ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)

第1部 本

地質・地理・気象・地球環境

Newton大図鑑シリーズ 地学大図鑑(田近英一)

『Newton大図鑑シリーズ 地学大図鑑』2021/5/31
田近 英一 (監修)


(感想)
 地形のみならず、地震や火山、気象、海流など、地球で見られるさまざまな現象は、個々の自然現象が複雑に関係しあい、引きおこされています。地球はいわば、大きな「からくり装置」のようなもの……そのメカニズムを美しいイラストとともに分かりやすく解説してくれる『Newton大図鑑シリーズ 地学大図鑑』で、内容は次の通りです。
Part1 地球の内部構造
(地球/プレート/大陸移動説/プレートテクトニクス理論/ヒマラヤ山脈/プレート運動/スタグナントスラブ/地震波トモグラフィ/地球内部の熱/毛布効果/スーパープルーム/ウィルソンサイクル)
Part2 地震と日本列島
(地震/震度/マグニチュード/地震の種類/プレート年齢/地震発生のメカニズム/津波/日本列島と活断層/首都を襲う地震/南海トラフ/地震予測)
COLUMN 東北地方太平洋沖地震/地震とナマズ
Part3 火山
(超巨大噴火/火山のしくみ/火山ができる四つのパターン/カルデラ/火山の冬/富士山/山頂火口/大沢崩れ/宝永火口/富士山の成り立ち/マグマの供給/富士火山地質図/富士五湖/超巨大地震と火山噴火/火砕流/火山灰/山体崩壊/岩屑なだれ/噴火の予測と対策)
COLUMN 貞観噴火・宝永噴火/地熱発電
Part4 地殻変動が生みだす地形
(マグマオーシャン/月・海・陸の出現/大酸化イベント/全球凍結/地球史年表/グレート・リフト・バレー(大地溝帯)/ウルル/地形の変化/アマゾン川/マッターホルン/ペリト・モレノ氷河/ガイランゲルフィヨルド/英虞湾/グレートブルーホール/秋吉台/秋芳洞/グランド・プリズマティック・スプリング/ビクトリアの滝/ジャイアンツ・コーズウェー/伊豆大島)
COLUMN 地層/フォッサマグナ
Part5 海洋と大気
(海/海の役割/風成循環/熱塩循環/寒流・暖流/海洋資源/大気圏/大気の循環/世界の気候/異常気象/太陽放射と気温/氷期・間氷期/海面上昇/地球温暖化)
COLUMN 海底熱水鉱床/砂漠
   *
 ドイツのアルフレッド・ウェゲナーが約110年前に提唱した「大陸移動説」は、発表当初は社会に受け入れられませんでしたが、今では多くの証拠が見つかって、「プレートテクトニクス理論」へと発展しています。
「Part1 地球の内部構造」では、プレート運動が次のように詳しく解説されていました(そのごく一部を抜粋紹介)。
「“離れる”場所に相当する海嶺や地溝では、割けたプレートのすき間を埋めるようにマントル物質が上昇する。上昇するマントル物質は、圧力が下がるため部分的に溶融し、マグマができる。このマグマがプレートのすき間からわき出し、海水で冷やされると、新しいプレート(海洋地殻)となる。
 他方、プレートどうしが“衝突する(沈みこむ)”場所では、大山脈や海溝が生じる以外にもさまざまな事象がみられる。たとえば2011年に起きた東北地方太平洋沖地震は、太平洋プレートが東北地方に沈み込み、プレートが元の形にもどろうとはね上がることで生じたものである。
 プレートが衝突する場所は、大陸が成長する場所でもある。プレートの沈みこみにともない発生するマグマは、大陸(大陸地殻)下部で冷え固まって大陸地殻を厚くすると同時に、火山活動で地表に噴出する。」
   *
 また、プレートの運動は、気候にも影響を与えているそうです。次のようにも書いてありました。
「地球の気候は変動をくりかえしてきた。しかし長期的に見れば、液体の水が存在できる温度に維持されている。これは地球が、気候を決める重要な要素である二酸化炭素の濃度を自動的に調節しているためだ。
 大気中の二酸化炭素は水に溶けやすい。二酸化炭素が溶けこんだ水は炭酸となり、地殻を少しずつ溶かしてカルシウムなどの物質を海へと運ぶ(風化作用)。海では両者が反応して、炭酸カルシウムが沈殿する。これにより、大気中から二酸化炭素が取り除かれることになる。
 温暖化が進むと、風化作用が促進され、二酸化炭素がたくさん取り除かれる(温暖化は抑制される)。反対に寒冷化が進むと、風化作用がおこりにくくなり、二酸化炭素があまり取りのぞかれなくなる。一方、火山活動によって、地球内部からはつねに二酸化炭素が放出されている。(中略)
 このシステムが維持されているのは、地球でプレートが運動しているおかげだという。プレートが動いているからこそ火山活動が継続され、安定的に二酸化炭素が供給されているのである。」
   *
 ……こんな感じで、地球物理学・自然地理学・地質学に関することについて、分かりやすく解説してもらえます。日本列島についても、地震のこと、富士山のこと、日本列島の成り立ちやフォッサマグナのことなどを分かりやすく学ぶことができました。プレート運動は、日本列島にも大きな影響を与え続けています。
 とても面白くて勉強にもなる『Newton大図鑑シリーズ 地学大図鑑』です。ぜひご家族で読んで(眺めて)みてください☆
   *   *   *
 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

Amazon商品リンク

興味のある方は、ここをクリックしてAmazonで実際の商品をご覧ください。(クリックすると商品ページが新しいウィンドウで開くので、Amazonの商品を検索・購入できます。)