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第1部 本

健康&エクササイズ

呼吸の科学(石田浩司)

『呼吸の科学 いのちを支える驚きのメカニズム (ブルーバックス)』2021/10/21
石田 浩司 (著)


(感想)
「呼吸」とはなにか? 体はどのように酸素を取り込み、それを体のすみずみにまでに運ぶのか? さらに酸素はどのように細胞で消費され再び肺胞に送られた二酸化炭素はどのように酸素と交換されるのか? 「換気」の仕組みからエネルギー代謝の方法など、その精密につくられた驚異のメカニズムを「呼吸」研究の第一人者の石田さんが徹底解説してくれる本です。
「呼吸の役割は、大きく二つあります。
 一つは外界と肺(肺胞)との間で空気を出入りさせる「換気」です。これには外界から肺胞まで空気を送り込む「吸気」と、肺胞から外界に空気を排出する「呼気」があります。
 もう一つの役割は、肺胞と毛細血管との間で酸素や二酸化炭素をやり取りする「ガス交換」です。
 実はこれとは別に、体の組織(筋など)において、毛細血管と細胞との間で行われるガス交換もあります。これは「内呼吸」と呼ばれますが、呼吸器は必要ありません。(以下略)」
 ……「呼吸」は、部屋と同じように「換気」するんですね(笑)。
「換気とは、呼吸筋と補助呼吸筋を使って、胸腔を拡大・縮小させることによって、受動的に肺(肺胞)に空気を出入りさせることを指します。これを「呼吸運動」と呼んでいます。」
「肺胞の表面には、その表面積の半分くらいを無数の「肺毛細血管」が網の目のようにはりめぐらされています。この肺毛細血管を介して、肺胞に送られた空気から酸素が血液中に取り込まれます。」
「(前略)肺胞から毛細血管に酸素が移動し、逆に毛細血管から肺胞に二酸化炭素が移動することが、「拡散」ということになります。この原動力は肺胞と血管の間のガス分圧の差です。」
「ヘモグロビンと結びついた酸素は肺静脈から心臓を経由して動脈に入り、体の各組織に運ばれます。組織へと運ばれた酸素は組織内のミトコンドリアで使われます。」
 ……などなど。ここではごく一部を紹介しましたが、体の「呼吸」の仕組みをすごく詳しく解説してくれるので、とても勉強になりました(専門的な話がみっちり書いてあります)。
 個人的に「呼吸」で一番気になるのは、「健康」との関係。楽に運動できるようになるために、呼吸機能を向上させられるといいなと思ったのですが……呼吸筋を鍛えることは出来ても(鍛えるための機器もいろいろある)、簡単に「すごく」鍛えられるわけではないようです。
「そもそも、呼吸筋は24時間活動しており、日ごろから鍛えられているので、トレーニングによる多大な効果は期待できません。全身持久力のトレーニングとして、高い強度の持続走やインターバル・トレーニングなどを積み重ねれば、脚筋や心臓と同時に呼吸筋も自然に鍛えられ一石二鳥です。
 呼吸筋だけを鍛えればマラソンが速くなるとは、けっして思わないようにしましょう。」
 ……なるほど。そして石田さんは次のようにも言っています。
「(前略)健康のためにすべきことの第一選択肢は、「運動」なのです。
 まず運動によって、呼吸法では向上が望めない体力が高まり、日常生活が余裕を持って送れます。また、心臓や血管が柔らかくなり、生活習慣病が防げたり、筋肉がよく働いて骨も太くなったりと、体を自由に動かし、身のまわりのことが自分でできます。運動で認知機能も向上します。
 さらに、呼吸法と同じか、それ以上に気分転換・ストレス発散も図れることは、皆さんもご存じのとおりです。」
 ……「運動」で体とともに呼吸筋を鍛えることが一番有効なようです。
 また、運動時に楽になる呼吸法は、次のようなものだとか。
「1)中程度までの運動なら、なるべく鼻呼吸で、やや深くゆっくりした、自分にあった、安定した呼吸を心がけること。
2)無理に呼吸を大きくしたり、小さくしたりせず、体の自動調節機構(化学受容器反射や神経性要因、同調)にまかせること。
3)激しい運動時は、しっかり吐くことと、運動の呼吸のリズムを同調させたほうが、呼吸は楽に感じる。
 こんなことはすでにやっている、という人も多いかもしれません。
 基本的には、運動が楽になる呼吸法はありません。右に上げたことも、これを守らないと苦しくなりますよ、というものです。運動が楽になる基本は、持久力を向上させることで、そのためには、なるべく高い強度で持久力トレーニングを積むことです。楽して楽にはなりません。」
 ……確かに。この呼吸法は、普通の人が運動時に普通にやっていることですよね(笑)。
 とにかく「自然な呼吸」で、適度な負荷の運動を続けることが、呼吸も含めた健康の秘訣のようです。私自身は日頃から運動を心がけているので、これからも続けたいと思います。
 この他にも、高所登山でよく使う呼吸法は「口すぼめ呼吸(鼻から空気を大きく吸い込み、吐くときに1㎝くらい先の大きいろうそくの火をゆらすように、口をすぼめて、ふーっと時間をかけて吐く)」とか、格闘技などでは相手の反応がいちばん鈍いタイミングは相手の吸気時とか、健康のための呼吸法とか、実践的に役に立ちそうな情報も満載です。
「呼吸の科学」を総合的に教えてくれる本で、とても参考になりました。みなさんも、ぜひ読んでみてください☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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