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第1部 本

生活

身のまわりの「危険物の科学」が一冊でまるごとわかる(齋藤勝裕)

『身のまわりの「危険物の科学」が一冊でまるごとわかる』2023/6/17
齋藤 勝裕 (著)


(感想)
 日常的に「危険物」と思っていないものにも潜む危険について、なぜ、どのように危険なのかを化学的に解説してくれる本です。
「はじめに」には次のように書いてありました。
「(前略)知識があれば避けられたのに、その知識がなかったばかりに思わぬところで巻きこまれてしまうような危険のことをいいます。」
 また「序章 危険物とは」には……
「(前略)包丁、自動車、各種の機械など、物理的・機械的な危険物は別にして、本書ではキョウチクトウ、カエンタケのような毒物、燃焼物、爆発物のような化学的危険物質、およびスズメバチ、マムシ等の有害動物などを選択して扱うことにしました。なぜなら、これらの危険物に対しては「知識」があれば十分に対応可能だからです。」
 ……ということで、本書では「包丁、自動車、各種の機械など、物理的・機械的な危険物」ではなく、身の回りの毒物や化学的な危険物についての「危険」を総合的に教えてくれます。この本を読んで……身の回りには「危険がいっぱい潜んでいる」ことに愕然としてしまいました。
 例えば、身の回りの危険物としてよく言われる洗剤の「混ぜるな危険」、塩素系漂白剤と酸性の洗剤を混ぜると危険ということは知っていましたが、塩素系漂白剤と「酢」を混ぜても危険だとは、迂闊にも気づいていませんでした……(トホホ)。しかもこれ、台所だけでなく、当然、排水が流れた溝でも発生するので、意識的に混ぜなくても、流れた先の排水溝で混ざってしまって危険な塩素ガスが発生することがあるそうです。……うーん、確かにそうですね。もっとも私は、この「混ぜるな危険」を避けるため、酸素系漂白剤しか使わないことにしているので、あまり問題はありませんでしたが……。
 また洗剤を入れたアルミ缶やボトルが爆発したという、たまにTVで見る事件についても、その化学的な反応について知ることが出来ました。2012年、地下鉄・丸の内線でアルカリ洗剤が入ったコーヒーのアルミ缶が爆発した事件がありましたが、アルミニウムはアルカリと反応すると水素ガスを発生させるそうです。しかもアルミニウムは酸とも反応して水素を発生させるそうなので……アルミ製のボトルには、水以外のものを入れては絶対にダメですね! こんなに怖いものだったとは……。
 さらに「一酸化炭素は呼吸毒」ということも知識として知ってはいたのですが、筋肉運動として「息ができない」という状態になるわけではないそうです!
「呼吸毒は人に呼吸をできなくさせて死に至らしめる毒物ですが、この場合「呼吸」といっても息を吸ったり吐いたりするという筋肉運動をいうのではありません。細胞に酸素を届ける化学操作のことをいいます。」
 ……一酸化炭素や青酸ガスは酸素よりもヘモグロビンと結合する力が強く、いったん結合すると離れなくなる、つまり酸素を細胞に渡すことが出来なくなるそうです。うわー、そうだったんだ……だから気づかないうちに死んでしまうんですね……怖っ。
 こんな感じで、身の回りにある「危険」のことを、たくさん教えてくれます。
例えば道端に生えている植物についても、ワラビ、スイセン、トリカブト、スズラン、ヒガンバナ、シキミ、トウゴマなど……なかでも街路樹として植えられているキョウチクトウは強毒なのだとか。次のように書いてありました。
「(前略)なぜ、こんな危険な植物を街路樹として植えているのかというと、原爆記念だといわれています。
 1945年、原爆投下後の惨状下で、「今後70年間広島に草木が生えることはないだろう」といわれたという話がありますが、草木は強いものです。中でも真っ先に復活したのがキョウチクトウであり、その姿は広島の人に勇気と希望を与えたといいます。
 もうひとつ、キョウチクトウが排ガスに強いこともあって、街路樹として街のあちこちにキョウチクトウが植えられることになったとされています。」
 ……こういう経緯を聞くと、ちょっと複雑な気分になりますが、キョウチクトウは燃やしても煙にまで毒がある毒植物で、バーベキューで、この枝に挿した肉を食べた人が死亡した例もあるほど危険な植物だそうなので……街路樹として使うのは止めるべきだと思います。かつては希望を与えてくれたとしても、今後、火災などで毒煙を発生させて思わぬ被害を拡大させる危険が大いにあるのではないでしょうか。
『身のまわりの「危険物の科学」が一冊でまるごとわかる』……怖くなるほど、身の回りには危険がいっぱいだったことに気づかされました。とても参考になる本だったのですが、危険な動物などの写真(または精緻なイラスト)がないことが残念でした。例えば危険なキョウチクトウの写真もありません。植物については悪用されることが心配で写真を掲載しなかったのかもしれませんが、動物についてはぜひ写真を掲載して欲しかったと思います(ちなみに危険な動物としては、蚊、ハチ、ドクガ、毒グモ、ムカデ、サソリ、ハブ、マムシ、ヤマカガシ、ウミヘビ、ハブ貝、カツオノエボシ、ヒョウモンダコ、ガンガゼ、毒キノコなどが紹介されていました)。
 それでも、身の回りの「危険」をたくさん知ることが出来るだけでなく、化学の基礎知識っぽい解説もあって勉強にもなるので、みなさんも、ぜひ読んでみてください☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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