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第1部 本

 IT

正しく選んで使うためのクラウドのきほん(高橋秀一郎)

『かんたん理解 正しく選んで使うためのクラウドのきほん ~Amazon Web Services・Azure・Google Cloudを横断的に理解しよう』2022/1/26
高橋 秀一郎 (著), 大澤 文孝 (著)


(感想)
 AWS(Amazon Web Services)、Azure、Google Cloudという、現在よく使われているクラウドサービスについて横断的に学習できる本です。クラウドサービスの基本について、分かりやすく概要や特徴を説明してくれます。
「Chapter 1 AWS・Azure・Google Cloudの概要と特徴」では、クラウドサービスで何ができるか、代表的な3つのサービスの特徴はどんなものか、などクラウドの基本の基本の説明がありました。
 クラウドサービスは、インターネットなどでシステムを動かす際に必要なインフラを提供するサービスで、クラウドサービスを使うと、AmazonやMicrosoft365、Youtubeのような大量のユーザーを支えるインフラと同等のものを使えるのです。
 世の中の多くのシステムはAWS、Azure、GoogleCloudで提供されていて、その大まかな特徴としては、AWSはAmazonが提供していてシェアが最大、AzureはMicrosoftが提供しているのでMicrosoft製品と相性がよく、GoogleCloudはGoogleが提供していてビッグデータの集計分析やプログラム実行機能が充実している、というものだそうです。これらの基本的な仕組みはあまり違わないのですが、機能は違うものがあるのだとか。
 そしてクラウドを使ったインフラの運用の特徴としては……
・クラウドはサーバーだけでなくネットワークやストレージ、データベースなど異なるインフラ一式をまとめて提供する
・ブラウザを使って管理画面から操作すれば、即座にインフラを作れる
・一時的なインフラ増強も瞬時に実行できる
・クラウドサービスは国単位で展開している。近い国で展開しているものを選ぶ
 ……などがあるそうです。
 続く「Chapter 2 クラウドの仕組みと使い方」では、「クラウドの操作は基本的には管理コンソールで行う」などの説明の他に、重要な概念「リージョン」や「ゾーン」などの解説がありました。
・サービスが展開されている地域のことを「リージョン」という
・あるリージョンに置いたデータはほかの地域には移動しない
・大規模災害に対策するためには、複数のリージョンを組み合わせる
・リージョンは、提供サービスや料金、準拠法などを考慮して選ぶ
・リージョンはゾーンに分かれている(ソーンは地域的に離れていて、リージョン全体が停止する状態を避けられる)
 ……などなど。
 この他、「クラウドの料金は、基本料金+使っただけ支払う従量制」、「インターネットサーバーではアクセス増加に対応しやすい」、「社内システムのクラウド化では保守・運用が楽になる」なども解説されていました。
 そして「Chapter 3 インフラを構成する基本サービス」では、
・クラウドでは、CPUとメモリが仮想サーバーとして提供される
・ディスクのサービスにOSをインストールして利用する
・ユーザーからのリクエストを振り分けるのが負荷分散のサービス
・分散対象の通信プロトコルにより使用するサービスが異なる
・リージョンやゾーンをまたいで分散すると障害可用性が高まる
・クラウドのネットワークをオンプレミス(自社で用意したインフラ)とも接続できる
 ……などの解説がありました。
 さらに「Chapter 5 コンテナとサーバーレスなサービス」では、重要な概念「コンテナ」などの解説が……
・コンテナはアプリケーションを隔離した環境で動かせる実行環境。
・コンテナに関するクラウドのサービスは「レジストリサービス(コンテナイメージを登録)」「コンテナ実行サービス」「オーケストレーションサービス(複数のコンテナを管理)」の3つがある……などなど。
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 巻末には、「Appendix 各サービス・機能の補足資料」として、AWS、Azure、Google Cloudの「管理コンソール」や「コマンドラインツール」のURLやドキュメントなどが一覧で紹介されています。各機能について詳しい説明が欲しい方には、この一覧表がとても便利に使えるのではないかと思います。
 クラウドの基本を教えてくれる本でした。入門書ではありますが、ある程度ITに詳しい人でないと読みこなせない感じだったので、この本はこれからクラウドを始めようと考えているIT技術者向けだと思います。なぜなら「デプロイ」といったIT用語が、ほぼ解説なしで登場してくるからです(※デプロイ=開発したソフトウェアを実際の運用環境に配置・展開して実用に供すること)。「クラウドの基本」を分かりやすく教えてくれる入門書なので、巻末に簡単な「用語集」が掲載されていると、もっと初心者にも使いやすくなったのになーと少し残念に感じました。
 ……それはともかく、AWS、Azure、Google Cloudという3大クラウドサービスの概要を説明してくれるとともに、その先を学びたい人に「Appendix 各サービス・機能の補足資料」も紹介してくれているので、とても参考になると思います。これからクラウドを始めようと思っている方や、クラウドを誰かに説明する必要がある方は、ぜひ読んでみてくださ。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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