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第1部 本

歴史

イラスト図解 世界史を変えた金属(田中和明)

『イラスト図解 世界史を変えた金属』2023/10/14
田中和明 (著)


(感想)
 鉄・銅・金・ステンレス鋼・ジュラルミン……人類の歴史には金属が大きく関わってきました。金属が織りなす壮大な歴史とロマンを、豊富なエピソードとイラストを交えて紹介してくれる本です。
 本書の金属の「歴史」は、なんと138億年前から始まります(笑)。
「私たちの宇宙では、今から138億年前にビッグバンが起こりました。ビッグバンは、最も単純な構造の元素である水素を生み出しました。宇宙空間に散らばった水素は、やがて引力で引き合い、集まって恒星になります。
 あらゆる金属は、この恒星の内部における核融合反応で生まれました。核融合反応は、原子同士を高温・高圧でくっつけ、どんどん重い元素を生み出します。」
 ……ということで、核融合でまずヘリウムが、そして炭素、酸素、硫黄、珪素……最終的には鉄まで生み出されました。そして……
「鉄より重い金属は、恒星の爆発でできたものです。恒星が燃え尽きると、超新星爆発と呼ぶ激しい爆発が起こります。この爆発のエネルギーで鉄とほかの元素がさらに核融合し、鉄よりも大きな原子量をもつ金属元素が誕生します。」
 ……このため、宇宙では鉄の存在量が特異的に高くなっているのだとか。ちなみに地球の重量も3分の1は鉄だそうです。現代は「鉄の時代」で、あらゆる便利なモノに鉄が利用されているので……こんなにも豊富にあることを知ってホッとしました。
 でも人間が最初に使い始めたのは鉄ではなく、銅だったようです。次のように書いてありました。
「人間が最初に自ら精錬した金属は、銅だったと思われます。銅鉱石は、色が鮮やかな緑色や青色なので、見つけやすい鉱石です。燃やした木炭に鉱石を入れるだけで、鉱石から酸素や硫黄をうばい取る還元反応に必要な温度が得られ、容易に銅鉱石から銅を得ることができました。」
 でも銅には柔らかいという欠点がありました。そこで古代の人は、銅と錫と一緒に加熱して、より硬い青銅器へと改良していきました。

   *
 さらに鉄が使われ始められましたが、最初に作られたのは、不純物をほとんど含まない柔らかい鉄(純鉄)だったそうです。鉄鉱石を木炭と一緒に炉の中で焼くと、木炭から発生した一酸化炭素により鉄鉱石の酸素が奪われて、鉄(純鉄)を得ることが出来ました。
 そして純鉄を作る過程でさらに高温にしつづけると、木炭の炭素が純鉄に染み込みます(浸炭)。こうして鉄にわずかな炭素が入り込んで、鉄が強化され、硬く強靭な鋼を作り出せるようになりました……鉄は作り方で、いろんな性質になるんですね! 鋳型に注ぎこめる柔らかい鋳鉄、それから炭素を抜いて硬くて加工性の良い錬鉄に、さらに両方の良い性質を活かせるよう、適度に炭素が入った状態の鋼鉄へと、どんどん改良されていったようです。
 いろいろな金属の歴史をじっくり紹介してもらえて、とても興味津々でした。
 また、ところどころに豆知識的なコラムもあり、これも面白い内容でした。例えば、「神話と金属」というコラムでは……
「その昔、日本では、製鉄原料を水辺で採取していました。葦などの水辺植物の根に、水酸化鉄が堆積していたからです。鉄分は、陸地から押し流されてくる土砂に含まれています。草の根にはバクテリアがいて、その鉄分、つまり三価の鉄イオンを二価鉄イオンに還元し、水酸化鉄として根の周りに付着させました。
 現在でも日本の各地で、湿地帯の葦や水田の稲の根の周囲に、高師(たかし)小僧と呼ばれる、チクワのように穴の開いた棒状の酸化鉄の塊が見られます。これは水酸化鉄が乾いたものです。水酸化鉄が非常に大きくなったものを、鉄糞(かなくそ)と呼ぶ場合もあります。
 古代の人は、この水酸化鉄を製鉄に利用していました。(中略)
 日本では、兵主(ひょうす)神社を中心に、この水酸化鉄を利用していました。(中略)河童の姿は、川で製鉄材料を採取する人たちのことを指していました。」
 ……へー! 河童はそういう人たちのこともあったんですね!(諸説あるようですが……)
 この他にも、「犠牲防食(2種類の金属が接触している場合、片方の金属が溶けだすと、もう片方は腐食を免れる現象)」とか、「時効効果現象(時間が経過すると次第に強度が増してゆく現象)」とか、金属のいろんな現象を知ることが出来て勉強になりました。
『イラスト図解 世界史を変えた金属』……人類の歴史と金属の関わりについて、イラストで学ぶことが出来る本でした。1950年代までの歴史なので、金属の最新知識はありませんでしたが、興味深い内容満載だったと思います。興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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イラスト図解 世界史を変えた金属