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第1部 本

音楽

面白いほどわかる!オペラ入門(神木勇介)

『面白いほどわかる!オペラ入門: 名アリア・名場面はここにある!』2023/5/25
神木 勇介 (著)


(感想)
 これからオペラを楽しみたい人に向けて、オペラ鑑賞の基礎知識を含め、押さえておきたい「名作オペラの名アリア・名場面」など、名作オペラの観どころや聴きどころを優しく解説してくれる本で、内容は次の通りです。
序章 はじめに『魔笛』でオペラのことを知る
第1章 モーツァルトのオペラ
(『ドン・ジョヴァンニ』、『フィガロの結婚』など)
第2章 ロッシーニのオペラ
(『セビリャの理髪師』など)
第3章 ウェーバーのオペラ
(『魔弾の射手』など)
第4章 ワーグナーのオペラ
(『タンホイザー』、『ローエングリン』、『トリスタンとイゾルデ』など)
第5章 ヴェルディのオペラ
(『ドン・カルロ』、『椿姫』、『アイーダ』、『オテロ』など)
第6章 ビゼーのオペラ
(『カルメン』など)
第7章 マスネのオペラ
(『ウェルテル』など)
第8章 プッチーニのオペラ
(『ラ・ボエーム』、『トスカ』、『蝶々夫人』、『トゥーランドット』など)
第9章 R・シュトラウスのオペラ
(『ばらの騎士』、『アラベッラ』)
第10章 フォーレのオペラ
(『ペネロープ』など)
第11章 J・シュトラウスのオペレッタ
(『こうもり』など)
参考文献
   *
 クラシック音楽が好きなので、もちろんオペラも好きですが、どちらかというとオーケストラの演奏部分ばかりに注目してしまっていました。
 日本各地の劇場・ホールで日々多くのオペラが上演され、オペラに接することは以前よりも格段に容易になったようですが、とりわけ海外オペラハウスの来日公演などはチケットの価格が高くて、オペラは貴族(セレブ)の娯楽なんだなーと再確認させられます。
 また演奏時間が長いという印象も強く、ワーグナーの名作『ニーベルングの指輪』に至っては、序夜「ラインの黄金」、第一夜「ワルキューレ」、第二夜「ジークフリート」、第三夜「神々の黄昏」の四作品合計で約15時間もかかるという……時間とお金をもてあましているような富裕層じゃないと楽しめなさそう……せっかちな私には、到底無理という感じなのでした……。
 それでも庶民の味方のDVDなどで名作オペラがたくさん発売されているので、暇をもてあますような生活をすることになったら(入院するとか)、じっくり鑑賞しようかなとも思います。
 本書は、初心者でも分かるように、あまり音楽専門用語を使わずに、名作オペラの見どころを基礎知識の解説付きで分かりやすく教えてくれます。
 例えば、「序章 はじめに『魔笛』でオペラのことを知る」では、オペラの基礎的なことが、次のように紹介されていました。
・「まずオペラの醍醐味といえば、オペラ歌手が歌う「アリア」であることは間違いありません。アリアとは、オペラの登場人物がそのときの気持ちを歌い上げる歌、もしくはその場面のことです。美しい旋律に乗せて相手に思いを伝えたり、激しく訴えたいときには情熱的に歌ったり、各オペラには様々な歌や場面があります。いずれにせよ、オペラ歌手の見せ場であり、聞く側からしてもオペラ鑑賞のいちばんの楽しみであることも多いはずです。」
・「同じテノールでも声の質感が違うのです。オペラではまず、その登場人物に合った「声域」が割り当てられます。『魔笛』のタミーノのように王子、あるいは若い貴族、詩人などは男性のなかでも高い声域のテノールが割り当てられます。さらに同じ声域のなかでも、その役柄の性格によって必要な「声質」が違ってくるのです。王子タミーノ役は美しく立派な高音が出せるテノール歌手が歌います。逆にモノスタトス役のテノール歌手は、その卑屈な性格を誇張して歌って観客の目を引きます。このような特徴的な役を歌うテノールを「キャラクター・テノール」と呼ぶこともあります。こうした歌手が味のある歌唱を披露することによって、オペラ全体が面白いものになるのです。」
