとる要素を話に盛り込む
 などの交渉術が紹介されるのですが、なかでも効果的かもと思わされたのが、「02 「はい」と答えさせて肯定的な空気をつくる」。これは、「まず相手が絶対に「イエス」といってしまいそうな気軽な質問を数回行う」というテクニックで、こうすると、その後なぜか「「イエス」をいいやすい肯定的な空気ができる」そうです。
 また「使えそう」と思ったのが、「2-3 仕切り期」の「19 自分の結論を出さずに相手に考えさせる」。これは「衝突せず、相手の意見を変えたいとき」に使えるもので、例えば会議で相手の意見に納得できないときには、
「あなたご自身は、本当にその意見で問題はないと思っているのですか?」
 と尋ねてみるなど、「こちらの意見や考え、要望などの結論を、あえて相手には伝えないまま、問いかけをする」ものだそうです。こうすると相手は、「もう少し考えてみます」など、自分の意見を引っこめてくる確率が高まるのだとか……。うーん、でもこの質問には、どうしても「賛成できませんね」という気持ちが裏に隠されているのが感じられるので、ちょっと威圧的で嫌みな感じもしないでもありませんが……頭ごなしに反対されるよりは角がたたないという意味で、良い方法なのかもしれません。
 また「頭がいい」と感じたのは、「3-3 取引先・商売相手」の「41 こちらの本音を悟らせず、ひたすら傾聴する」という方法。「自分の目的を隠しつつ、相手との距離を縮めたいとき」に使えるテクニックだそうです。「交渉の場では、カウンセラー役に徹することで、相手の自己開示を待ち、信頼関係を築いてから自分の要望を伝える」のだとか。……これも、かなり良いテクニックのように感じましたが……実際に相手がこれを使ってきたら、「この人、本当のところは何をしに来たんだろう?」と不審に感じそうな気もするので……使い方はちょっと難しいかもしれません……。
 この他、「42 欠点もセットにして売り込む」は良心的な感じだし、「43 理由は伝えず値段は高めにしておく」ことは「安売りをしない」ために効果的だと思いますが、「50 ダミーの「大きな要求」をまず断らせる」とか、「52 相手の想定を外す(目の前で衝撃的なことや予想外なことが起こると一種のパニック(思考停止状態)になるのを利用して、自分の意見や要求を通しやすくさせる)」とかは……ちょっと狡いようにも感じてしまいました。
 全体としては、『頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術』を、具体例を交えて多数教えてくれる本で、とても参考になりました。職場の人間関係・会議・営業・恋愛・親子関係・家事分担……日常のあらゆる場面で、対人関係の悩みは絶えないもの。それらをうまく乗り切って、よりよい人生を過ごせるように「交渉術」を身につけましょう。みなさんも、ぜひ読んでみてください☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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『頭のいい人の対人関係』