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第1部 本

音楽

はじめての管楽器メンテナンスブック 【木管楽器編】(山領茂)

『はじめての管楽器メンテナンスブック 【木管楽器編】』2010/12/22
山領 茂 (著)


(感想)
 フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、サクソフォン……知っていると役立つ、楽器の構造やお手入れ方法、メンテ用品などについて、豊富な写真を使って解説してくれる本です。
 趣味で管楽器の演奏を楽しんでいて、自分の楽器については、それなりに手入れ法なども知ってはいますが、他の管楽器のことも知りたくなって読んでみました。
 まず「楽器の保管について」が、とても参考になりました。
 木管楽器はとてもデリケートなので、高温になる場所で保管しないという一般的な注意の後に、次のことが書いてありました。
「長期間保管する場合には、2、3カ月に1度は取り出し、キイ、タンポ、コルクなどがケース内で押さえつけられたままになったり、カビや虫食いなどが発生したりしていないことを確認します。また、コルク、フェルト、タンポが管体やトーンホールと固着しないように、全てのキイを動かしておきましょう。」
 ……そうだったんだ……。予備の楽器や、使わなくなった古い楽器をお持ちの方は、たまに演奏する方がいいようです。次のようにも書いてありました。
「木管楽器のひび割れは木材の急激な動きによっておこるので、毎日楽器を吹き、楽器に含まれる湿気をなるべく一定に保つことが重要です。使用後はケースにしまって湿気をゆっくり変化させるのが、ひび割れを防ぐ最も有効な手段なのです。」
 また、木管楽器の取り扱い方は、一般的には次のように行うようです。(もちろん本書内では、楽器ごとに写真で詳しい解説があります。)
・丁寧に取り扱う。
・組み立てる時には、管体同士をまっすぐに均等な力で差し込む。
・組み立て前後に汚れを取る。演奏後にしまう前には、水分と汚れを取り除く。
・演奏の一時休止中に、トーンホール面を下にして机等に置かないよう習慣づける。
・楽器を使わない時はケースに入れる(楽器以外のクロスなどを入れない)。
   *
 楽器ごとに「歴史」や「構造と種類」「取り扱い方」「お手入れ」の解説があります。
 例えば、フルートについては……
・(フルートの)ヘッドコルクに接する反射板の位置は唄口センターから17mmと決められていて、この寸法が動くと音程や鳴りに影響がある。
・(フルートの)リングキイシステムには、音の抜けの良さと微分音、グリッサンドやポルタメント、替え指の多さなどたくさんのメリットがある。
・(フルートの)カバードキイシステムは押さえやすく、Gキーがオフセットされていて、左手の薬指がとどきやすくなっている。
・チューニングは、頭管部を抜いて調整する(抜くと音程が低くなり、入れると高くなる)温度でも音程が微妙に変わる。
 ……など。
 とても興味深かったのは、オーボエの音の鳴り方の詳しい説明。
「オーボエは、発音原理からファゴットなどとともにダブルリード楽器に分類されます。
 ダブルリード楽器は、口から吹き込まれる空気がリードを振動させ発音します。(中略)
 リードの隙間に息を吹き込むと、リードの中の空気圧が下がって、リードは閉じようとします。閉じたまさにその瞬間、まるで手をたたいた時と同じように音波が発生し、楽器内部を伝わります。音波は最初に空いているトーンホール(音孔)か、ベルの出口で反射して戻り、この圧力が閉じたリードを再び開きます。この音波の往復が高速でくり返され、発音が続いていくのです。
 また音程は、リードが閉じて発生した音波がどこで反射して戻ってくるか、その長さで決まります。トーンホールを指で上から下へふさいでいくと音程が下がっていくのは、こうした原理によるものです。」
 ……なんか、すごく不思議な音の鳴り方をしているんですね!(笑)
 なおオーボエのチューニングはかなり複雑で、「オーボエのピッチは、リードチューブの長さやタイプ、リードの長さや幅、スクレープやガウジング等のスタイルによって変化します。チューニングが合わない場合はこれらを調整する必要があります。」なのだとか。
 この他にも、各楽器の標準的なタイプはどのようなものかとか、初級者、中級者に向く楽器はどのようなものか、など参考になる情報がたくさんありました。
また「第6章 自分で直す」の「楽器のチェック」「タンポのチェック」は、次のようにするようです(一部の抜粋です)。
・クリーニングペーパーを、先端を約1mm、手元を幅30mm、長さ50mmの三角形に近い台形に切り、タンポとトーンホール(音孔)の間に差し入れて、演奏する時と同じか、少し弱めにキイを押さえながら手前に引く。抵抗が感じられれば、タンポの合わせ目は良い状態。四方向でチェックする。
 ……なお、このチェックで息漏れを発見したら、専門家に修理を頼むといいようです(タンポの不良を自分で直すのは大変だから)。
 一般的な木管楽器について、楽器屋さんのような知識を総合的に学べる本でした。
 ちょっと残念だったのが、オーボエなどで必要な「リード」についての詳しい説明があまりなかったこと。リードは消耗品なので、「どんな状態になったら交換すべき」とか、「不具合などに備えて、いつも何枚以上持っているべき」とか、「毎日の手入れや調整をどうやるべき」などの説明が欲しかったと思います。吹奏楽部の初心者が知りたい情報だと思うので……。
 フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、サクソフォンの5つの楽器を中心に、楽器各部の詳細、各楽器の構造と種類、楽器の取り扱い方、日頃のお手入れ、故障時の対応などを総合的に解説してくれる本でした。管楽器を練習している方や、これから管楽器を始めたい方は、ぜひ読んで(眺めて)みてください。
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 他の楽器用の『はじめての管楽器メンテナンスブック 【金管楽器編】』、『はじめての 弦楽器メンテナンスブック』もあります。
 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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