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第１部 本
科学
知識ゼロからの科学の教養366日（田中千尋）
『知識ゼロからの科学の教養366日』2023/4/26
田中千尋 (監修)
（感想）
理科の基礎知識を分かりやすい文章とカラー図版でコンパクトにまとめた『知識ゼロからの科学の教養366日』。「１日１ページずつ読むだけで、１年後には高校基礎までの履修内容と科学的思考が身につきます。」ということで、全部で366ページ（１ページが１テーマ）の科学的知識が、「生物」「化学」「物理」「地学」の４パートに分けられて続いていきます。
この本は「好奇心をもって読みつ続けられるように」構成されていて、例えば最初の「生物」の１日目のページには、「なぜ屋久杉はあんなに大きく育つの？」という命題が与えられています。
そして、このページには、「植物はどんな一生を送るのだろう？」、「植物の体の構造はどうなっている？」、「植物はどうやって繁殖するのか？」という三つの疑問が書いてあるだけで、それらへの答えは書いていないのです。だから、この疑問への答えを知るためには、２日目以降のページを読み進めなければいけなくなります（笑）。
ところが２日目以降のページも、この三つの疑問にすぐに答えてくれるものではなく、植物の体の構造や、種類など、「植物に関する知識」が１日１テーマで解説されていくだけ……これが26日続いて、やっと27日目に「寿命の長いスギが理想の生育環境を手に入れた」という「まとめ」としての解答が得られるのです。
こんな感じで、続いて「生物」の２番目の命題「眠ると疲れがとれるのはなぜ？」が始まり、今度は人体に関する生物の知識が次々解説されていく……ことになります。
本書は「１日１ページ読んで１年で科学の総合的な知識をつける」ための本ではありますが、もちろん１日で全部読んでも構いません。理科好きな私にとっては、ほぼ知っている内容の復習だったので、２～３日で一気に読めてしまいました。
この本は冒頭が「植物」に関する知識から始まるので、ベランダや庭で植物を育てている方にとっては、とても興味深い内容なのではないかと思います。もちろん「人体」に関する部分も、知っておいて損はない内容ばかりです。
個人的に勉強になったのは、「化学」の「溶液」に関する次のような記述。
「（前略）物質を溶かした液体のことを「溶液」という。とくに水に溶かした場合は「水溶液」と呼ばれる。また、溶けている物質を「溶質」、溶かしている物質（液体）を「溶媒」という。（中略）
ちなみに金属は溶質にはならない。食塩が水に溶けるのは「溶解（溶ける）」だが、金属（たとえば金属ナトリウム）が水に溶けるのは「化学反応」だ。」
……へー、そうだったんだ。
また酸とアルカリに関する部分でも、ちょっとあやふやだった知識を再整理できました。
・酸素と結びつくのが「酸化」、取り除くのが「還元」
・電解質が水に溶けることで陽イオンと陰イオンに分かれる現象を「電離」（イオン化）という。
・水溶液の中で電離をし、水素イオンを発生させる物質を「酸」という。
・水溶液の中で電離をし、水酸化物イオンを発生させる物質を「アルカリ」という。
・酸の陰イオンとアルカリの陽イオンが結びついてできる物質は、「塩（えん）」と呼ばれる。塩には塩化ナトリウムだけではなく、硫酸バリウム（薄い硫酸と水酸化バリウム水溶液からできる）など、ほかにも種類がある。
……なるほど、「酸」は「水素イオン」を発生させる物質だったんだ……。
そして「地学」でも、ちょっと勘違いしやすい知識を再確認できました。
「（前略）火山灰によって構成された岩石を「凝灰岩」と呼ぶ。火山由来の岩石だが、凝灰岩は火成岩ではなく堆積岩だ。」
……凝灰岩は「火成岩」のような気がしていましたが、火山から噴出された灰が堆積して押し固められたのだから……やっぱり「堆積岩」ですよね！（苦笑）
こんな感じで、中学から高校までの理科の基礎知識を総合的に分かりやすく解説してもらえます。理科が苦手だった方の再学習になるのはもちろんのこと、理科好き人間にとっても、自分のあやふやな知識部分を再確認できるので、とても参考になると思います。またお子さんがいる方なら、お子さんへの説明をする時の参考書としても使えると思います（中学生以上のお子さんなら、自分で読んでもらうのが一番かもしれません）。
みなさんも、ぜひ読んでみてください。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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