・「オペラは、主にイタリア、フランス、ドイツで独自のスタイルを発展させます。イタリアは「歌」がオペラの中心となり、その歌を歌う「声」が追求されます。イタリア語で「美しい歌唱」を意味する「ベルカント」という言葉があります。歌の力を引き出すようにイタリア・オペラは発展していきました。フランスでは、このイタリア・オペラの影響を大きく受けながら、フランス語のオペラが創作され、5幕もしくは4幕のグランド・オペラ(フランス語読みではグラントペラ)が主流になりました。スペクタクルな大舞台が好まれ、独立したバレエ場面が挿入されます。そしてドイツでは、イタリア・オペラが歌を重視したことに比べて、オーケストラが演奏する音楽にも注目し、オペラの「劇」の部分と組み合わせて全体芸術を模索していきます。」
   *
 ……などなど。オペラにはあまり詳しくなかったので、とても参考になりました。
 そしてオペラの名作として欠かせないのが、モーツァルトの『フィガロの結婚』とロッシーニの『セビリアの理髪師』ですが、この主人公が同じ「フィガロ」という名前なのは、同一人物だからだそうで、『セビリアの理髪師』は物語の時系列的に『フィガロの結婚』より前、スザンナと出会う前の話なのだとか。これらのオペラの原作はカロン・ド・ボーマルシェという人の戯曲で、全3部作。1作目が『セビリアの理髪師』、2作目が『フィガロの結婚』、3作目は良く知られていませんが『罪ある母』という作品だそうです。……そうだったんだ。せっかくの3部作なのに、1、2作目に比べて3作目があまりにも知られていないのが残念なので、これから誰かが作曲し直して、新しい「名作古典オペラ」を創ったらいいのではないかなーと思ってしまいました。モーツアルトとロッシーニと並び称されるなんて素敵じゃないですか……でもなんかタイトルが良くないので……そもそも3作目は、あまり良い戯曲ではなかったのかな?
 ……そんな妄想はともかく、この本では、名作のオペラのあらすじも一部知ることができます。荒唐無稽な話もあるようですが、個人的に一番見たくなったのは、ウェーバーのオペラ『魔弾の射手』。相思相愛の恋人アガーテとの婚礼の日に、射撃の腕を披露することになっているマックスは、スランプに陥っていて射撃が当たらず困り果てていました。そこに、アガーテに横恋慕しているカスパールが、「魔弾」のことを教えてくれます。魔弾とは、「6つの弾はすべて当たるが7つ目の弾は悪魔が決めた的に当たる」という呪われた弾……果たしてマックスと恋人アガーテの運命は……二転三転する展開にハラハラさせられる素晴らしいオペラのようなのです☆
 この他にも、名作アリア「誰も寝てはならぬ!」で有名な『トゥーランドット』とか、『こうもり』とか面白そうな作品がいっぱい。ちなみに「誰も寝てはならぬ!」は、昼過ぎのコンサートでは大勢の観客が寝てしまうクラシック作曲家の切実な願い(笑)ではなく、結婚を賭けた3つの謎をついに解いてしまった王子カラフとの結婚をどうしても拒もうとした絶世の美女トゥーランドット姫が、王子から逆に出題された謎(王子の名前)を夜明けまでに解くために、北京市じゅうの群衆に「あの者の名前を調べよ。それがわかるまで誰も寝てはならない!」と命令した、という歌だそうです。……そんな歌だったんだ……。
……『面白いほどわかる!オペラ入門』でした。残念ながら舞台写真などは掲載されていないので、文章で読むオペラの入門書ですが、とても分かりやすくて勉強にもなりました。興味のある方はぜひ読んでみてください。

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