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第1部 本

社会

デジタルテクノロジー図鑑 「次の世界」をつくる(comugi)

『デジタルテクノロジー図鑑 「次の世界」をつくる』2023/7/1
comugi (著)


(感想)
「次」の世界をつくる、最先端の「デジタルテクノロジー」について、100点以上のイラスト図解で分かりやすく解説してくれる入門書です。
「1章 デジタルテクノロジーの「現在地(トレンド)」を把握する」では、web1(情報の流れが一方通行=発信者が決まっていた時代)から、web2(読む、発信が両方できるようになったが、プラットフォームに権力が集中した時代)へ、さらにweb3(非中央集権化(分散化)、GoogleやSNS(Facebookなど)の2大権力からの脱却)へと進んできたことが詳しく説明されていました。
 そして「第2章 お金の流れ(経済)を変えるテクノロジー」では、仮想通貨やブロックチェーンなど、今後の社会の中核をなすと言われているテクノロジーが解説されています。
 例えばブロックチェーンでは……
「ブロックチェーン技術を活用することで銀行などの金融機関を通さず、国家間レベルで金銭的な「価値」をやりとりできる。しかもお互いの信頼関係も忖度も不要で、コンピュータが自動処理」
 そしてビットコインでは……
「最初から2100万枚と発行量が制限されているビットコインのマイニングは90%超まで進んでいるが、すべてが採掘されるのは2140年頃と推定されている。」
 さらに「インセンティブ・エコノミー」では……
「ビットコインで働くのは「不正には膨大なコストがかかる→真面目に仕事したほうがいい」というインセンティブですが、イーサリウムでは「計算に失敗したら、自分のイーサリウム全没収→真面目に仕事したほうがいい」というインセンティブが働くようになっています。」
 またスマートコントラクトとは……
「スマートコントラクトとは、あらかじめ決めたことが自動実行されるようにプログラムすることができる「賢い契約書」である。この仕組みを実装したことによって、イーサリウムは「価値のトークン化」が可能になった。」
 ……など、知っておくべき最新技術が解説されていました(もちろん本書内では、もっとずっと詳しい説明があります。)
 続く「第3章 ビジネス(仕事)を変えるデジタルテクノロジー」では、「web3クラウドソーシング(仕事・案件の取引をブロックチェーン上に構築したもののこと。代表格のDApps「ブレイントラスト」においては、受注者に仲介手数料は発生せず、100%の報酬を得られる)」や、「分散型レンディング(仲介者不在で「借りたい人」「貸したい人」同士で、直接的に仮想通貨を貸し借りできる仕組みのこと。DeFiの一種であり、レンディングの原資をプールすることで利回りを得ることができる)」など、未来社会で普及しそうな技術の解説がありました。
 さらに「第4章 組織を変えるデジタルテクノロジー」では、通貨的な「ユーティリティトークン」、証券的な「ガバナンストークン」の概要を知ることが出来た他に、トークンが健全に普及するための鍵になることが、次のように概説されていました。
「シングルトークン」には、通貨的に流通するべきトークンが値上がり期待で保有に傾くと、流通量が減って成長に歯止めがかかり、結果的に崩壊する危険性(シングルトークンのパラドックス)があるそうです。
 それを抑制することができるのが、「デュアルトークンエコノミー」で、これはさらに、「トークンの発行量を調整することで市場価値をコントロールすることも出来る」のだとか。
 そしてちょっと意外だったのが、「スピード感が必要な組織」は、未来の組織形態と言われているDAO(分散型自律組織)には向かないと書いてあったこと(笑)。
「DAOとは、1つの目的に向かって、みな対等なメンバーたちがそれぞれの形で貢献するweb3プロジェクトのことである。スマートコントラクトを基盤に、意思決定する「投票」などのガバナンス機能を備えるのが特徴である。」
「(前略)トップダウンの決済ではなく、組織内で共有されているスマートコントラクトに自動実行させることで、「組織の中央に権力がある」という構図を崩している。こうして、権力を分散させること、非中央集権的であることを目指すweb3哲学を実装した組織が「DAO」、「分散型」「自律」「組織」なのです。」
 ……という性質上、スピード感のある行動が出来ず、ソフトウェア開発組織には向かないそうです。「【コラム11】DAOに向いている組織、向いていない組織」によると、DAOは「スピーディかつ、白黒つける意思決定が常に必要な組織」には向かなくて、「短期的展望より長期的な展望を優先する組織」が向いているのだとか。
 この他にもNFTなど、今後の社会でどんどん普及していきそうな技術について、総合的な解説を読むことが出来ました。
『デジタルテクノロジー図鑑 「次の世界」をつくる』……最先端のデジタルテクノロジーで未来の社会がどう変わっていくかについて、イラスト等を活用して総合的に分かりやすく 解説してくれる本でした。知っていて損はない話ばかりだと思います。興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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