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第1部 本
(しかけ絵本&技法、ペーパークラフト)

パズル

英語で謎解き! 楽しい英単語―キソニーとまぼろしの砂時計(竹吉俊輔)

『英語で謎解き! 楽しい英単語―キソニーとまぼろしの砂時計』2015/12/9
竹吉 俊輔 (著), 阿野 幸一 (監修)


(感想)
 英文を読んで英語のパズルをしながら冒険をすすめる謎解き本です。
 謳い文句によると、「スリリングな大冒険ストーリーと、今話題の謎解きゲームを楽しみながら、中学最重要英単語がサクサク身につく」、「英語のパズルや謎解きと大冒険ストーリーを楽しみながら、英単語力を鍛える新感覚の学習書」だそうですが……実際にやってみた感じでは、英語の勉強の「おまけの楽しみ」のパズルとしては、難易度の高すぎるパズルがかなり含まれていて、正直、英語の勉強どころじゃない感じがしてしまいました(汗)。
 英語部分は「NHKラジオ『基礎英語2』テキスト」がもとになっているので、すごく簡単。中学英語程度の能力があれば、どんどん読めてしまいます。もっとも「冒険物語」なので、「台座」など日常会話ではほとんど使わないような特殊な単語も出てきますが、英語のストーリーには全文の和訳がついていますので、「?」という単語が出てきた場合は、和訳を読めばすぐに分かるようになっています(辞書が手元にあると、もっといいと思います)。
 ところどころで解かなければならない謎の部分は、難易度がいろいろで、大半のものは簡単なのですが、時々、難問が混ざっています。後半になるほど、どんどん難易度があがっていく感じがします。
 それでも本文中の謎の方は、謎を解かなくても、英文だけで「謎の答」が簡単に推測できてしまうものが多いのです。和訳を読むと、答がほぼ完全に分かってしまいます(笑)。だから最初のうちは、こんなに手がかりが多いパズル本じゃ、手応えがなさすぎ! なんて、完全になめ切っていました(汗)。
 ところが話が進んでいくうちに、謎の難易度があがっていき、場合によっては、英文から「答」の方は簡単に推測できるのに、謎からどのように「この答」を導き出すのかが、分かりにくいなんてことも!(笑)。「答」の方から、謎の仕組みを解明するなんていう事態になってしまったものも、数個ありました。パズル好きの私でさえ、解くのに少し手間取る(「答」にどうつながるのか解明に手間取る)ものが何個もあったので、果たしてこれ、「英語に不慣れな人」にとって、「楽しく学習できる本」なのだろうか? と心配になったほどです。多分、この本を本当に楽しめるのは、中学英語程度の能力がすでにあって、パズルも好きな人だけなのではないでしょうか。両方が苦手な人にとっては、だんだん読むのが苦痛になっていって、英語もパズルも嫌いになってしまうかも……。だからこの本は「英語学習の本」ではなく、「英語を復習しながらパズルを楽しむパズル本」と思った方がいいと思います。
 ところで、さきほど「謎の答は英文から推測できる」と書きましたが、すべての謎の答が、英文から推測できるわけではありません。本文は14章に分かれていて、各章の終わりに「次の章へ進むための謎」が提示されるのです。この謎の答は、本文中の他の謎とは違って、英文からすぐ推測できるわけではなく、和訳文にも書いてありません。しかも難易度は他の謎より少し高めです。だから純粋にパズルを楽しみたい人にとっても、ちゃんと解きごたえがあるパズルになっています。
 しかも驚いたことに、謎のバリエーションがすごく豊富☆ 「本」という形でないと、成立しない「謎」がいくつもありました。この本は「電子本」にすることは不可能でしょう。なにしろ、「単語学習」のための目隠し赤シートだと思っていた付録の赤シートでさえ、謎解きに欠かせないアイテムになることがあるし、本のカバーさえ必要になることがあるんです。その他にも、立体視を使った謎とか、謎の再利用とか、他のパズル本ではあまり見ることのない形式の謎がたくさんあって、とても感心させられました。
 そして物語終盤には、さらに驚きが待っていました。なんと物語の主人公が、読者自身になってしまうのです。最終的に世界を救う役目を任されるのは読者自身……最終問題にはヒントもありません。……私自身は、たぶん解けたのだと思います。「呪文は洞窟内にある」というヒントと答の文字数、そしてこれまで章末に設定されていた問題の答の傾向から、最終問題の答は推測できました。……が、巻末の袋とじ部分を開いても、「答」は明確に「答」として提示されてはいませんでした。それが少し残念ですが、全体としては、すごく楽しめた謎解き本だったと思います。
 英語が苦手でないパズル好きの方には、文句なくお勧めできる傑作クイズ本だと思います。が、残念だったのは、一部の「イラスト問題」が無駄に面倒な難問になっていたこと。例えば、2章の時計のイラスト問題は時計の長針・短針・秒針が分かりにくくて、何故わざわざこんなに面倒にするのかと不満を抱かされましたし、11章の魔法陣のような模様の問題も、わざと分かりにくくしているのでは?と邪推してしまうような感じ……。もしもこの本の目的が、「英語学習」なのだとしたら、クイズはもっと簡便に解ける方が、より「楽しく勉強できる」のではないでしょうか。次回作があるなら、クイズの方は「おまけ程度」の難易度に留めてもらって、もっと「英語学習」に集中できる本を期待したいと思います。
 ともあれ、個人的には「英語学習」と「謎解き」が両方楽しめる傑作謎解き本でした(最終問題以外には、すべてヒントと解答があります)。謎解きが好きな方は、ぜひトライしてみてください。謎のバラエティの豊富さが楽しめるだけでなく、自分が問題を出すときにも、参考になりそうな新鮮な形式の謎をたくさん見つけられると思います☆ 

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