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第1部 本

天文・宇宙・時空

138億光年 宇宙の旅(渡部潤一)

『138億光年 宇宙の旅』2018/6/21
渡部 潤一 (監修), 岡本 典明 (その他)


(感想)
 2018年、創立60周年を迎えるNASA―アメリカ航空宇宙局。その膨大な画像アーカイブから、惑星探査機や観測衛星、そして宇宙望遠鏡群がとらえた圧倒的に美しい天体や銀河の姿を厳選。アートのごとく見る者を魅了する天体写真の数々を、最新画像も含めて多数掲載した決定版写真集です!
 宇宙や天体の写真ばかりですが、NASAの膨大な資料のなかから厳選された写真なので、本当に息をのむ美しさ☆
 序文「NASAの画像はわれわれの視点に変革を迫り続けてきた」の国立天文台の渡部潤一さんの言葉が、この本の神髄を簡潔に語ってくれています。
「地上の視点からは決して得られることがない、上から見た地球の火山活動、雲の形、立体的なオーロラなどの自然現象。地球に人類が存在するがゆえの夜景や人工建造物の造形。宇宙進出のひとつの到達点としての月着陸にまつわる月面の写真。惑星探査機が明らかにした、驚くべき惑星の活動と奇異な素顔の数々。そして芸術とも思えるような宇宙望遠鏡による天体画像に加えて、X線などの高エネルギーの電磁波から、紫外線、可視光、赤外線までカバーするNASAならではの疑似カラー合成画像。どれもこれもNASAの活動の集大成となっている。」
 ……まさにその通り。
 この「138億光年 宇宙の旅」は「地球」から始まります。
 漆黒の宇宙空間に浮かぶ青く輝く美しい地球の姿はもちろんのこと、上空からしか見られない奇観にも驚かされました。
 例えば、アフリカのモーリタニアの砂漠にある「リシャット構造」と呼ばれる地形。直径50kmほどもある同心円状の地形なのですが、衝突クレーターではなく、長い時間をかけて侵食されることでできたと考えられているのだとか。大きすぎて宇宙からでないと全体をみることが出来ないそうです……うーん、凄い。尊い……。
 また大型ハリケーンの姿や「クラウド・ストリート(雲の道)」なども、とても見ごたえがありますし、あの有名な「月探査機ルナー・リコネッサンス・オービターがとらえた地球の出(表紙の写真にもなっています)」……月の地平線に浮かぶ地球の姿は、宝石のように美しいです……。
 そして「月」。人類ははじめて月に刻んだ「足跡」や、月面を歩く人と探査機のパノラマ写真……人間が、本当に月に降り立ったんだなーと感動とともに実感させてくれます。

 続いて「太陽系の星たち」。
「フレア」や「プロミネンス」を放つ太陽、大きな傷跡のようなマリネリス渓谷のある火星、火星探査機がとらえた火星の地表、ごつごつとした岩が火星の姿をまざまざと見せてくれます。
 さらに木星や土星はもちろん、なんと冥王星までが意外なほど高精細に撮影されています。冥王星は遠すぎてハッブル宇宙望遠鏡でもその表面の詳細をとらえることは出来ませんが、2006年の打ち上げから9年半の歳月をかけて、ニューホライズンズ探査機が2015年に冥王星に到達しているのです。NASAって、本当に凄いな……。冥王星の惑星カロンも表面の状態がはっきり分かるほど明瞭に写っています。
 さらに「銀河系」の星雲たち。さまざまな形をした美しい星雲や、超新星爆発の残骸のカシオペアAなど、貴重な写真の数々が……もちろん我々の銀河の中心領域も写真で見ることができます。
 そして巻末には「資料編」も。NASA惑星探査の過去・現在・未来や、宇宙望遠鏡、探査機や宇宙望遠鏡のカラー画像の作り方など、興味津々な資料を美しい写真とともに解説してもらえます。
 驚異の美しさで迫る宇宙観測のフロンティア……宇宙の謎や神秘を紐解く人間の英知や科学技術の発展の様子を、たっぷり堪能できました。すべての写真が素晴らしいので、眺めているだけで心が洗われていくような気がします。みなさんもぜひ眺めてみてください。お勧めです☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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