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第1部 本

ビジネス・その他

はじめて学ぶ物流(秋川卓也)

『はじめて学ぶ物流 (有斐閣ブックス)』2023/10/13
秋川 卓也 (著), 大下 剛 (著)


(感想)
 社会を支えている物流の仕組みや役割を総合的に学べる入門テキストで、内容は以下の通りです。
序章 物流を学ぼう
第1部 物流の実際──まずは概観を知る
第2部 物流とは何か──歴史ストーリーから学ぶ
第3部 物流ネットワークの構造を知る
第4部 物流を管理する
第5部 物流の広がり
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「序章 物流を学ぼう」では、東日本大震災の時に支援物資が上手く届かなかったのは、そこに物資を扱うシステム(物流)がなかったからだと書いてありました。支援物資の物流には、次のような作業が必要だそうです。
「支援物資の物流には、到達した物資を受け取る、作業がしやすいように整理・保管する、被災者から要望を聞いて拠点に伝達する、要望に基づいて物資をピッキングして仕分けする、車両やドライバーを手配する、配送ルートを設定する、物資を車両に積み込む、在庫状況を把握し得て補充注文を行うなど、さまざまな作業が必要となります。」
 ……東日本大震災の時には、支援物資がたくさん届いても、自治体の役所のような普通の床では、物資の保管・荷捌き場としての強度が足りなかったという問題もあったそうです。これらの問題は、どれも「物流」のことを考える上では重要なことだということを、この本でよく理解することが出来ました。
「物流」というのは単なる物の輸送ではなく、生産物を消費者に届けるまでのすべての活動が含まれるのです。その定義は、次のようなものでした。
「物流とは、有形商品の消費・利用・還元のために、供給主体と需要主体との間にある空間、時間のギャップを架橋する機能でもって、商品とその品揃えの利用可能性を提供するサービス・システムである。輸送・保管・包装・荷役・流通加工といった物理的な活動がその実態化を担い、管理を含む情報活動がそのシステム化を狙うものである。」
そして物流の一角を担う「物流センター」には次の3つの類型があるそうです。
1)在庫型センター(DC):保管機能+仕分け機能
2)通過型センター(TC):仕分け機能
3)プロセスセンター(PC):流通加工機能(アパレルの値付け・ラベル貼りなど)
 ……アパレルの値札付けやラベル貼りなどまで行う「物流センター」があるとは知りませんでした。またインターネット通販そのもののような「フルフィルメントセンター(注文受付、受注処理、ピッキング・包装、発送、アフターサービス・返品などの一連の処理を行う)」も、上記の在庫型センター(DC)の一類型になるそうです。
 物流活動は輸送、保管、荷役、流通加工、包装、情報活動の6つの活動で説明されるのが一般的で、「情報活動」も重要な役割を果たしています。「物流での見える化と情物一致」を確保するためには、作業がなされるたびに、商品が動くたびに正確かつ漏れなく記録をとっておく必要があるのです。……正しい情報、とても大事ですよね。
 また本書では、物流がどのように発展してきたのかの経緯も知ることができました。トラック・鉄道・船舶・航空・ドローンなどの多様な輸送手段だけでなく、コンテナ、フォークリフトとパレットなどの工夫、そしてコンピュータによる情報管理が物流を改善してきたのです。
 さらに最終章「第14章 SDGsと物流」では、今後、物流を「ホワイト物流」化させるために、次のような取り組みをしている事例があることが紹介されていました。
1)待ち時間削減(予約受付システム、入荷情報の事前提供、出荷に合わせた生産・荷造りなど)
2)荷役作業の負担軽減(パレット等の活用、運転以外の作業の分離、荷役作業時安全対策など)
3)物流の生産性向上(パレット等の活用、集荷先や配送先の集約、モーダルシフトなど)
4)納品先企業の入荷作業効率化(予約受付システム、納品日の集約など)
 ……人々や業務を「つなぐ」大切な物流を、より良いものにするための仕組みが、どんどん進んでいくと良いですね!
「物流」について、総合的に学べる『はじめて学ぶ物流』の本でした。この他にも、「プル型輸送(顧客の注文に基づいて動く物流)」、「プッシュ型輸送(顧客の注文が来る前に見込みで動く物流)」、「デカップリング・ポイント(物流の特性を変える中間在庫の位置)」による「物流ネットワークの基本構造」など、参考になる情報がたくさんあります。みなさんも、ぜひ読んでみてください☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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『はじめて学ぶ物流 (有斐閣ブックス)』