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第1部 本

ビジネス・その他

テックジャイアントと地政学(山本康正)

『テックジャイアントと地政学 山本康正のテクノロジー教養講座』


(感想)
 ChatGPTの衝撃とマイクロソフトvsグーグルの争い、イーロン・マスクさんによるツイッター買収、GAFAMの成長鈍化とリストラ、メタバースとWeb3の現実……シリコンバレーと往来する山本さんが、海外の先端動向を紹介しながら、日本へのインパクト、企業や個人がなすべきことをわかりやすく解説してくれる本で、内容は次の通りです。
Part1 ChatGPTが与える衝撃
Part2 テクノロジーが変える地政学
Part3 曲がり角のテックジャイアント
Part4 メタバース&Web3、先端技術ブームの実態
Part5 日本人が知らない世界の最新常識
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 ChatGPTなど先端技術の最新動向がたくさん紹介されていて、興味津々でどんどん読み進めてしまいました。
 例えば「Part1 ChatGPTが与える衝撃」では、次のようなことが紹介されています。
「ChatGPTの元になるGPT-3は、AI研究機関であるOpenAIが、2018年のGPT-1 、2019年のGPT-2に続き、2020年に発表した大規模言語モデル(Large Language Model)の一つです。大規模言語モデルとは、膨大なデータを学習し人間が使用する言葉を単語の出現確率でモデル化したもので、GPT-3は極めて自然な文章を生成したり、翻訳したりすることができます。
 このGPT-3を改良して、会話に最適化したものがChatGPTです。」
「これまでの識別型のAIと違い、基本的には生成型AIであることに今回の躍進の特徴があります。ある意味これまで覚えたことをオウム返しのように確率的に返すモノマネです。正しい事を言うこともありますが、一定の確率で間違ったことを言うことも現段階ではありえます。いろいろなものを取り込んで、それを新しく組み合わせで提示することができるというものです。
 ここで気をつけておくべきことは「覚えて正しく組み合わせる」ことが、必ずしも「意味を理解している」わけではないということです。」
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 ……ChatGPTは「オウム返しのように確率的に返すモノマネ」なんですか! 要するに「中国語の部屋」の思考実験と同じようなものなのだとか。……すごく分かりやすい説明でした。
 現在のところは、感心する回答ができる一方で、驚くほど変な回答もしているようですが、それでもChatGPTは、今後、グーグルの検索と同じように改善されていって、将来に期待がもてるだろうと山本さんは予想しているようです。
 そして言語や画像などの生成AIの躍進で、人間の職を奪われるのではないかという心配に対しては、次のように言っています。
「新しいテクノロジーを使うことで、社会全体の生産性を高め、より付加価値が生み出されていくと思います。もし合理的な理由なく古いテクノロジーに固執すると、いち早く新しいテクノロジーを取り入れた他の国に経済的な競争で負けてしまうため、国としては負の側面が強くなります。」
 ……確かに、そうですね! ChatGPT、今後の仕事を大きく変えそうで、だんぜん要注目技術だと思います。
 そして「Part2 テクノロジーが変える地政学」では、次のように言っています。
「(前略)いまやデジタルテクノロジーは欧米諸国による金融・経済制裁に加えて地政学への影響が増加しています。
 昨今のサイバー攻撃やフェイクニュースなども、物理的な攻撃と同時に国際情勢を反映しています。もはや従来のような国際政治や世界経済の枠組みではなく、デジタルテクノロジーを含めた視野を持たなければ、地政学や経済安全保障を考えることができなくなりつつあります。」
 そして今回のウクライナへのロシアの侵攻に関連して……
「今回の侵攻は物理的な攻撃にとどまりません。フェイク動画や誤情報の拡散、サイバー攻撃など、情報戦の要素も増しており、テクノロジーの課題も浮き彫りにしています。日本も大国に隣接しているため、ひとごとではありません。」
「ウクライナ侵攻後にはウクライナの政府機関や金融機関に対するサイバー攻撃が激化し、今なお大規模な攻撃が続いています。しかしウクライナも22年2月27日にITを駆使する軍隊を設立してロシアに反撃。その後、現時点までウクライナ側は大きなダメージは受けていないように見受けられます。」
 ……暗号資産が経済制裁の抜け道になっている可能性があるなど、今回の侵攻は、安全保障的な問題に対処することの重要性を痛感させてくれました。この点についても……
「テクノロジーの進化によって、従来の国際的な枠組みの中で型通りの制裁をするだけでは効果は限定的です。日々進化を遂げるテクノロジーを常に把握しなければ、国際関係や安全保障、人道支援にも影響します。各専門分野の枠を超えて知見を共有しておかなければならないでしょう。」
 ……その通りだと思います。
 そして「Part3 曲がり角のテックジャイアント」では、テックジャイアントをめぐる最新状況を知ることが出来ました。
 アップルは今後、金融と自動車に照準にあてていくとか、アマゾンは「料理配送」や「医療」へも進出して日常のすべてをアマゾンだけで完結させようとしているとか……。さらにグーグルについては、検索サービスにAI活用の自然言語処理の性能向上を取り込むなどの他、次のような方針転換があることが書いてありました。
「(前略)昨今の世界情勢から、半導体などを含めたハードウェアの調達先を特定の国のメーカーに依存するリスクが増大しています。こうしたリスクを避ける意味でも、これまでのようにソフトは自社で手掛けながらハードは他社に製造を任せるという経済姿勢を転換し、ハードも自社でつくっていくという方針には合理性が見込めます。」
 ……アメリカのビッグテック企業は、精力的にどんどん変わっているんですね……。
 そして「Part5 日本人が知らない世界の最新常識」では、AdobeがFigmaを買収したことは企業DXの手本になる、などの情報の他、日本も今後、起業家1000人をシリコンバレーに派遣するなど、スタートアップの育成に力を入れていくことが書いてありました。
 東京都も次のような具体的な方針を打ち出しているようです。
「(前略)東京都はより直接的に人材教育に力を入れようと、小中学校や高校をはじめ、都立大学を活用した起業家教育を施策に盛り込むと表明しています。起業家の予備軍を増やす人材教育は社会人になってから始めるのは遅いので、学生のうちから起業家と接する機会を提供するというものです。」
 ……これはとてもいいですね。期待したいと思います。
 この他にも、デジタル庁が、府省庁や地方公共団体のクラウド利用を進める「ガバメントクラウド」の整備に乗り出すことなどが紹介されていました。
『テックジャイアントと地政学 山本康正のテクノロジー教養講座』、テック業界の最新情報を分かりやすく教えてくれて、現在の海外状況とも合わせて、企業や個人がこれから何をすべきかを考えさせてくれる本でした。とても参考になるので、みなさんもぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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