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第1部 本

生物・進化

もしも人食いワニに噛まれたら!(福田雄介)

『もしも人食いワニに噛まれたら!』2021/6/29
福田 雄介 (著)


(感想)
「人食いワニからは逃げられるか」「ワニの口は手でおさえられる?」「一生のうち50回も歯が生え変わる」など、知られざるワニの生態を教えてくれる本です。
「ワニは「危険」で「怖い」だけではなく、じつはほかのどの動物とも違う個性があります。
 特別製の心臓や、薬剤に耐性をもったバクテリアまで殺してしまう免疫を持っていたり、好奇心旺盛で遊ぶのが好きな上、行ったことのない場所からでも伝書鳩のようにちゃんと帰ってこられたりします。じつに、魅力あふれる不思議な動物なのです。」
 冒頭にはフルカラーのワニの写真もあり、ワニのいろいろな姿を見ることが出来ます。すごく面白かったのは、「ワニは口を閉じると、下の前歯が上あごに開いた穴を突き抜けて、歯の先端が見える」という写真。へえー……そんなことになっているんだ……。
 ワニはすごく歯や骨が丈夫で、なんとカメの甲羅やノブタの頭蓋骨までかみ砕いてしまうそうです(怖っ!)。
 ワニに襲われそうになったら、横っ飛びに逃げて、少しでも早く水辺から離れるのが肝心だとか。ワニの口は人の手でおさえきれるものではなく、ワニに対抗するためには、銃よりも太い棒の方がいいようです。……まあ、普通の日本人は、人を襲うような大型のワニに襲われるような場所にはたぶん行かないでしょうけど(笑)。
 すごく興味深かったのが、「(ばい菌がいっぱいいる川の水や泥にいるのに、)ワニはなぜ感染症にならないのですか?」という疑問への回答。ワニには強い免疫力があるそうです。
「ワニの免疫力は非常に高く、ワニ同士でのけんかで手や足が噛みちぎられてしまうような大ケガを負った場合でも感染症にならず、治ってしまう個体が多くいます。もちろん、一度ちぎれてしまった手足が再び生えてくることはありませんが、傷口から病原菌が入って化膿することはあまりありません。(中略)
 2000年代初頭からアメリカで続くミシシッピワニの免疫の研究では、血液内の白血球細胞から取り出した数種のアミノ酸やタンパク質が多くの病原菌を死滅させたという実験結果が発表されています。なかにはごく少量で、抗生物質に耐性を持ったバクテリアまで撃退した強力なものもあったとのことです。
 これらの物質は、近い将来、人間にも効く新たな抗生薬の開発につながるとして現在さかんに研究されています。」
 ……そうなんだ。その研究にはすごく期待が持てそうですね!
 この他にも、「ワニの心臓は特別製で肺バイパスが出来る」とか、「ワニの性別は温度で決まる」とか、「ワニ研究者の仕事ぶり」とか、興味深い記事が満載です。ちなみに、「ワニの性別は温度で決まる」というのは、次のような感じだとか。
「ワニには性染色体はありません。卵として生まれた後の巣の中の温度で、オスかメスかが決まります。種によって多少の違いはあるものの、基本的には30度前後を境に、温度が低ければメスになり、高ければオスになります。」
 ……ワニって、かなり不思議な生き物なんですね……。
「危険」で「怖い」けど「魅力的」でもあるワニの生態を知ることが出来る本でした。ワニ愛好家の方はもちろん、生物が好きな方も、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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