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第1部 本

医学&薬学

自律神経の科学(鈴木郁子)

『自律神経の科学 「身体が整う」とはどういうことか (ブルーバックス)』2023/4/13
鈴木 郁子 (著)


(感想)
 全身の臓器とつながり身体の内部環境を守っている自律神経について、交感神経・副交感神経の仕組みや新たに発見された「第三の自律神経(腸管神経系)」の働きまで、詳しく解説してくれる本で、内容は次の通りです。
はじめに
第0章 神経について、基本をおさえる
第1章 自律神経とはなにか
第2章 涙や唾液と自律神経
第3章 汗やホルモンと自律神経
第4章 ストレスと自律神経
第5章 喜怒哀楽と自律神経
第6章 内臓の情報を伝える自律神経
第7章 自律神経から考える「心身を整える方法」
   *
 自律神経系とは、次のようなものだそうです。
「身体の働きをバランスよく保っている交感神経と副交感神経。これに内臓求心性線維と腸管神経系を加えた神経系を自律神経系と呼んでいます。」
「体の内側の情報を脳に届けたり、内臓の働きを調節してくれたりしているのが自律神経です。」
「(前略)内部環境のひとつひとつの要因はリズムを持ちつつも、ほぼ一定に保たれています。一定に保つ仕組みに関わっているのが自律神経です。」
 そして交感神経と副交感神経は、次のような働きをしています。
「交感神経は運動しているときや興奮しているときに活動が高まり、体の活動に適した状況がつくられる。副交感神経はリラックスしたり食事をとったりしているときに活動が高まり、次の活動に備える状況がつくられる。この2つの神経の働きが、バランスをとって臓器を動かしている」
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「第3章 汗やホルモンと自律神経」では、マッサージなどの皮膚への刺激が、自律神経や血流に影響しているかもしれないと書いてありました。
・手足の刺激やアロマの匂いは、認知症予防に役に立つかもしれない。
・皮膚への刺激でオキシトシンや成長ホルモンが分泌される
・自律神経は、全身の血流を調節している
・皮膚への刺激は脳の血流を変え、脳を活性化させる
・皮膚への刺激や自律神経の働きは、ホルモンの分泌にも影響する
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 ……なるほど。お子さんを撫でてあげると、ストレスを減らすだけじゃなく、脳の活性化や成長にも役にたつのかもしれません。
 そして最後の「第7章 自律神経から考える「心身を整える方法」」には、その方法として、つぎの7つがあげられていました(本書には、詳しい説明があります)。
1)自分の意思で自律神経を調節してみましょう
2)ストレスを緩和し、交感神経の過度な活動を休めましょう
3)体を動かし、弱った交感神経の調節機能を活性化することも大事です
4)夜はしっかりと睡眠をとって副交感神経の活動を高め、交感神経の活動を休めてあげましょう
5)腸管神経系の活動を高め、内臓求心性線維の活動にも耳を傾けましょう(腸内細菌にも気をつけて少しずつ多種類のものを食べる。)
6)患者同士で情報の共有し、生活の工夫をしましょう
7)目や耳など脳への負担を減らし、自律神経を休めましょう
8)超資本主義社会に無理にあわせる必要はありません(「足るを知る」)
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 この他にも、「規則正しい食事は体内リズムを整える」とか、「よい生活習慣の継続が自然治癒力を高め、病気の予防につながる」とか、いろいろなアドバイスがありました。一般的に「健康に良い」とされること(運動・食事・睡眠・ストレスを溜めないなど)が、「心身を整える」にも役立つようです。
 なお高齢者の方の場合は、多すぎる薬が不調の原因かもしれないそうです。
「(前略)薬というものは私たちの体内に入り、生体の機能を変えることによって症状を軽減したり治したりするのですが、ほとんどの場合、その働きは体の一カ所に留まらず、多くの部位に及ぶのです。」
 とくに自律神経に作用する薬は全身に影響が及びそうなので、必要な量以上を飲むのはやめた方がいいでしょう。
『自律神経の科学 「身体が整う」とはどういうことか』……体内での自律神経の働きを、詳しく教えてくれる本で、とても参考になりました。みなさんも、ぜひ読んでみてください☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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