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第1部 本

描画参考資料

図解 城の間取り(日本史の謎検証委員会)

『図解 城の間取り』2023/4/27
日本史の謎検証委員会 (編集)


(感想)
 日本の城の実態は、「間取り図」を見ればよくわかる……江戸時代の絵図や復元図を元にして、各城の注目ポイントを分かりやすく解説してくれる本です。
「はじめに」に本書の概要が、次のように紹介されていました。
「(前略)守りの工夫がイメージしやすくなるよう、間取り図を使い、城の基本的な構造を俯瞰していくのが、本書の趣旨である。
「第一章 天下人たちの城の間取り」で取り上げるのは、(中略)安土城や大阪城、江戸城などである。天下人だからこそ実現できた、豪華かつ堅牢な城の様相を紹介していこう。
「第二章 間取りから見る防御の工夫」では、城に施された数々の仕掛けを見ていく。城の基本的な防御機能や、各城固有の構造を解説する。
続く「第三章 間取りから見る合戦」では、城の構造が合戦でどのように機能したのか、その実態に迫っていく。(中略)
 最後の「第四章 間取りから見る経済・生活」は、軍事以外の要素にも注目して、城の基本を解説している。」
   *
 安土城や大阪城、江戸城などの超有名なお城の間取り図にも興味津々でしたが、さまざまな意外なことも知ることができました。
 例えば水戸城は、御三家の中では、最も防備の薄い本丸だったそうです。
「実は、水戸城の本丸は規模が小さかったため、実質的には倉庫として使われていた。代わって本丸の機能を担ったのは、二の丸である。城の統治・生活はこの地の御殿で営まれた。(中略)
 それに水戸藩主の生活は、他の大名とは決定的に異なる点があった。全国の多くの大名は参勤交代により、原則として一年ごとに国元と江戸を行き来して生活していたが、水戸藩主は江戸に定住して、国元の水戸城にほとんどいなかったのだ。つまり水戸城は、守るべき主がいなかった。だからこそ、他の御三家と比べて質素な城になったのだろう。」
 ……なるほど。水戸はわりと江戸に近いので、御三家の水戸藩主は、幕府を支えるために将軍の近くに住んでいたのかもしれません。将軍にも、他のCEO(藩主)に相談したいことがあっただろうし、御三家の水戸藩なら最適ですよね。
 また他の御三家の城・和歌山城は、「天守・本丸が建てられたのは、虎伏山という、二つの峰に分かれる山の頂だ。」という高い防御力のある城だったのですが、山頂にあって不便だったので、江戸初期以降は、本丸御殿に変わって二の丸御殿が政治と生活の中心地となったそうです。……御三家の方たちは、意外に現実主義・合理主義だったのかもしれないなー、だから長い間、平和な治世を続けられたのかも……と妄想してしまいました(笑)。
 この他にも、城はもともとはお寺だった場所を利用して建てられたケースがあること(大坂城(石山本願寺跡)や金沢城(浄土真宗・尾山御坊の改築))や、大河や崖だけでなく、湿地帯も天然の要害として利用されていたことなども知ることができました。
 例えば、日本一の長流・信濃川を守りに利用していた長岡城は、河川や湿地帯に囲まれていたので、それが慢心を誘って敵に奇襲をかけられたそうです。戊辰戦争で、新政府軍が船を使って信濃川を渡り、濃霧の早朝に奇襲をしかけたことで長岡城は落城。ところがその後、八丁沖の沼地に潜んだ長岡藩側が奇襲をかけ、一度は奪還に成功したのだとか……。
 そして私には「お城=天守閣+本丸」という先入観があったのですが、これは近代戦向きではないそうです。例えば、近代戦のために築かれた五稜郭は、射撃の死角をなくすための角型の稜堡で有名ですが、なんとここでは、的となりやすい高層建築は作らず、函館奉行所をはじめとする約20棟の建築物は、全てが平屋造りなのだとか! ……なるほど……防御拠点である城は、常に最新の武器に対応した造りでなければならない……考えてみれば当然のことでした……。
 そして本書の最後を飾るのは、「首里城」。琉球王国の首里城には、次のような特徴があるそうです。
「門の東側には、政治中枢の正殿と私的空間の御内原が位置する。このうちの正殿が、日本・中国の影響を非常に強く受けている。(中略)三階建てで、二階部分は周辺の建物と繋がっている。屋根は上・下層に分かれた、唐破風造りの構造だ。これらの構造や意匠は、日本の建築様式にそっくりである。
 一方で、朱色を基調とした彩色や、上層屋根につけられた龍の頭状の飾り(龍頭棟飾)、正殿正面に設けられた龍の彫刻、建物の基壇、石高欄は中国風である。
 また、建物の構えや霧除には、琉球独自の工夫が施されている。こうした三国の要素を取り入れた様式が正殿の特徴である。」
 首里城(復元城)は、残念なことに2019年の火災で焼け落ちてしまいましたが、現在は2026年の完成を目指して再建中だそうです。素晴らしい首里城が再建されることを期待しています。
 名城に施された仕掛けの数々、合戦における城の実力、城の経済面・生活面の影響などを、城を俯瞰しながら分かりやすく解説してくれる『図解 城の間取り』でした。とても参考になる情報が満載なので、城好きの方は、ぜひ読んで(眺めて)みてください。城歩きがさらに楽しくなると思います。
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