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第1部 本

生活

最高の断熱・エコハウスをつくる方法 令和の大改訂版(西方里見)

『最高の断熱・エコハウスをつくる方法 令和の大改訂版』2019/6/22
西方 里見 (著)


(感想)
 高断熱住宅やエコハウスを実際につくるための知識を、実際の住宅の事例とともに総合的に紹介してくれる本で、高断熱住宅の設計・施工ノウハウをまとめた本『最高の断熱・エコ住宅をつくる方法 カラー最新版』の5年ぶりの改訂版です。最新の法令や技術・工法、新製品などの情報、経験に基づいた温暖地の家づくりのノウハウや、窓の断熱、日射遮蔽・取得技術などの内容が新たに追加されたそうです。
 住宅を建てる予定はないのですが、最高の断熱・エコハウスを作る方法を知っておいて損はないだろうと思って、読んでみることにしました。
「第1章 どのくらい断熱性能が必要なのか」では、断熱や省エネ基準などの概要を説明してくれます。平成28年省エネ基準は、日本を8つの地域に分けて設定されているそうで、南北に長い日本は、北の北海道と南の沖縄では気候が大きく違いますから、このように地域分けするのが合理的だと思いました。
 そして「第2章 実例に学ぶエコハウスのつくり方」では、実際に建てられた住宅の完成写真とともに設計図を見ることが出来ます。写真は完成後の外観が多かったので、断熱がどのように作れられたのか詳細を見ることは出来ませんでしたが、シンプルで美しい住宅ばかりでした。屋根を「芝置屋根」にしている住宅もあって、芝生には地下水を散水するシステムがあり、こういうエコハウスもいいなと感じました。……でも現実的には、やっぱり屋根にはソーラーパネルの方がいいかも。

 断熱工法には、木造・充填断熱、木造・付加断熱(充填+外張り、充填+内張り、外張り+充填+内張り)、木造・外張り断熱、RC造・内断熱、RC造・外断熱(通気層型、非通気層型、二重壁型)という全部で9種類があるそうです。
 そして、さまざまな断熱用材料などが具体的に紹介されていましたが、それぞれ利点と欠点があり、これが決定版というのは、残念ながらないようで、「断熱は、工法ではなく、結露の有無、防火性、エコロジー性、費用対効果などから最適な工法を選ぶべき」なのだとか。
 建築にはあまり詳しくないので、断熱・エコハウスに関するいろいろな情報を知ることが出来て、とても参考になりました。
 例えば、「透湿抵抗が変化して壁内の結露を防ぐ可変防湿シート」などという商品があるそうです。これは「相対湿度が低い時に透湿抵抗が大きくなり、相対湿度が高い時に透湿抵抗が小さくなる」ものなのだとか。
 またLow-Eガラスには、夏型(遮熱型)と冬型(断熱型)があり、ガラスコーティング面の位置で、太陽光を取り込むか、遮るかが変わるようです。
 そして「第8章 エコハウスのための換気・冷暖房計画」では、計画換気のさまざまな方法(換気システム+冷暖房システム)を知ることが出来ました。
 計画換気というのは、少ない換気量で最大の効果を得るため、換気経路や換気量を明確化し、制御することだそうです。冷暖房装置などでせっかく暖め(冷やし)た空気を無駄に逃がさないのが、高断熱ハウスのメリットですが、隙間風が涼しい(寒い)低断熱ハウスに居住している者としては、ちょっと不安に感じるところがあります。それは高断熱ハウスの「計画換気」って、災害時に大丈夫なのか? ということ。停電時でも最低限の換気だけは「自然に」なされるような住宅であって欲しいと思います。停電になると、ただでさえ慌ててしまうのに、自分で気をつけて「窓開け」しなければならないような住宅では困ります。その点についても、本書の中で言及して欲しかったなと思いました。停電しないよう、屋根にソーラーパネルをつけておくことが大事なのかもしれませんが、大地震の時はソーラーパネルも破損してしまうかも……。もっともソーラーパネルが壊れるときは、壁も壊れて、そこから隙間風が入ってくるかもしれませんが……。
 断熱・エコハウスについての概要を具体的に知ることが出来ました。これから家を建てる予定のある方は、ぜひ読んでみてください。色々、参考になる点があると思います。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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