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第1部 本

社会

記者のためのオープンデータ活用ハンドブック(熊田安伸)

『記者のためのオープンデータ活用ハンドブック』2022/12/25
熊田安伸 (著)


(感想)
 記者だけでなく、ビジネスパーソンにも役に立つ「オープンになっているデータ」のことを教えてくれる『記者のためのオープンデータ活用ハンドブック』で、内容は次の通りです。
第1章 国や自治体の事業を調べる
(国の事業や予算を調べるためのツール/地方自治体の事業を調べるためのツール/入札について調べるためのツール/補助金について調べるためのツール/ピッチイベントに出よう)
第2章 公益的な法人を調べる
(各種法人が公開している情報/社団法人・財団法人を調べるためのツール/NPO法人を調べるためのツール/その他の公益的な法人を調べるためのツール (社会福祉法人・独立行政法人・国立病院・国立大学法人)/事件記者的な「財務諸表」の読み方)
第3章 民間企業を調べる
(上場企業を調べるためのツール/非上場企業も調べられるツール/法人登記簿、ここが記者的ポイント/建設工事の受発注を調べるためのツール/働き方や雇用を調べるためのツール/製薬会社が医師に提供したカネを調べるためのツール/情報源のつくり方)
第4章 不動産を調べる
(基本ツール「不動産登記簿」のイロハ/不動産の価格を調べるためのツール/建物を調べるためのツール)
第5章 個人の情報を調べる
(官報でここまで調べられる/日記・メモ・自伝・論文は第一級の資料/連絡先や個人事業主を調べるためのツール/個人の取引を調べるためのツール
第6章 乗り物や事故を調べる)
(自動車事故を調べるためのツール/その他の事故を調べるためのツール/船舶を調べるためのツール/航空機を調べるためのツール)
第7章 サイトの情報を調べる
(消されたサイトの情報を復活させる/ホームページを制作した人物を調べる)
第8章 政治とカネを調べる
(政治団体を調べるためのツール/政治資金などの資料を入手するためのツール/政治家本人や政策について調べるツール/政治資金取材のポイント)
第9章 新しい時代のアンケート
(調査報道といえるアンケートとは/大規模アンケートを成功させるテクニック/国の統計データを利用する/テキストマイニングで効率的に分析を)
第10章 OSINTという新手法
(世界の調査報道を席巻するOSINTとは)
   *
 NHKで調査報道に取り組み、現在は「報道実務家フォーラム」や「デジタル・ジャーナリスト育成機構」で役立つスキルを教えてきた熊田さんが、その手法を網羅的にまとめてくれた本で、WEBメディア「スローニュース」に連載され、Internet Media Awards 2022のアクション・フォー・トラスト部門を受賞した「調査報道講座 オープンデータ活用術」をベースに、大幅に加筆・修正したものだそうです。
 さて、「第1章 国や自治体の事業を調べる」には、次のように書いてありました。
「2012年に放送された「NHKスペシャル シリーズ東日本大震災『追跡 復興予算19兆円』」は、増税によって賄われた復興予算が被災地とは直接的には関係ない事業に次々と使われていった実態を明らかにし、話題になりました。指導を受けて、国は一部の事業の事業費を国庫へ返納する措置を取らざるを得なくなりました。
 この報道で使われた基本資料の一つが「行政事業レビューシート」です。以前からこれを利用した報道もありましたが、この番組で多くの人の目に触れ、注目されるようになりました。」
 ……なるほど。オープンデータは、こんなふうに報道でも使えるんですね。
 しかも、ここで紹介されているオープンデータは、国や自治体、図書館などのものの他、民間組織のものでも信頼性の高いものばかりなので、自分が調べたい情報がその中にあれば、とても「使える」情報になると思います。(なお、一部、信頼性が不確かなものもありますが、それについては「参考程度にとどめましょう」と注意してくれています。)
 例えば、第一章では、次のようなオープンデータが紹介されていました。
(国)
・「行政事業レビューシート」内閣官房行政改革推進本部のホームページ
(国の事業について、各府省が点検・見直しを行うときに使われるレビューシート)
・JUDGIT!サイト:行政事業シートをデータベース化したサイト。無料利用可。
・「基金シート」内閣官房行政改革推進本部のホームページ
(公益財団法人などに設置される「基金」の執行状況や残高など)
・「官報」内閣府
・官報情報検索サービス 有料
 (ただし会図書館やいくつかの公立図書館で利用可能。その場合は利用料負担なし)
・e-Govポータル(電子政府の総合窓口):国が提供するさまざまな情報がどこにあるかを知らせるポータルサイト
・DATA GO.jp:二次利用が可能な公共データの案内・横断的検索を目的としたオープンデータのデータカタログサイト
(地方自治体)
・「主要な施策(政策)の成果報告書(説明書)」
・「事業評価シート」(自治体の事業ごとの予算や目標、評価や改善点)
・「地方財政状況調査関係資料」総務省のサイト
・「入札情報サービス」一般財団日本建設情報総合センター、無料利用可
・「調達ポータル」総務省 政府電子調達サイト
・NJSS(入札情報速報サービス)うるる(クラウドワーカーの提供会社)、有料だが無料利用も可
・「審決等データベース」公正取引委員会
 (独占禁止法違反などで課徴金納付命令や排除措置命令をうけた企業の事案)
 ……などなど。
 ここでは、ごく一部を、その名前だけ紹介しましたが、もちろん本書の中では、もっと詳しく紹介されていますし、サイトなどは、ページごとのQRコードで一発検索して使えます。
 これらのオープンデータの名前もとても参考になるのですが、いくつかのコラムも実践的に役立ちそうに感じました。
 例えば「第2章 公益的な法人を調べる」の最後のコラム「事件記者的な「財務諸表」の読み方」では、「損益計算書」で、「受託料収入」がやたら多い場合は、官庁などから多額の事業委託を受けていることが分かるとか、「補助金」をどれだけ受け取っているのかが分かるとか、「管理費」の中の「渉外費」がやたら多くないかチェックしようとか、事件記者が、どこに着目して「財務諸表」を見ているかを、具体的に教えてくれるのです。
 また「第3章 民間企業を調べる」のコラム「情報源のつくり方」も、「ステップ1 閉鎖登記簿などで辞めた役員を調べる」などの具体的な方法を、教えてくれています。
 しかもこの本、これだけ役に立つ情報満載なのに、なんと700円+税という破格の安さ!
 記者の方はもちろん、国や地方自治体、乗り物や事故などを調べる必要がある方にも、とても参考になる本だと思います。ぜひ読んでみてください。
 また本書には、姉妹編の『記者のための裁判記録閲覧ハンドブック』もあるので、以下の商品リンクでは、それも紹介しています。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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